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煌めくままに恋しよう  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


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第24話 楽しい♪ 買い食い

 たこ焼きの長い列の向こうには、寮母の金之助(きんのすけ)の姿があった。

 色白マッチョな体に白い長そでのシャツにベージュの長ズボンを履き、麻袋のようなエプロンをつけている。

 頭にはベージュのサファリハットをかぶっていて、首元には赤いバンダナを巻いている金之助(きんのすけ)が右手を顔の横にあげて陽気に声をかけてきた。


「よう、君たちも来たんだね」

「こんにちはー寮母さん」


 真城はニコニコして機嫌よく挨拶を返した。

 坂下は金之助(きんのすけ)の姿を上から下まで眺めて感心したように言う。


「こんにちはー。金之助(きんのすけ)さん、完全防備っすね」

「ああ。君らは若いからいいけど、年いってくると紫外線もきついし、虫刺されの後も治りにくくなるからねー。僕は守るよぉ~」

「こんにちはー。でも長袖、暑くないっすか?」


 おどけたように答える金之助(きんのすけ)の袖口あたりをまじまじと眺めて、黒江は聞いた。


「ハハッ。まー長袖でも、半袖でも、暑いもんもは暑いしねー。でも涼しい素材だし、防虫機能もついてるから便利なんだよー」

「えー、それいいなー」


 真城が羨ましそうにすると金之助(きんのすけ)は笑った。

 男らしいが全身のマッチョさに比べると細めのアゴの下で、帽子の紐がゆらゆら揺れている。


「親御さんに言って買ってもらいなよ。ココで生活していく上では便利だよ。虫除け代もバカにならないしね」

「オレ、そうしよー」


 真城が言うと黒江が揶揄うように言う。


「でも真城は親に言うのを忘れるんだろ?」

「あり得る―」


 黒江と坂下に突っ込まれた真城は、ペイペイと2人の頭を軽くはたいた。

 金之助(きんのすけ)が、ケラケラと笑いながら聞く。


「で、何にするの?」

「たこ焼きくださーい」


 真城が元気よく答えると金之助(きんのすけ)が確認する。


「どれ? 普通のでいいの?」

「はい、普通のをひと舟ずつください」

「あいよ」


 黒江の答えを聞きながら、 金之助(きんのすけ)が手際よくたこ焼きを盛っていく。


「わぁー美味しそう」


 真城は目を輝かせた。


「ほい。ひと舟、100,000陸の孤島学円ね」

「じゃこれで」


 黒江が代表して300,000陸の孤島学円を差し出した。


「はい、ありがとう」


 文化祭通貨を受け取ってクルッと後ろを向いた金之助(きんのすけ)のバンダナを巻いた首もとには、デカいオニヤンマのブローチがデーンとついていた。

 

「うわっ、カッコいいっ!」

「ホントカッコイイッすね、金之助(きんのすけ)さん」


 真城が称賛の声を上げ、坂下がそれに賛同すると、金之助(きんのすけ)が嬉しそうに言う。


「あ、これ? 自然科学部の屋台で買ったんだ」

「そんなのも売ってるんですね」


 黒江も興味津々だ。


「うん、そうだよ。面白いから色々と見て回ってみるといい」

「はい、そうします。ありがとうございましたー」


 真城が元気に言うと、黒江と坂下は軽く会釈して屋台を後にした。


「面白そうだよねー、どこ行く? どこ行く?」

「落ち着け、真城。まずはたこ焼きを食え」

「うん」


 黒江にうながされて、真城はたこ焼きを1つ口に放り込んだ。


「アチッ! でもウマッ!」

「うん、うん。美味しい、美味しい」


 坂下も嬉しそうに食べている。

 真城は不思議そうに黒江を眺めた。


「黒江はたこ焼き、熱くないの?」


 黒江は無言でむしゃむしゃとたこ焼きを咀嚼している。


「ん、そんなこともないけど……まぁ、普通」

「普通なのか」


 真城は黒江と同じようにして食べてみた。


「アチッ! やっぱりあちぃよ!」


 大騒ぎする真城を見て、黒江と坂下は腹を抱えて笑った。


「なぁ、金之助(きんのすけ)さんに張り付いてたオニヤンマ、アレじゃね?」


 真城と黒江は、坂下が指さすほうを見た。


「それっぽいな」


 黒江が目をすがめながら言う横で、真城は「じゃ、いってみようぜー」と言いながらたこ焼き片手に、その屋台目指して歩き出した。

 黒江が慌ててその後を追う。


「おいおい、お行儀悪いぞ」

「そうだよ、真城。ソースとか商品に付けちゃったら怒られるぞ」

「大丈夫、大丈夫。坂下は細かいよ」


 真城たちは、それぞれにたこ焼きを手に持って、自然科学部の屋台を目指した。


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