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ヒロインは奪われてばかり

不良の巣窟で、睨みつけてくる男の横で弁当を食す修行も今日で五日目。

次の日からはさっさと自主的に部屋を訪ねて食事して切り上げ、藤堂以外と会わないようにしてます。

あのピンク頭には1番会いたくありません。見るだけでイライラする。


今日も一人、弁当を広げていると

それはいきなりの出来事でした

「それ、くれ」

長い指がさすのは私のお弁当の卵焼き

「甘めにしてますけど」

「…お前が作ってんの?女みてぇ」

寮生活で弁当なら自前しかないと思うのですがねぇ。しかし、嫌そうな顔をしますね。

「料理人の大半は男性。女性だから料理出来るわけでもないでしょう。ウチの姉たちもまったく出来ませんよ」

「ねーちゃんいんのか?」

「ええ、兄一人、姉二人の四人兄弟で

す。藤堂さんはご兄弟は?」

知ってるけどここは聞くとこでしょう

せっかく口開いたんですし

「兄貴が二人だ」

「仲はよろしいのですか?」

「出来のいい長男に要領いい次男、出来損ないの三男だ、良くねーよ」

「…」

「くれねーの?」

「あ、どうぞ。箸使います?」

「めんどい、食わせて」

まあ、従いますが。

なぜ男同士であーんしなきゃいけないのでしょうか

「どうぞ」

卵焼きを持ち上げ、小さめにパクリと一口。

「…うまっ」

溢れるように呟かれた感想に心臓がドクリと

「たか…!?あーんしてるとかラブラブじゃない!」

今日に限ってピンク頭が子分ゾロゾロ連れて来た。


「うるせーよカズ!…ん。サンキュ」

残っていた分を食べて何事もないように離れていく。

「どうも。…あなた達もお昼ですか?」

「あ、う~うん!鷹明くんのお昼買って来たんだよ~。こいつらが!」

「えっ?購買だったんですか?」

「食堂は使いずれーからな、…卵焼きもう一個くれ」

「私の分がなくなるじゃないですか」

「んな。小さい弁当だからだろ」

「普通です。お気に召しましたか?」

「ン、…卵焼きって甘くても美味いのな」

「お菓子だってそうじゃないですか」

「もしかして、作れんの?」

「カップケーキやパウンドケーキみたいなのなら作れますね」

「食いたい。作って」

「…甘党ですか?」

「悪ぃかよ」

「いいえ、砂糖の量変えなくて楽です。ただ…」

「なんだ?」

「名前はちゃんと使ってください。私は貴方の部下でもなんでもないので。」

「ああ…そうだな、わりぃ。そういや、名前なんていうんだ?」

「雪白 梓です」

「…ゆきしろ な」

「はい」

「俺は知ってるだろけど、藤堂鷹明だ。名前でいーぞ」

おや、何故でしょう?

急に距離感が縮まりましたね?

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