にんまり嗤うネコ
昼食を一緒にと言われましたが、何処で何を食べるんでしょうねぇ?私、お弁当なんですが。
クラスの空気が急に固まる。
「雪白くん!お迎えにきたよーん」
現れたのは、ピンクの髪をした優男。確か不良組のお偉いさん。
「どちらさまですか?」
あ、自分でも冷ややかな声だ。
「あ、そっかぁ!ごめんごめん。オレは二海堂一美~よろしくね~?鷹明くんは~恥ずかしくって部屋で待ってるんで来てくれる?」
「私、お弁当なんですが」
「そりゃあよかった!買いに行かにゃくて済む」
ニコニコと笑う猫みたいな男を一瞥し、ため息をついてカバンを持つ。
「委員長、すみませんが戻らなければ早退にしてください」
クラスメイトの哀れむような視線を振り切り、ピンク頭に付いて歩く。
刺さるような好奇な視線が痛いです。
「ここだよーん」
着いたのは、一般生徒立ち入り注意な不良生徒達の校舎の空き教室。
「鷹明くーん!愛しのハニーご招待してきたよん!」
バーン!と開いた扉の向こうは完全に私有化されていた。
ソファにテレビ。
ゲームやマンガ、お菓子やペットボトルのゴミが散乱してる。
埃っぽいし、スナック菓子臭い…。
「ほらほら、座って!」
ピンク頭に無理やりソファに座らされる。勿論、藤堂の横。
「あ、雪白くんお弁当だから机いるよね~」
寄せられた机には、テイッシュ箱と青年誌。
「じゃ、人払いしてるからゆっくりしてってね~」
こちらが口を開く前にそう言ってピンク頭が出て行く。
ピシャン!と閉められた扉の音がした後は無音。
とりあえず隣に座りこちらを睨む彼に
「藤堂さんは、お昼食べたんですか?」
と尋ねるも無視。いや、だんまりですか。視線はこちらを捉えて離さないですもんね。ま、いいか
さっさと食べて帰りましょう。
お行儀悪いですが、見たくもない書物を乗せた机を足で追いやり、お弁当を膝の上で広げ、10分足らずで食べ終えて、片付ける。
「戻ってもいいですか?」
ハァ、だんまりを決め込まれては敵いませんねぇ。
「じゃあ、失礼しますよ」
そう言い部屋を出る。
五時限目は無事に受けられそうですね。
まだ、睨まれてる気がします。




