後処理
今回短めです。
ガーダーが六人がかり放水し、やっと火災旋風はおさまった。
が、被害は街の全域にわたり、リゼンタへと続く山までをも丸裸にした。
シアンは反逆者の特徴を隊員全員へ伝えた。しかし、度重なる襲撃で火傷を負った者が多く、捜索部隊が反逆者を見つけ出すには時間がかかりそうだった。
「では……行ってきます」
ニーカが言った。
魔石の解析に必要なあれこれを詰め込んだリュックを背負い、ニーカたち解析部隊は、死の臭いが充満する街へ入っていこうとする。
「だけんどよ、ニーカ」
赤子が見たら泣き出しそうな強面で、ラゴウが気遣わしげに言った。
「今回はこれまでで一番被害が大きい。っちゅーことは、街ん中はもちろん、池は水面が見えないくらい、瓦礫や溺死した人で埋まってるだろうけど……お前さん平気なんか?」
「ほえ? あ、は、はい!」
「んな強がらんでもええんだぞ? お前さんは女の子なんだし」
「はぁ……。でも、ホントに平気、です。死体は喋らないので、むしろ好きなくらいですから」
「そ、そうかい。そんなら、杞憂だったな。すまなんだ」
ニーカから眩い笑顔が返ってきたラゴウは、頬を引きつらせて言った。
「えーと、んじゃ、隊長。俺は他の部隊の何名か連れて、ちぃとリゼンタの様子を見に行ってきやす。『アレ』を見る限り、レイラーの奴は無事でしょうけどね」
ラゴウはエリシアに向き直り、がっしりした顎で、山の向こうを指す。そこには土製の巨大な刀のモニュメントが建てられ、山をぶっ刺したような状態になっていた。
「間違えようもなく、レイラーの仕業だな……。機関の先発隊の協力が得られて、収拾がついたんだろう。しかし……連絡が取れないからといって、事態の収束を知らせるためにあのような方法を使うとは……あの酔っ払いめ」
エリシアは呆れたように告げたが、その口元は弧を描いていた。
部下たちを見送ったエリシアは、シアンを探す。野営のテントや避難所を見て回り、それから関所だった瓦礫の山に視線を向けると、その天辺に座りこむ亜麻色の髪を見つけた。




