~第九話~
学校が休みの日になって、僕は、いつもの時間に起きてしまった。
まあ、これから二度寝するのもなあ……と思ったので、起きる事に決める。
顔を洗って、今日は出かける予定を入れているので、外行きの服装に着替えることにした。
着替えが終わり、朱莉母さんの作ってくれた朝食を取っていると、ピンポンとチャイムの鳴る音がした。
母さんが「はいはい~」って言って、玄関に向かう。
僕は、まだ食べ終わってないので、食べ終わってから、玄関に向かう事に決めた。食事が食べ終わり、玄関に行くと、そこにいたのは、遊びに行く約束をした亮太の姿だった。
亮太も出かける用なのか、動きやすい格好をしている。
「じゃあ、聖、行こうか?」
「うん、じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい~」
母さんがそう言って、僕達は、出かける事にした。
歩いていると、亮太が
「なあ、聖……」
「何?」
「さっき家の中にいた人ってさ……もしかして、お姉さんか?」
「僕には、姉という存在はいないよ?」
「じゃあ……」
「さっき亮太が会ったのは、僕の母親だよ、僕と母さんって、双子みたいに見えるんです、驚いたでしょう」
「嘘!? 思いっきり聖とそっくりだったぞ!?」
「母さんと街を歩いたら、双子?って言われる事、結構あったりしますね」
「は~……なんか、凄いなあ……」
「ところで、亮太……今日は、一体何所に行くつもりなんです?」
「ああ、そういや言ってなかったな、今日は電車に乗って、ちょっと行きたい街があるんだ、だから山野辺駅に行こう」
「解りました」
一体どの街に行くんだろ? と思ったりもしたけど、はっきり言って、この山野辺市以外の街って、行った事がないので、ちょっと楽しみでもあった。
僕と亮太は、山野辺駅に辿り着く。そこから、電車に乗って数十分、辿り着いた街はと言うと
「この町に来たかったんだ」
「ここって、秋葉って言う町なんですね」
「ああ、色々な物があったり、色々な人種がいたりする、結構凄い街だぜ?」
「そうなんですか」
「じゃあ、行きたい店があるから、行こうぜ」
「解りました」
そう言って、僕と亮太は、大型電気店へと入って行った。
店内は、結構広く、電気店なので、色々な品物が置いてあり、値段を見てみると、高そうなのや安売りしている物もあったりした。
亮太は、何か見つけたらしく、ある物を買っていたりしている。一体何を買ったのかな……と思い、聞いて見ると
「ああ、丁度欲しかったゲーム機、SNPがあったからさ……ここで買うと特典で、ウエストポーチが手に入るから、ここに来たんだよ、聖もここで、何か買うのか?」
「そうですね……」
僕は、店の中を見て回る事にしたけど、これと言って欲しいものはなかった。一通り見て回った後、亮太にこう言う。
「欲しい物はなかったです」
「そうか、じゃあ外に出るか」
「はい」
そう言って、店を出る。店を出てから、次に向かったのは、喫茶店だった。
「クラスメイトが言ってたけど、この店、結構有名な店らしいぜ?」
「そうなんですか……それにしても、凄い名前ですね……」
その店の名前は、ラブ喫茶「アイライク」と書かれてあり、店の外装も凄い色合いをしていた。
「とりあえず入ろうぜ?」
「そうですね」
そう言って、店内に入る。店に入ると、いらっしゃいませ~と声をかけてきた人の格好が
メイド服を着ていた。もしかして……ここってメイド喫茶? と思ったけど、他にもウエイターの格好をした人がいるので、そうでもないのかなあ……と思ってしまった。
「こちらに案内します」
そう言われて、指定された席へつく。
メニューを見てみると……よく解らなかった。
「聖、決まったか?」
「ちょっと言い回しが独特で、よく解りませんけど……まあ、決めました」
「俺も、決まったぜ、じゃあ、呼ぶか」
そう言って、亮太が、すいません~と言う。
すると、ウエイターの格好をした人がやって来て、こう言った。
あれ……? この人、よく見ると……女の人?って感じがする。
なんか……格好いい感じの人だ……と、そう感じた。この人、モテそうな感じがするなあ……
「いらっしゃいませ、ご注文は?」
声も女性独特の声だったので、やっぱり女の人なんだ……と、確信した。
「じゃあ、天使の微笑みをお願いします」
「じゃあ、僕もそれで」
「かしこまりました、少々お待ち下さい」
そう言って、僕達の席から離れていく。
その人が厨房に行って、直ぐに出て来て、声が聞こえたので聞いて見ると
「まこさん、かっこいい~」とか「まこさん、また、やって来ました……」とか、女性客が、そのウエイターの人に言っていた。カッコいいって……確かにカッコいいけど、女の人に言っているよね……?
「なあ……聖、あの人、女性客ばかりに人気だな……」
「あ、本当ですね……何か……凄いです」
そう話していると、別の人が、品物を持って、僕達の所に来た。
「お待たせしました~天使の微笑みです、ごゆっくりどうぞ~」
天使の微笑みを見てみると、思いっきりショートケーキだった。
ここでは、そう言うんだ……と思いながら、ショートケーキを食べる。
うん、味に関しては問題はなく、普通に美味い、僕は、とりあえずお礼を言った。
「ありがとうございます」
「ああ、本当においしいしな?」
僕達がそう言うと、店員さんがあれ?って感じの顔をした。うん……何だろう……?
「あの~」
「はい?」
「もしかして……貴方達って……山野辺高校生?」
「はい、そうですが?」
「そっか! 何年生?」
「一年ですけど……?」
「じゃあ、後輩君かあ……私、その学校の三年生だよ? で、あっちのまこも、同じなんだ」
「あ、そうだったんですか」
「なんか聞いた事ある声かな……って思ってたけど、その声って、お昼のヤマノベラジオでやってる、ホワイトとブラックの声だよね?」
もしかして、今の会話で、正体がバレタのか!? と、ちょっと焦ってしまった。
「あの、先輩……その事なんですが……内緒にしてくれます?」
亮太がそう言うと、ウエイトレスさんは、考えて
「まあ、本人がそう言うんだし……秘密にしとくね? 正体が判らない方が、妄想しやすいしね~」
「さすが、先輩、よく判ってますね」
「まあね~あ、私は、三年の栗谷美鈴よ? ここでバイトしてるから、よろしくね、後輩君達、じゃあ、仕事に戻るわ」
そう言って、美鈴先輩は、仕事に戻っていった。
「何とか、これで大丈夫だと思うぜ? 聖」
「うん、だといいけど……」
あっという間に食べ終わったので、会計を済ませる。
外に出た後、亮太が
「もう帰るか? 聖」
「そうですね、ちょっと疲れましたし」
そう言って、電車に乗り、山野辺市に戻ってきた。
駅で、亮太と別れて、僕は、自分の家に戻る。家に戻ると
「お帰り聖ちゃん、もしかしてデートだった?」
と、母さんが変な事を言ってきた。
「デートって……男同士で言わないでしょ……そんな事、僕が女の子だったら、そうだったのかも知れないけど……」
「けど、聖ちゃんの見た目は、女の子に見えるし、そう見えるのもおかしくは、なかったんじゃない?」
「う……そうなのかな……」
僕は、そんな風に見えて欲しくないなあ……と思っていたのでした。
洋子と太一のラジオの話は、カットとなっております。
理由、話数ミスですね、まあ新しく書いてもいいのですが、特に問題はなさそうなので、そのまま続筆したいと思います。