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萌えボイスと呼ばないで  作者: 零堵
~一学期編~
13/86

~第十二話~

次の日になって、僕は、いつもと同じ時間に起床した。

そして、顔を洗い、学校があるので、制服に着替える。

制服に着替え終わり、リビングに行くと朱莉母さんと、圭吾父さんが、既に席について、朝食を取っていた。

「お、聖、起きたか」

「聖ちゃん、朝食出来てるから、食べなさいね?」

「うん、分かった」

そう言って、僕も席に着く。

今日の朝食は、魚介類の入った、シーフードカレーだった。

シーフードカレーは、なかなか美味しく、残す事無く完食、学校があるので、自分の部屋に戻り、鞄を持って、出かけようとすると

「聖、ちょっといいか?」

「何……? お父さん」

「聖さえ、よかったら、今週の休み、一緒に出かけないか? 仕事の休みが、取れたしな……たまにはいいだろう?」

そう言ってきたので、僕は考える。

そう言えば、父さんと一緒に出かけたのっていつだっけ……と思い、一緒に行っていない事が発覚、まあ、たまにはいいかな……と思ったので

「うん、いいよ」

「よし、決まりだな。じゃあ、気をつけて行くんだぞ」

「りょ~かい、じゃあ、行って来ます」

そう言って、朱莉母さんからお弁当を受け取った後、外へと出る事にしたのであった。

夏が近いからか、外は結構暑く、汗がにじみ出てきたので、ハンカチで拭きながら、通学路を歩いていると

「やあ、聖君、おはよう」

そう言ってきたのは、同じクラスの、山本理恵さんだった。

うん、なんか久しぶりに声を聞いた感じがする。

まあ、同じクラスメイトで、僕は、女子とあまり会話、いやクラスでは、亮太としか最近は、会話してなかった気がするかも……と、思っていた。

僕は、周りに聞かれると、不味いので、小声で話す。

「理恵、おはようございます」

「ああ……おはよう、そう言えば……クラスでも、あまり聖は、話さないよね? まあ、理由があるのは解るけどね」

「そうですよ……僕の声は、クラスに聞かれたら……と思うと……」

「まあ、聖の声は有名だしね……ちなみにね? 女子の間でも「ホワイトの声って誰だろ?」「ホワイトの声の人に会ってみたいな?」とか言ってたよ? 聖、人気だね?」

「そうですか……え~っと……とりあえずありがとうございます……理恵は、僕の声の事は、言ってませんよね?」

「もちろん、秘密は守っているからね……誰にも言ってないよ、そこは信用してくれ」

「解りました」

「ところで……亮太に聞いたのだが、人形劇をやる事になったんだってね?」

「あ、はい、そうですよ」

「ほう……それは、是非とも聞いてみたい物なんだが、どこで公演するつもりなのかな?」

「えっと……幼稚園で、公演するみたいですよ? 部長が、そう言ってましたし」

「そうか……じゃあボクは、聞けないな……そうだ、録音機材を渡すから、録音とかはだめかな?」

「う~ん……それは、駄目なんじゃないですかね? よく解りませんけど……」

「そうか……」

なんか、理恵さんが、かなり落ち込んでいる風に見えた。

そんなに聞きたかったのかな? 人形劇……そう思っていると、僕達の通っている、山之辺高校にたどり着いた。昇降口で、上履きに履き替えて、一年一組に行く。

クラスの中に入って、僕は、自分の席に座り、理恵さんも、自分の席に着いた。席についてから、鞄の中身を机の中に入れていると

キーンコーンとチャイムが鳴って、担任の碓井先生が、入ってきて、こう言って来た。

「皆、おはよう、では連絡事項だが……来週から、夏休みに入る、夏休みの間、浮かれすぎぬようにな……では、出席を取った後、授業を始めるとする」

そう言って、授業が始まった。

授業中、僕は、夏休みか……どうしようかな……と、考えていたのだった。

授業内容は、そんなに難しくはなく、簡単に解く事が出来た。先生が、これやって下さいと持って来たプリントをやる事になったので、それをやってみると、プリントの内容は、前にやった所の復習で、習ったばっかりだったのでスムーズに解く事が出来て、終わって、プリントを集めていく。うん……結構、いい点取れてるんじゃないかなあ……と、思ってしまった。

