~第十一話~
次の日になって、僕は、いつもと同じ時間に起きる事に成功した。
学校があるので、起きた後、顔を洗って、制服に着替える。
着替え終わり、リビングに行くと、朝食が既に出来ていて、椅子に座っている朱莉母さんが、こう言って来た。
「おはよう、聖ちゃん、朝食出来てるわよ?」
「あ、うん、頂きます」
そう言って、僕も食卓に着く。
朝食は、ごはんに目玉焼きに野菜サラダに牛乳があった。
残すのも悪いかな……と思ったので、残さず食べつくす。
あっと言う間に食べ終わり、自分の部屋に戻り、鞄の中に必要な物を入れて、出かける事にした。
「行って来ます」
「行ってらっしゃい」
そう言って僕は、家を出る。
外の日差しは、かんかんに照り付けていて、結構暑かった。
夏が近いから、しょうがないのかな……とか思っていると
「おっはよう~聖」
そう話しかけてきたのは、同じクラスの亮太だった。
僕は、まわりに聞こえると不味いので、小声でこう話す。
「おはようございます」
「おはよう、今日から人形劇の練習って、部長言ってたよな?」
「あ、はい、そうですね」
「一体何の練習をするんだかまったく分からないけど……頑張ろうぜ? 聖」
「そうですね」
そう話しながら、通学路を歩いていく。
そして、通っている高校、山野辺高校に辿り着いた。
校舎の中に入り、僕と亮太は、同じクラスなので、教室の中に入る。
教室の中に入り、自分の席に着いて、鞄の中身を机の中に入れる事にした。
その作業をしていると、キーンコーンとチャイムが鳴って、担任の碓井先生が入ってきた。
「皆、おはよう、今日も特にこれと言って、特別な予定とかはないぞ……じゃあ、出席を取ったら、授業を始めようと思う」
そう言ってから、授業が始まる。
授業内容は、ちょっとむずかしかった。何とか頑張って、黒板の文字をノートに写す作業に専念して、ノートにびっしりと文字で埋まってしまった。
ず~っと同じ作業をしていたので、手がちょっと疲れてしまったが、まあ、問題はないかな……? と思う。
時間が過ぎて行き、お昼の時間になった。
今日は、僕はお弁当を用意してなかった。
用意してないので、購買部に初めて行く事にした。
亮太に「ちょっと遅れるから、先に行っててくれませんか?」と言って
僕は、購買部に向かう。
購買部に辿り着くと、そこは、人が沢山いて、お店の前に、結構な行列が出来ていた。
僕もその列に並んで、なんとか惣菜パンを二つ購入することが出来て、そのパンを持って、放送部に行く事にした。
放送部の中に入ると、もう既に、ブースの方に今日のラジオ担当の亮太と太一先輩がいた。
僕は、ルームに行き、先輩達に挨拶する。
「こんにちはです」
「あ、聖君、こんにちは、放課後に人形劇の練習をするわよ?」
部長の、中田彩さんが、そう言ったので
「あ、はい、解りました」
僕は、そう言った。
「よし、洋子、お願い」
「は~い」
洋子先輩がそう言って、マイクのスイッチを入れる。
「これから、お昼の放送を始めます」
そして、ブースの方のスイッチを入れた。
こうして、今日のラジオが、始まるのであった。
「皆さん、こんにちは~ヤマノベラジオの時間です、今回は、放送戦隊ヤマノレンジャーの常識人、ブラックと」
「ニヒルな二枚目、レッドでお送りします」
「えっと……レッドが二枚目って……全く見えないですね、はい、視聴者の方、信じないで下さいね~」
「ちょっとブラック! そこは嘘でもいいから、信じてくださいとか言う方でしょ!?」
「とまあ、この二人でお送りします」
「え、無視……ひど!」
「では、早速このコーナーに行きたいと思います、今日の音楽は~よく先生方が許可したな~と思うこの曲、では、いってみよう~」
そう言って、音楽が流れ出す。
音楽が流れている間は、話す事が可能なので、僕は先輩達に話しかけてみる事にした。
「先輩、この曲って……」
「うん、思いっきり電波ソングだね、ちなみに洋子は、知ってる?」
「知ってるよ~アニメ「とっても撲殺ちゃん」のOP~「撲殺しちゃうぞ!」って曲、凄い電波系ソングなんだ、ほんと……よく、学校が許可したなあ~って思うかな」
「ちなみに推薦したのは私、で、翠先生に許可聞いて、Okでたから、流してもらったのよ」
「彩がしたの……えっと……この曲、好きなの?」
「まあ、好きね、アニメも毎回かかさず見てるわよ? あ、ちなみに翠先生も見てるらしいわ」
「そうなんですか……」
「でね……この中に出てくる、ちーこってキャラがいるんだけど……聖君、もし良かったら聞いて見て?」
「え……何でですか?」
「聞いたら解るから、今日の夜にアニメやるから、見てみてね? あ、もうそろそろ曲が終わるわね」
そう言ったので、話すのを中断して、洋子先輩は、ノートPCを持って、ブースの方に行った。そして、ラジオが始まる。
「いや~凄い曲でしたね~、レッドはどう思いましたか?」
「こういうのは、電波ソングって言うんじゃないか?って思う、まあ好きな人は、好きなんじゃないかなあ?」
「そうですね、じゃあ早速、このラジオの感想を覗いて見る事にしましょうか、今日はホワイトちゃんがいないので、ホワイトちゃんに言って欲しい事は無しですね~え~っと……「ブラックいいキャラだな~」「レッド、頑張れ~【笑】」「ホワイトちゃん、カムバ~ック!」おお、色々書かれてますね?レッド、応援されてるよ?」
