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星屑のリング  作者: 星歩人
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第三章 あたしの夢 第六話 絶対ピンチ

 まず、女性科学者の身元が判明した。グレン・マキナ。マキナ家の次期当主となる方で、飛び級で大学の修士課程も経て宇宙生物専門の博士でもあった。


 ようやくマキナが探しているものの有りかが分かった。砂漠服を着せて歩かせた時に呟いていたのは、目的の場所をポイントごとに確認する測量の為の目印になる場所だったの。座標だと場所が簡単に分かってしまうから、原始的な方法で場所を記して、それを口伝で教えられてたみたい。

 そこで、テッドは土地勘のある副長のノックスさんにその情報を伝えら、その場所が砂虫の墓場と言われる一帯の中央にある入江だと分かったわ。


 マキナの方もパパから情報が入ったわ。故郷のアクエリアで内線が起きて、彼女の親族がシェルターに逃れたのだけど、周囲を有毒な汚染物に囲まれて脱出不可能になったみたい。

 マキナ自身はこういう事態とは関係なく、生物学者の試験を受けていてこの事実を知って、調査に当たったのだけど、そのことをベルゼブブのはぐれ部隊に嗅ぎ付けられて、何故だかその情報をタチアナさんが拾ってしまったという訳。


 仕事の依頼窓口は、口を空けただけで、ネタの選定は依頼者任せだったんだけど、あれって、場所が単に自分の故郷で業者があたしらだったから、選んだっぽいよね。全く、公私混同もいいところだわ。

 不運だったのは、場所の座標情報がなかったことね。マキナだけじゃ不安だからと、政府のエージェントも数十名送り出したけど、この星の気象は知られてないことが多くて、未だに誰も目的地にたどり着けなくて、遭難者続出って状況らしいわね。こちらがわに誰もいないって時点で、出発点から間違ってるてことなんだな。

 あの位置情報、時間帯とか自然現象とかも条件にいれてあるのが嫌らしい。まあ、彼らが解析するにはあと半年はかかるのじゃないかな。


 さて、ここからが大変な訳ですよ。色々な情報が入ったおかげでマキナの記憶が戻ってしまったの。家族の写真を何気に置いておいたのよ、そしたら、大泣きしはじめて、家族を師匠を助けなくちゃって大声で叫びだして、あばれてさ、パニックになって、パトリシアが鎮静剤を射って静めたあと眠らせたわ。


 それで、眠ってもらったのはいいけど、どうしたものかと思ってるところなのよね。

「しょうがない。芝居を打つか」

「芝居?どんな芝居よ。三ヶ月近くたって、仕事のタイムリミットはあと、三週間しか無いのだけど。三週間たったら、わたしたちは多額の借金抱えることになっちゃうのよ。あの宇宙戦艦のモニタだって降りなくちゃいけない可能性もあるんだからね」


 マキナの記憶回復を受けてカレンは戻ってきたそばから、テッドにつかかっていた。

「騙して、恨ませて、求めさせて、友情を結ぶというハッピーエンド作戦さ」

「なにそれ?」

「ああ、簡単だよ。あの娘が倒れただろう。あそこからはじめて、船に上げて歓迎の宴をやる。さんざん楽しませて、疲れて眠らせて、またもとの場所に戻す。

 そして、目的地にいかせて、途方に暮れさせて、俺達を頼らせる。あとは、助けてやって、あの娘を送り届ければ、俺達へのおとがめもなく、お金も入ってハッピーエンドってわけさ」

「なんで、歓迎の宴でもてなして、一旦戻すはいいとして、目的地にいかせてなんで途方に暮れるの?」

 あたしもテッドの意見には、腑に落ちなかった。

「あの娘が来たのは三ヶ月前だ。あの時期は乾期だったが、今は雨期だ。水面はかなり上昇している。ローラの話しによると例の生物は植物で、場所を移動しないから、今は千メートル以上水の底にあるってことさ。

