第27話 寮母さんに泣きつく
「ということなんだよぉ、金之助さぁ~ん」
真城は寮母に泣きついた。
金之助は屋台で夜の仕込みをしながら、どうということもないといった感じで言う。
「それは残念だねぇ。夜は焼きそばとか、牛の串焼きなんかも出るのに」
「なんだそりゃー!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ! 昼と夜ってメニュー変わるの⁉」
真城と坂下は悲鳴を上げた。
金之助はソーセージを串にさしながら、ニッコリと笑って言う。
「うん、変わるよ。フランクフルトがアメリカンドッグになるとかね」
「かびょーん!」
「なんてこった!」
真城と坂下は両手で頭を抱えてショックを受けたように揺れている。
金之助は追い打ちをかけるように言う。
「あと、りんご飴とかイチゴ飴とかもだすよ」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。すいぃぃぃぃぃぃぃつぅぅぅぅぅぅぅ」
「飴のかかったフルーツぅぅぅぅぅ。微妙に手間のかかるやつぅぅぅぅぅ」
「うん、そうだよ。手間がかかるから、文化祭とか特別な時でないと出せないんだよねぇ~」
ニッコリ笑ってとどめを刺す金之助に、真城も坂下も虫の息だ。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。オレたちはなんて愚かな真似を……」
「今日を逃せば、最悪来年まで待つのか⁉」
金之助は下ごしらえの手は休めずに、愚かな2人へ穏やかに聞いた。
「ふふ。そもそもさ。200,000,000陸の孤島学円もあったのに、なんで使い切っちゃったの?」
「だって魅力的な商品がぁぁぁぁぁぁぁ」
「そーそー、それに佐藤がメイドコスして売り子してんだもん。つい、買っちゃうよぉ」
真城と坂下は、足元が土の上でなかったら床でゴロゴロ悶えるであろう所までダメージを受けていた。
「オレたち飢え死にしちゃうよぉぉぉぉぉ」
「死ぬっ、死んでしまうっ」
「ふふ。大袈裟だなぁ。でも毎年、君たちみたいに予算配分間違える子はいるからさ。救済用のメニューもあるよ」
金之助の情報に、真城と坂下は息を吹き返した。
「えっ⁉ やった!」
「それってナニ?」
しかし金之助の情報はしょっぱかった。
「塩にぎり」
真城と坂下は衝撃を受けた。
「ガーン。塩のみのおにぎりかよぉぉぉぉぉ」
「それじゃ寂しいよぉぉぉ。せっかくの文化祭なのにぃぃぃぃぃぃ」
もはや真城たちの中での文化祭は、ただの祭りという認識になっていた。
金之助はクスクス笑いながら提案する。
「だったらバイトをしないか?」
「えっ⁉」
「バイトあるの⁉」
「うん。僕たち、寮母さんのお手伝いなんだけど……興味ある?」
真城と坂下はコクコクと思い切り頷いた。