時間が過ぎて行き、お昼の時間になった。

僕は、クラスメイトの亮太と一緒にお弁当を持って、放送室に向かう事にした。

放送室の中に入ると、先輩達が、食事中なのか、昼食を取っていた。

「あ、二人とも来たわね? 今、食事中だけど、二人は、もう食べてきたのかな?」

「いえ、まだです」

「俺も、そうです」

「じゃあ、一緒に食べましょうか」

「あ、いいんですか?」

「Okよ? そうね……せっかくだから、分け合いっこしながら、食事しましょう」

そう部長の、中田彩さんが、言うので、先輩達と一緒に食べる事にした。

彩部長のお弁当の中身は、お結びに玉子焼きにプチトマトとか、入ってて、結構おいしそうだった。

僕は、気になったので、先輩に聞いてみる。

「先輩、これって、自分で作ったんですか?」

「ええ、朝、起きて自分で作ってるのよ、洋子もそうよね?」

「うん、私もそうよ?」

そう言ったのは、同じ部活の先輩で、西岡洋子先輩だった。

「まあ、私の場合、二人分作らなきゃいけないしね? この馬鹿の分もね」

「馬鹿とか言うなよ……」

「あら、別にいいじゃない」

「よくない!」

そう言っているのは、双子の太一先輩だった。

洋子先輩のお弁当と比べると、中身が同じだった。

そっか……洋子先輩が、二人分作ってるから、中身も同じになるんだなあ……そう思っていると

「ところで……聖君のは、誰が作っているのかな?」

そう聞いてきたので

「僕のは、母に作って貰ってるんです」

そう答えると

「え、あの、母親が……? そうなんだ……」

何故か亮太が、びっくりしていた。うん、何でだろ?

「あら、亮太君は、聖君の母親、見た事あるの?」

「はい、一回、聖の家に行った時に見たんですけど……思いっきり、聖そっくりでした、まるで双子みたいに、どっちかと言うと聖がお姉さんで、聖の母親が妹な感じがしましたね」