 水の底に潜るには潜水艇がいるが、その前に、あの娘が持ってた情報には雨期の情報が無い。だから、入江に行っても例の生物は見つけられない。情報が間違っているか、自分が間違ったのかと疑心暗鬼なる。

 でも、少なくとも自分が間違ったのかという疑念だけは取る必要があるから、俺達は砂上船で入江に先回りしておくのさ」

 「そしたら、マキナさんは、わたしたちがマキナさんから情報を盗みとってそれを解析して、お目当ての場所にいるとわかれば、彼女が持っていた情報が間違ってなかったと思う訳ですよね。

 そして、不足する情報を聞こうと家族を頼りたいけど通信手段が無い。そこで、彼女が記憶障害をおこしていたときに暮らしていた砂上船での生活の記憶が、わたしたちの砂上船が恒星間通信を備えていることに気づいて話をつけに来るって訳ですね」

 アダムさえてる。この鋭さはイブと一緒だ。

「マキナちゃんを騙すのは気が引けるけど、あたしたちのこともあるから、その話乗ったわ」

「出来すぎの感じもするけど、あんたに賭けよう。お姉ちゃんがオッケーならわたしは反対する理由はないわ」


 こうして、作戦は始まったのだけど、あたしは、マキナと親密だったから、宇宙(そら)に上がって、代わりに砂漠モードのツンツン頭のカレンちゃんにエスコートいただくことになったのね。あれだと、ちょっと怖いからいい刺激になるかもって判断なんだけど。


 テッドの思惑通りに事が運んでったから、こっちもビックリよ。向こうの家族をいいくるめちゃって、大金ふんだくってるし、流石にあたしも自分が小者だって知らされたわ。あたしにはできないよ、窮地にあるマキナちゃんの家族から大金巻き上げるなんて、あいつ絶対に心臓に毛が生えてるわよ。

 そして、今日はダイブの日。ここまで、何も問題なく来たのが不思議なくらいよ、タイムリミットまでまだ一週間あるからね、今日で終わるからぜんぜん余裕よ。

 ああ、それにしても、マキナちゃんともうお風呂で体流しっこしたり、一緒に寝たりできないなんてショックよ。モニタ越しに見る本物のマキナちゃんは、凛々しくて、声にも芯の強さが感じられてとても格好いい。これじゃあ、あたしのこと分かっても、お姉ちゃんだなんて呼んでくれないかもね。さようなら、あたしのマキナちゃん。


 あたしは、宇宙を眺めた。ラフレシア宙域には、意外と早く、五年以内には行けそうだけど、あたし一人で行くことになっちゃうかもね。テッドはカレンちゃんと結婚しちゃうかもしれないし、それを考えてあたし、航海士の資格、実はとってたんだよね。どうせ、あたしは皮肉やで、身勝手で、いじり好きの嫌われ者よ。


 そう思って、部屋に戻ろうとしたら、ビデオメールが届いていた。差出人は、タチアナさん、もといハルカ・ミライさんのところのメガネくんこと、セルゲイだった。

 またデートのお誘いなんだろうな。これで、三十五回目なのにまだ諦めて無い。あたしって、そんなに魅力的に見えたのかなあ。かなり、愛想悪かったはずなんだけど。あの子って、マゾの気があるのかな。悪い子じゃないから、オッケーの返事出しちゃおうかな。


 あたしは、メールを開いた。だが、それは、デートのお誘いなんかではなかった。

『ウルスラ、俺だ、セルゲイだ。いいかよく聞け。おまえたちが囮に放ったデクドロイドは、はぐれベルゼブブの連中に回収されて、もう、足がついてるぞ。

 アーニャ叔母さんが、捕まえた連中は、脱獄して、お前らの偽装を見抜いたんだ。もうじき、そっちへやって来る早く、逃げろ』


 逃げろて行ってもどこへ、それにこれビデオじゃないの。あれ、後ろの時計こっちの標準時間とほぼ同じのを指してる。二分遅れだけど。これリアル映像なの?

