~第十話~
休日が終わって、学校があるので、僕は、目覚まし時計のセットした時刻に起きた。
起きて、顔を洗い、制服に着替える。制服に着替え終わってから、鏡で姿を確認してみて思った事は、あきらかに童顔なので、女の子っぽく見える。
これは……髭でも生やした方が、男っぽく見えるのかな……とかそう思ってしまった。
制服に着替え終わった後、リビングに向かうと、母親の朱莉母さんが、朝食を作って、用意してあった。
「あ、おはよう、聖ちゃん」
「おはよう、母さん」
「聖ちゃん、今日はちょっと、新しい物にチャレンジしてみたの、初めて作った物だから、味は分からないけど、とりあえず食べてみて?」
「う、うん」
そう言って来たので、僕は、料理を見て見る。
ちょっと焦げていたが、いい匂いがして、結構おいしそうだった。
僕は、いただきますと言って、食べてみる。
うん、味はまあまあで、結構いける。
特に不味いとかそういった感じのでは無く、意外とさっぱりとしていた。
「どう? 聖ちゃん」
「うん、美味しいよ、味に関しては、問題は無いかな」
「よかった、テレビでやってた料理を、真似して作ってみたのよ、とりあえずOKって事ね」
「そうなんだ」
そう言いながら、あっという間に食べ終わった。
僕は、さっき思った事を母さんに質問してみる事にした。
「ねえ、お母さん」
「何? 聖ちゃん」
「僕が、髭とか生やしたら、どう思う?」
「え……?」
なんか、すごいビックリされた。母さんの動きが止まっている。
あれ……何でだろ……?
「駄目駄目! 絶対に聖ちゃんに髭は似合わない! 聖ちゃん、髭生やしたいの!?」
「い、いや、ちょっと思っただけで……」
「私は認めないからね!? 髭なんか生やしちゃ駄目よ!」
「う、うん……」
なんか、凄い勢いで言われたなあ……食べ終わったので、自分の部屋に戻り、鞄の中に必要な物を入れて、出かける事にした。
「行って来ます」
「行ってらっしゃい、あ、これお弁当ね?」
そう言って、母さんからお弁当を貰ってから、家を出る。
外は、夏に近いからか、結構暑い。汗が滲み出て来そうな暑さで、ハンカチとかで汗を拭きながら、通学路を歩いていると
「おはよう、聖」
そう言って来たのは、同じクラスの亮太であった。
僕は、他の人に声を聞かれると不味いので、小声で話す。
「おはようございます」
「今日から、先輩が人形劇の練習をやるって言ってたよな?」
「あ、確かにそうですね」
「一体何の役やるんだろうな……聖は、どんな役をやってみたい?」
「そうですね……なるべく、変なのじゃないのがいいかと思います」
「そっか……まあ、俺もまともなキャラクターのが、やってみたいけどな」
そう話しながら歩いていると、僕達の通っている、山野辺高校に辿り着いた。
一緒のクラスなので、教室の中に入り、自分の席に着く。
鞄の中身を取り出して、机の中に入れる作業をしていると、キーンコーンとチャイムが鳴って、担任の碓井先生が入って来た。
「皆、おはよう、連絡事項だが……もうすぐ夏休みが近づく、まあその前にテストがあるぞ、夏休み中はうかれて羽目を外さないようにな? まあ、そのくらいか……じゃあ、主席を取ったら、授業を始めるぞ」
そう言って、授業が始まった。
授業中、僕は考える。
夏休み、放送部の活動はあるのか?
