第15話 馬鹿どもは屋上で猥談する
パラソルの下、ビーチチェアに寝そべった男子高生が四人揃うとどうなるか?
猥談が始まるのである。
「なぁなぁ、お前ら。アレって一晩で何回できる?」
それは佐藤の謎発言から始まった。
「あ⁉」
「アレってなんだよ、アレって」
黒江は野太い声を出し、真城はキャタキャタ笑いながら質問をした。
坂下は謎の微笑みを浮かべてビーチチェアに寝そべっている。
水着一枚なのは佐藤だけで、他の皆は普通に服を着て寝そべっているため、ビーチパラソルの下とはいえ脳みそがかなり煮えていた。
でも気分だけはリゾートだ。
色々な物が緩くなる。
「アレと言ったらアレだよ」
佐藤は股間のあたりで手をシュッシュッと動かして見せた。
「あー……」
真城は理解したといった感じの表情を浮かべ、黒江はあからさまに顔をしかめた。
「ふっふっふっ。おれは昨夜、自己新記録を記録したぞっ」
「「おおっ」」
どよめく真城と坂下は小さく手を叩いて佐藤を称えたが、黒江はゴミでも見るような目で見ている。
「それで先生。記録はいかほど?」
調子に乗った坂下が聞くと、調子よく佐藤は答える。
「一晩で11回。10回の壁をようやく超えたよ」
「「おおっ」」
真城と坂下は再びどよめいて、小さく手を叩いて佐藤を称えた。
「何が悲しくて夏休みにそんなことやってんだよ⁉」
黒江が突っ込むと佐藤は鼻で笑って答える。
「ふんっ、そんなことも分からないのかね、キミは。ルームメイトが帰省したからに決まっているだろう」
「「あぁ~」」
真城と坂下は納得の声を上げた。
「他にもなんかやることあるだろ?」
「だってAVとか寮で堂々と見てたら、怒られるじゃん」
黒江の突っ込みに、佐藤は悪びれることなく言った。
「やっぱさ。夏休みには一個くらい何かしなきゃ。夏休みの宿題として、エッチな実験は男の嗜みだろ?」
「おお、何言ってんのかさっぱりわからんが、なんか男らしい」
「だな」
佐藤は実験により真城と坂下の尊敬を集め、黒江からはそれ以上の軽蔑を授与された。
「なんだよー、黒江―。お前だって一晩に何回できるか試したことあるだろ?」
「んー……あるな?」
「あるんかいっ」
佐藤と黒江による軽いコントが行われた後、何回できたのかの発表会が行われた。
興味津々といった様子の坂下が黒江に聞く。
「それでお前は何回できたんだよ?」
「ん? オレは四回」
「少なっ」
坂下はちょっと引いた。
佐藤も驚く。
「えっ。すぐに寝ちゃったの?」
「いんや。八時間くらいかけたかな?」
「「長っ」」
佐藤と坂下は引いた。
「それでお前はどうなんだよ、坂下」
秘密を打ち明けた以上、聞き逃げは許さないといった様子の黒江へ坂下は迷いなく答える。
「おれは八回くらいかなー。一時間一回」
「定期的だね?」
驚いた様子でいう真城の隣で、黒江と佐藤は目をぱちくりさせた。
坂下は真城を見て聞く。
「え、じゃあ真城は?」
「ん? オレは15回」
「多いねー」
佐藤はびっくりして目をぱちくりさせて、黒江はなぜか赤面した。
こうして黒江は遅漏、真城は早漏の称号を得た。
その後も親の赴任先別AV情報などを交換しつつ時間を潰した一同は、突然鳴った黒江のケータイのアラームで次の予定に気付いてしまった。
「あー、そろそろ夕食の準備の時間だ?」
「ホント時間ねーな? しゃーない。そろそろ行くか―」
黒江に促されてビーチチェアからおりた真城の後ろでは、佐藤と坂下が「「めんどー」」と鳴いている。
だが寮母のいない今、何もしなければ何も起きず、夕食にもありつけないのだ。
四人はゴソゴソとリゾートセットを片付けると、夕飯の支度のために食堂へと向かった。