『セルゲイ、あたしは宇宙にいるよ。座標送るからこっちへ来て』

 あたしは、セルゲイの宇宙船を捕捉して、誘導ビーコンを送った。彼は息を切らしてやって来た。これがあの青ちょろかったメガネくんなんだろうかって思うほどに、別人のようで頼もしくさえ思えた。

「この宇宙船は、地上には降りれるのか?」

「だめ、その能力はないわ。これだけ大型だと、重力圏を抜けられないから」

「テッド叔父さんは、どうしてるの?」

「砂上船で潜水の指揮をとっているわ」

「無線はこれか、『テッド叔父さん、テッド叔父さん』」

『ン、誰がおじさんだ。俺はまだ十九だぞ』

『叔父さん、こんな時にふざけるなよ』

『おー、セルゲイか、久しぶりだな。姉さんの代わりに来させられたのか』

『そんなところだよ。今、何してる?潜水ってのは終わったの?』

『ああ、今、引き上げ中だ。それよりも、さっき砂虫の大物がかかりやがてさ、成分分析に出したら最高値がついたんだぜ。それで、カレンたちの帰りを待たずに、宴会やろうって、準備中だよ。

 おまえも、ウルスラも降りて来いよ、歓迎するぜ』


 相変わらずテッドの能天気さに、メガネくんちょっとイラついている。親指の爪を噛んでる。

『大変なんだよ、そっちにベルゼブブの戦艦が押し寄せて来るんだよ』

『えー、なんだって、よく聞こえないぞ』

 凄い雑音が入ってきた。向こうの声は聞こえるが、こっちの声が届いていない。ベルゼブブの船の位置情報も掴めない。砂上船の装備じゃ、ベルゼブブの小型戦艦は落とせないわ。メガネくんが掴んだら情報通りなら中級の巡洋艦並の戦力をもってるのよ。ああ、カレンちゃん、マキナちゃん、ローラ。どうしよう。戦艦の砲撃は強力だけど、ここから撃つには正確な位置情報が必要よ。ここからの望遠での捕捉だけじゃ、十メートルは誤差が出るわ。あたしは、気だけが焦った。

 そして、けたたましく、警戒アラームが鳴り出した。

「しまった妨害電波だ。ウルスラ、レーダーはどう?」

「どうって、だめよ。ぜんぜん位置を捕捉できないわ」

 ほんとに駄目だ、何も反応してない。イヴは探ってくれているけど、これはすぐには無理だ。

「畜生、せっかく来たのに、一足遅かった。母さんに会わす顔がない。どしたらいいんだ」

 メガネくんは、黒ぶちメガネをつけたまま、窓を殴った。あたしもどうしていいかわからない。


『ウルスラさん、何かが電波を発しながら打ち上げられて来ます』


 あたしは、電波のパターンを解析機にかけた。カレンちゃん?確信は無いがそんな気がした。

「イヴ、解析して、コードはあたしのコードを使って」

『ウルスラさん、これは地上の移動物体の遷移予測座標です。スピードからして、砂上船ではありませんし、識別信号も出ていません。そして、打ち上げられたのは砂の海面からです』

「よっし、イヴ、主砲のターゲットをそのまま予測座標に合わせて、砂上船は動いてないから、砂上船との間が安全距離に達したら、主砲を射って頂戴」

 イヴは了解すると、主砲を撃ちやすくするために、船体を回転させ、甲板を地表に向けた。これで、準備オッケーいつでも来いだ。そして、数秒後に主砲は発射された。目標が砂上船から離れたのだろう。地表では爆発が起きたことが確認された。長距離望遠の映像でもはっきりとそれが見えた。