元の住んでた町に戻ってみるのもいいかな……とか、そう思ったりもしていたのであった。
授業に入って、黒板の文字を書き写す作業が中心でたまに先生が、「これ、なんと読む?」と生徒に指示してきて、僕は当てられませんように……と思い、願いが通じた見たく、当てられる事なく、時間が過ぎて行き、お昼の時間になったので、僕と亮太は、部活があるので、教室を出る事にした。
教室を出て、放送室に向かうと、放送室の中に、既に先輩達が、集まっている。
やっぱり早いなあ……この人達……そう思っていると、部長の中田彩さんが、こう言って来た。
「二人とも来たわね? 今日のやるラジオだけど、確か……亮太君と聖君だったよね?」
「あ、はい、そうだった筈です」
「ああ、前は俺と洋子だったからな」
「じゃあ、準備してね? 2人とも」
「はい」
「解りました」
そう言って、僕と亮太は、ブースの方に移動した。
ブースの中に入り、ラジオの準備をする。
スピーカーから
「2人とも、準備はいいかしら?」
と聞こえて来たので、僕と亮太は、Okのサインを出す。
サインをした後
「じゃあ、行くわよ? 洋子、お願い」
「はいは~い」
そう聞こえてから、洋子先輩が、こう話した。
「これから、お昼の放送を始めます」
こうして、僕と亮太のラジオ放送が、始まった。
「皆さん、こんにちは、今日も始まりました、ヤマノベラジオ、今日の司会は、放送戦隊ヤマノレンジャーでお送りしています、ちなみに俺は、ブラックですよ」
「あ、あの……ホワイトです、よろしく」
「おお~久しぶりにホワイトちゃんの声聞いたって感じですね、うんうん、相変わらず、萌え~ってなる声です」
「そ、そんな事を言われても、困るのだけど……」
「じゃあ、とりあえず最初のコーナーに行ってみよ~では、音楽を流します、レッツゴー!」
「何で、そんな掛け声……??」
そう言ってから、音楽が流れる。
音楽が流れている間に、ブースの方に、洋子先輩が、ノートPCを持って、入って来た。そして、音楽が終わって、再び、マイクで話し出す。
「今回の曲は、ロックで決めてみたけど、ホワイトちゃん、どうだった」
「いや……お昼に流す曲では、ミスマッチかなあ……とか、思うのだけど」
「そこはスルー方向で行きたいと思います」
「ええ!?」
「そうですね……山野辺高校HPの放送戦隊ヤマノレンジャーの感想でも、見てみようっと~え~っと何なに~「ホワイトちゃんラブ!」「ブラックいいかも……」「ホワイトちゃん、毎回出てくれ!」……圧倒的にホワイトちゃん人気ですね、あ、でも俺の事もいいと言ってくれた方、ありがとうございます」
「うわ、ホントだ……自分の感想ばっかり……いや、ほめられてるのはうれしいけど……萌え~とか言われるのはちょっとって感じなんだけど~」
「じゃあ、次のコーナー、お待たせしました「ホワイトちゃんに言って欲しい事」では、早速選びたいと思います」
「え、待ってたの……?」
「ふむ……どれどれ……では、ヤマノベーさんからのリクエスト「ホワイトちゃんの、お兄ちゃんを優しく呼ぶって感じでお願いします」と書かれているぞ?じゃあ、ホワイトちゃん、どうぞ~」
「ええ!?う~ん……「お兄ちゃん?こっちに来てよぅ~」こんな感じ……?」
「うおおおテンション上がってきた!」
「何で、ブラックがテンションあがるの!?」
「っと、もう時間だ、時がたつのは早いっすね~、お相手は、放送戦隊の常識人、ブラックと」
「いつから常識人に……えっと、ホワイトです」
「で、お送り致しました~この番組は、放送戦隊ヤマノレンジャーの提供でお送りしました」
そう言ってから、マイクのスイッチを切る
そして、ルームに戻り、洋子先輩が、こう言った。
「これで、お昼の放送を終わりにします」
そう言ってから、マイクのスイッチを切る。
「お昼の放送は、これでOKね? じゃあ、次は放課後だけど、放課後に人形劇のキャストを決めたいと思うわ、では、解散」