「いや、最後に笑って書いてあるよ!? それ、応援してる!?」
「まあ、視聴者もこいつは駄目な奴だな?って思われてるって事じゃないですか?」
「うう……なんで、俺の時だけ、こんな評価ばっかりなんだ……」
「まあ、落ち込まないで、この先いい事あるって!……たぶん」
「たぶんって!」
「おっと、もうこんな時間だ、皆、楽しかったかな? 今回のお相手は、ブラックと」
「レッドです……」
「で、お送りいたしました~では~また来週~」
「いや、明日もあるだろ……この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供でお送りしました」
そう言ってラジオが終わった。
終わったので、洋子先輩が、ルームに戻ってから、マイクのスイッチを入れて
「これで、お昼の放送を終わりにします」
と言って、スイッチを切った。
「よし、これでOkよ」
「じゃあ、次は放課後ね? では、解散」
部長の彩さんがそう言ったので、僕と亮太は、クラスに戻る事にした。
戻る途中、部長の言ってた「とっても撲殺ちゃん」が気になったので、今夜見てみようかなあ……と、思っていたのであった。
午後の時間になり、僕達のクラスの授業は、美術をやる事になった。
人物画をやるらしく、クラスメイトの一人を、中心に立たせ、それを皆で、描くと言う作業をやるみたいだったので、僕も、画板と筆が用意されてあったので、それを使って、人物画を描いた。
昔から絵とか上手に書く方だったので、何とか描く事に成功した。
描き終わったら、美術の先生に提出するみたいなので、僕は、先生に作品を提出する。
そして時間が過ぎて行き、放課後になった。
碓井先生のHRを聞き終った後、僕と亮太は、部活があるので、放送室に行く事にした。
放送室の中に入ると、もう既に先輩達がいて、用意してある机の上に、数体の人形が置かれてあった。
「あ、二人とも来たわね? この人形が、人形劇で使う人形よ、じゃあ……三人とも、自分の人形を取ってね?」
そう、部長の中田彩さんが、言ったので、僕と亮太は、人形を手にする事にした。
「じゃあ、俺が使うのは、この人形かな?」
そう言って、男の子の人形を、亮太が手にする。
「じゃあ、私と聖君だけど……聖君、どっちの人形にする?」
そう部員の洋子先輩が、言ったので、僕はと言うと
「そうですね……じゃあ……こっちにします」
そう言って、洋子先輩が持っている人形、右左のどちらかを選び
右に持っている人形を、受け取る事にした。
「こっちね? じゃあ、私は、左手に持っている人形を使うわね?」
そう言って、洋子先輩は、僕に右手に持っている、人形を渡して来た。
「じゃあ、これが台本よ? 練習は、ブースの方で、やるのがいいかも?」
そう言って、彩部長が、僕達三人に、台本を渡してくる。
「じゃあ、練習しましょうか? 二人とも」
「了解っす」
「こっちもOkです」
そう言って、僕と亮太と洋子先輩の三人で、ブースの方に行き、台本を読みながら、人形の動きを作る作業に、する事にしたのでした。
数十分後、結構、練習した感じがしたので、ルームの方に戻る事にしました。戻ってから、彩部長が
「洋子、お願い」
「は~い」
そう言って、洋子先輩が、マイクのスイッチを入れて、こう言う。
「下校の時刻となりました、皆さん、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました。皆さん、速やかに下校して下さい」
そう言ってから、マイクのスイッチを切る。
「はい、OK~」
「じゃあ、今日の練習は、終わりね。明日のラジオの担当だけど、聖君と亮太君にお願いするわね?」
「了解っす」
「解りました」
「では、解散!」
そう言ったので、放送部の今日の活動は終わったので、僕と亮太は、一緒に下校する事にした。
下校途中、僕は、気になったので、亮太に聞いてみる。
「亮太、「とっても撲殺ちゃん」って知ってます?」
「知ってるぞ。まあ、基本ギャグアニメだな……そういや、今日、放送日だった筈」
「そうですか、亮太も知ってるんですね」
「でも、何でそんな事を聞くんだ?」
「いえ、その中に出てくる、ちーこと言うキャラ、部長に聞いてみてね?って言われたので」
「ああ~……確かにな……」
「知ってるんですか? 亮太」
「まあ、聞いてみれば解るよ、あ、じゃあ俺、こっちだから、じゃあな」
「あ、はい、さようなら」
そう言って、僕は、亮太と別れて、まっすぐ家に帰る事にした。
家に戻って、テレビ欄をチェックし、とっても撲殺ちゃんが、やってる時間になると、テレビのスイッチを入れて、そのアニメを見てみる。
するとちーこというキャラが出てきて、声を聞いたとき、一緒に見ていた母親の朱莉母さんが
「あら……このキャラの声って、聖ちゃんに似てない?」
「……そうかな……?」
「そうよ、聖ちゃん、ちょっと音程高くして、話してみて?」
「え~と……こんな感じ?」
「あ、そっくり! 少し高くすると、そのまんまちーこと言うキャラよ? 凄いわね~聖ちゃん」
「……だから、聞けば解るって、言ってたのか……」
僕は、声を元に戻して、普通に話す事にした。
アニメは、三十分で終わり、感想はと言うと……結構面白かった。
これだったら、毎週見てもいいかな?って思ったほどである。
見終わった後、夕飯を食べ、お風呂に入り、寝る事にした。
こうして、僕の一日が、終ったのであった。