 その数秒後に妨害電波はなくなり、砂上船からは、歓喜でむせぶクルーたちの声が聞こえてきた。


『イヴ、ウルスラ、スゲーぞ。有り難う。おまえたちも降りて来いよ、祝杯あげるからよ』

『こっちをほったらかしできないわよ、カレンちゃんとマキナちゃん、ローラを祝って上げて』

 あたしは、そう言って通信を切った。メガネくん、お手柄だったけど、ちょっとまだ力不足だな。でも、彼の通報で助かったし、緊急に入れてくれたプログラムのおかげでやつらを倒せたから、これはこれで、いいと思うな。冴えないところが、彼っぽいか。

 高速移動物体予測迎撃プログラム、こんなのこの船に無いんだから、さりげに入れるところがにくいよね。あたしはカレンちゃんほど運動神経よくないから手動じゃ自信無かったもの。


「さて、セルゲイくん、今夜はあたしの部屋で、お食事でもいかがかしら」

 あたしは、彼に迫ってみることにした。あそこまで、誘うのだから、あたしへの思いとやらを聞かせてもらいたくなったのかもしれない。

「いいのか、本当に。なんか、俺、最後、ぜんぜん役立たずだったが」

 セルゲイは、キョトンとした顔であたしを見つめた。あたしは、彼の頭を両手で掴んで、キスをしてあげた。「今は、それで十分よ」



 あたしたちは、お酒も入って、何となくいい感じっぽくなってきた。そして、服を脱ぎ下着姿となってベットイン。

「・・・・・・・!?」

 あたしは、ふと気になることが出来、セルゲイの顔をまじまじと見た。でも、似ていない、テッドとはぜんぜん違う。細面で、茶色で癖のあるボサボサ髪、茶色の瞳、控えめだが時には熱くなる情熱的な性格、

「どうした?ウルスラ」

「あんたさあ、さっき変なこと言ってなかった?」

「変なことって?」

「テッド叔父さんとか、アーニャ叔母さんとか、」

「だって、そうだから。俺は、テッド叔父さんの姉の子供だから。マリア叔母さんとは、おない年で、ひとつ上の姉貴タニアがテッド叔父さんとおない年なんだよ。叔父さんたち、乳を分けあった兄弟姉妹がいるとか言ってなかった?」

 「え、あんたタチアナさんの息子だったの、メガネくんとか呼んでたから、気づかなかった」

「母さんは、仕事の時は、他人で通す人だし、俺もそれを希望したんだ」

「じゃあ、ミライちゃんも」

「ミライは出来る奴だけど、まだまだ見習いだね。でも、可愛いところは認めるけど、やはり、俺は、仕事をさっとこなす君の方が魅力的なんだ。

 どこか他人を寄せ付けないオーラが特にしびれた。今は、ちょっと違うみたいだけど、それでも君の魅力は変わらない」

 あらあ、嬉しいこと言ってくれるじゃない。テッド叔父さんとは違って、素敵なこと言うわね。きっと、親父さん似なのね。

「あなたのお父さんはどんな人なの」

「無口で武骨な機械技師かな?テッド叔父さんの砂上船は、父さんが作ったんだ。あの船ってさ、あれだけの重量があるのにわずかなだけ浮いてるんだぜ、それであれだけスムーズに動くのさ。

 俺は、父さんみたいな人に求められるエンジニアになりたいんだ。地味でもいいから、自分の腕をずっと磨くそんなエンジニアにさ」

 へー、知らなかった。結構、いいこと言うじゃない。この人は意外とあたし向きなのかもね。あたしはなにやらむらついてしまい、セルゲイにキスをした。そうするとお互いスイッチが入ってしまい。求めあわずにはいられなくなった。

 いっておくがわたしは処女だ。だが、火がついたわたしはそういうことも気にしなくなっていた。気づくと体は布切れ一枚もまとっていなかった。


「・・・・・・・・!?」


「あれ、タイミング不味かった?」

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