「ちょ、亮太、何言ってるの!?」

「ほほう……それは、是非、見てみたいねえ……」

「ああ……一体、どんなんだ? まあ……聖が、女の子の服を着ても……うん……」

「ちょっと、先輩……なんか変な、想像しませんでしたか?」

「いや、大丈夫、バッチシ似合ってるから、というか……全く違和感がないって、すげ~な……」

「太一先輩……それ、本当に笑えないです……だって……母と一緒に買い物に行った時「双子の姉妹? 遊びに行こう~」とか、ナンパされましたし……」

「そ、そうか……」

「す、凄いね……聖君」

「ちょっと見てみたいかも……っは、私は何を!」

「彩……なんか、考えた?」

「い、いや! あ、もうそろそろラジオの準備してくれるかな? 二人とも」

「あ、了解っす」

「解りました」

そう言って、僕と亮太は、昼食を食べ終わり、ブースの方に、移動した。

移動して、マイクの前に、座り、本番を待つ。

スピーカーから、洋子先輩の声が、聞こえてきた。

「これから、お昼の放送を始めます」

そう言ったので、僕と亮太は、ラジオの準備をする。

そして、僕と、亮太の、今日のラジオが、始まるのであった。


「皆さん、こんにちは~、お昼のヤマノベラジオの時間だよ~、今日の司会は、放送戦隊ヤマノレンジャーの常識人こと、ブラックと」


「えっと……ブラックが常識人? なのかは疑問なんだけど、放送戦隊ヤマノレンジャーのホワイトです」


「久しぶりの登場って感じがするのかな? ホワイトちゃんは」


「えっと……そんなに久しぶりではないと思うんだけど……」


「まあ、とりあえず、最初のコーナー行きたいと思います、まず、音楽を流しますね」


「うわ、無視ですか、まあ、最初のコーナーですね、えっと……今回流す曲は、色々なジャンルを流したので、今回は、クラシックを流したいと思います、では、どうぞ~」


そう言って、音楽が流れる。

その間は、マイクのスイッチを切っているので、普通に話して大丈夫だった。僕は、あの事を、亮太に言ってみた。

「そう言えば、亮太、とっても撲殺ちゃん、見ましたよ」

「お、そうか……で、どうだった?」

「はい、チーコってキャラ、確かに僕の声に似てるって、母も言ってました」

「そうだろ? 俺も最初聞いた時、これ……聖がやってんじゃないか?って思ったほどだしさ?」

「そんな、僕がやる筈じゃないですよ」

「え~? でも、聖君、隠れてやってても不思議じゃないよ?」

そう話に割り込んできたのは、先輩の西岡洋子先輩だった。

洋子先輩は、ノートパソコンを持ってきて、その画面に、山野辺高校HPが、映し出されている

「いや、やってませんって、あれは、僕じゃあないです」

「そう? 確かに、声優名を違っていたしね……あ、そろそろ音楽終わるわよ」

そう洋子先輩が、言ったので、音楽が終わって、マイクで、話し出す。


「うん、クラシックもなかなかいい曲だったなあ、ホワイトちゃんは、どう思った?」


「そうですね、なかなかいい曲だなあ……とは、思いました」


「よし、盛り上がった所で、「ホワイトちゃんに言って欲しい事」をやりましょう」


「え? 盛り上がってましたっけ?」


「おいおい、そんな事言うなよ~え~と何々……ホワイトラブさんから「ホワイトちゃんに、恥ずかしがっている告白の台詞」だって、では、ホワイトちゃん、どうぞ~」


「ええ、なんか恥ずかしいかも……えっと~「べ、別にあんたの事なんか……いや、待って!え、えっと……大好き……」こんな感じでいいかな……?」


「うっほ~~~!萌えええ~~~!」


「ちょ!ブラック!? なんか凄い興奮してないですか!?」


「今の言葉いいな~! 是非、女の子に言ってほしいな!」


「なんか、凄い興奮して言ってるけど……顔、凄い事になってるよ? えっと、視聴者に見せたら、引くんじゃないかな……その顔……」



「っふっふっふ……さっきのその言葉でご飯何杯もいけるぜ……」


「そんなわけないでしょ!?」


「っと、もう一つ選びたい所ですが、お時間になりましたので、ここで終了です、お相手は、この俺、ブラックと」


「うわ、いきなり真面目顔になったよ……ある意味凄いね……それ……えっと、ホワイトです」


「以上でお送り致しました、この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供でお送りしました」


そう言って、マイクのスイッチを切って、三人でルームの方に行く。

ルームに辿り着くと、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて

「これで、お昼の放送を終わりにします」

と言って、マイクのスイッチを切った。

「これで、OK」

「じゃあ、次に集まるのは、放課後ね。放課後は、人形劇の練習をやるわよ、では、解散!」

部長の中田彩さんが、そう言ったので、僕と亮太は、自分のクラスに戻る事にした。

クラスに戻ると、クラスの男子生徒が

「なあ、さっきのホワイトの台詞、録音したか?」

「ああ、した、これで……ぐっふっふ!」

「お前、何に使う気だ?」

「お前だって、怪しげな笑いをしてただろ?」

そんな会話をしていた。

一体何に使うんだ……と、滅茶苦茶気になったが、声をかえるのは、不味いので、声がかけられなかった。うん……早まったかな……? と思ったけど、深く考えないようにして自分の席につく。

そして、チャイムが鳴ったので授業を真面目に、受ける事にしたのであった。

午後の授業は、難しい事をやるみたく、黒板の文字を見ても、ちょっと判らなかった。

それでも、ノートに黒板に書かれている文字を写していく。

うん……なんか地味な作業だなあ……と思ってしまい、ふと、他の人を見てみると、思いっきり寝ている奴や、何かを熱心に書き込んでいる者がいた。

明らかに黒板に書かれている文字とは、違っていた。

まあ、座っている席から、ちょっとだけ見えたけど、あれは、なんかのイラスト? だった筈……そのイラストを、男子生徒がにやにやと笑いながら、書いている。

うん……この姿を女子が見たら、引くんじゃないかな……と思うんだけど……まあ、そんな事を考えるのはやめて、普通に授業を受ける事にした。

そして時間が過ぎていき、授業が終わる。

授業が終わったので、僕は、亮太にノートで話しかけた。

「亮太、部活に行きましょう」

それを見た、亮太は

「あ、ちょっと行く所が出来たから、先に行っててくれ」

と言って来たので、僕は、ノートに

「解りました、先に行ってますね」

と書いて、先に放送室に向かう事にした。

うん、用事って何だろう? と気にはなったけど、聞いちゃまずいのかな……と思ったので、あえて聞かない事にした。

放送室の部室に辿り着いて、中に入ると、もう既に先輩達が、集まっていた。

うん、相変らず……この人達、早いなあ……

「あ、聖君、来たわね? あれ……亮太君は?」

そう聞かれたので

「亮太は、後で来ると言ってました」

そう言う事にした。

それを聞いた、先輩は

「そう、じゃあ、先に人形劇の練習、しときましょうか、洋子、聖君、準備はいい?」

そう、部長の中田彩さんが、言ってくる。

「私は、OKよ? 聖君は?」

「あ、僕もOkです」

「じゃあ、決まりね。二人とも、ブースの方で練習お願い、こっちは、太一と色々打ち合わせをやるわ」

「解りました」

そう言ったので僕は、洋子先輩と一緒に、人形を持って、ブースの方に行き

人形劇の練習をする事にしたのであった。

練習していると、ブースに遅れてやってきた亮太が、人形を持って、参加して来る。

そして、三人で練習する事になった。

数十分と、人形を動かして、声を出す。最初は楽しくやっていたけど、少しずつ疲労が見え初めて、ちょっと疲れてしまった。

練習していると、洋子先輩が

「二人とも、今日はここまでにしときましょうか、あんまり声を出すと、本番で出なくなりそうだしね?」

「了解っす」

「解りました」

そう言って、練習が終わった。

練習を終えて、ルームの方に戻り、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう言ってくる。

「下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい」

そう言ってから、マイクのスイッチを切る。

「これで、Okよ、彩」

「よし、じゃあ、今日の活動はこれで終わりね? で、明日のラジオの当番だけど、太一と亮太君にお願いするわ」

「解った」

「了解しました」

「じゃあ、解散!」

そう言ったので、放送部の今日の活動は終わった。

終わったから、僕は、亮太と一緒に帰る事にした。

帰り道、亮太が、話しかけてくる。

「いよいよ明後日が、本番だけど……大丈夫か? 聖?」

「そういう亮太こそ、大丈夫ですか?」

「俺は、なんとかな……まあ、何とかなるだろって思うしな……それより、お互いがんばろうな? 聖」

「はい、そうですね」

「じゃあ、俺、こっちだから、さようなら」

「さようなら」

そう言って、亮太と別れて、僕は真っ直ぐ帰る事にしたのでした。


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