彩部長が、そう言ったので、僕と亮太は、自分のクラスに戻る。
うん、人形劇って、一体何なんだろうなあ……と僕は、そう思っていた。
午後の授業は、音楽の授業だった。
音楽室に行き、先生に言われて、合唱をする羽目に……これって不味いな……と、僕は思い、持ってきたノートにこう記す。
「先生、僕、喉がやられてて声が出ないので、合唱ができないんですけど……どうすればいいですかね?」
そう書くと、音楽の先生が
「じゃあ、楽器の伴奏をお願い」
と言って来たので、僕は、楽器の演奏をする事にした。
ちなみにやったのは、ピアノで、ピアノは、昔にちょっとやった事あるので、問題なく弾く事が出来て、何とか音楽の授業が無事に終える事になった。
授業が終わり、放課後 僕と亮太は、部活があるので、放送室に向かう事にした。
放送部の中に入ってから、声を出す。
「ふう……」
「さっきの音楽の授業は、危なかったな?」
「うん、また音楽の授業あるみたいだし……どうしよう……」
「そん時は、先生に言うしかないんじゃないか?」
「うん、そうだよね……」
僕と亮太がそう話していると、部長の中田彩さんが、こう言って来た。
「二人とも来たわね? じゃあ、早速人形劇の練習だけど、使う人形は全部で三体あるわ、ボディーに関しては、男の子一人に女の子二人の三体となっているわよ? で、配役だけど、やって貰うのは、洋子と亮太君と聖君にお願いするわ、太一は裏方で、私がナレーションを担当するわね」
「解りました」
「じゃあ、配役を決めようか?」
「はい」
そう言って、洋子先輩と三人で、配役を決める事になった。
「じゃあ、俺が男の子ですかね」
亮太がそう言ってくる。
僕も、それに対して意見する事にした。
「亮太……僕が男の子やってもいいかな?」
「でもさ……聖? 俺の声で、女の子役やってみて、想像してみなよ?」
そう言われたので、僕は亮太の声で「こんにちわ~私、女の子ですぅ~」とか想像してみる。
うん……はっきり言って、不気味だった。亮太は、思いっきり男の声をしているので、かなり変になるんじゃないかな……と思う。
「うわ……似合わないね……聖君、ここは男の子役あきらめた方がいいのかもね?」
そう洋子先輩が言って来たので
「はい、そうします……」
僕は、そう言う事にした。
「大丈夫、聖の声なら、似合うと思うぞ?」
太一先輩もそう言って来たので、これは、やるしかないかな……と思ってしまった。
「じゃあ、洋子先輩、僕、女の子役やりますよ」
「了解、一緒に頑張ろうね? 聖君」
「よし、これで、配役は決まったわね……おっと、もうこんな時間ね? 洋子、お願い」
「はいは~い」
そう言って、洋子先輩はマイクのスイッチを入れて、こう話す。
「下校の時刻となりました、皆様、速やかに下校して下さい、繰り返します、下校の時刻となりました、皆様速やかに下校して下さい」
そう言ってから、スイッチを切る。
「これで、OKよ」
「よし、人形劇の練習は、明日からにしましょう、今日は配役を決めるだけにしときましょうか、で、明日のラジオだけど、亮太君と太一にお願いするわね?」
「りょ~かい」
「解りました」
「では、解散!」
洋子先輩が、そう言ったので、放送部の活動は、これで終わった。
終わったので、亮太と一緒に下校する事にした。
帰り道に、亮太が、話しかけてくる。
「聖、明日から頑張ろうな?」
「うん……」
「なんかちょっと元気ないけど、どうした?」
「いや、女の子役をやって、大丈夫なのかな……と思ってね?」
「大丈夫だと思うぞ……聖のその声ならばな? 結構人気だしな?」
「そ、そう……これは、ありがとうと受け取っておくべきなのかな……」
「じゃあ、俺はこっちだから、じゃな?」
「さようなら」
そう言って、亮太と別れる。
僕は、本当に大丈夫なのかな……と思いながら、家へと帰って行ったのでした。