王子様はいつか王となる
本日はお日柄もよく、私よりもガッチガチに緊張している鷹明さんの手を握っております。
はい。今日は鷹明さんのご両親にご挨拶に参りました。鷹明さんはこのまま1週間ほど滞在するそうです。
…親に会うの、久しぶりって言ってましたもんね。
「ハァ…」
美形は困った顔も素敵ですねぇ
思わずキスしてしまいました。
「っ!あ、梓!?」
「そんなに気になるなら何も考えられなくしてあげましょうか?」
と耳に吹き込めば真っ赤になってソファから転がり落ちた。
「なんっ!何を!!」
焦る鷹明さんに、クスリと笑って
「フフッ、何を想像したんですか?」
「っ!!…お前なぁ!」
そうやっていちゃついていたらドアがノックされた。
鷹明さんが慌て立ち上がりドアを開く。
「坊ちゃん、旦那様がお待ちです。」
「分かった。梓、行こう。」
案内された応接室は明るくて落ち着く雰囲気でした。
「いらっしゃい」と穏やかな男性の声と明るい女性の声に迎えられた。
「お初にお目にかかります。雪白家次男、梓と申します。本日はお招きいただきありがとうございます。」
「鷹明の父の凰雅だ。」
「母の雲雀です。」
「さ、座りなさい。飲み物は紅茶でも良いかな?」
「はい」
「しかし…」
お父上がマジマジと私達を見比べるように見ます。
「何故お前の方が緊張しとるんだ?鷹明。」
「…べ、別に!」
「フフッ、鷹明さんはヤンチャしてた頃の申し訳なさと、感謝を伝えられない不甲斐なさでぺちゃんこなんです」
「あ、あずさっ」
「伝えたい事、あるのでしょう?タイミングを逃すと二度と言えずに苦しくなりますよ?」
「そ、れは、そうだけど」
「ほら?」
「…」
「鷹明さん?」
震える手を握ると、握り返された。
微笑みを浮かべて待つ。
「…父さん!母さん!い、今まで!迷惑かけてごめん!それでも気にしてくれて、ありがとう!」
ああ、母君が泣いてしまいました。
お父上には「鷹明にはこれからも君が必要みたいだな」と優しい目で見られました。
「私にも鷹明さんが必要ですので」と返しました。
その後、食事に誘われたので御相伴に預かり帰宅しました。
***
梓さんは鷹明の言う通り芯の強いしっかりした子だった。雪白は武家の家系なのも納得だ。
しかし、恋人を紹介するのが鷹明が最初とはな。鷲哉は相手をプライドばかり高くて人を見下すタイプの子で、隼斗はフラフラして火遊びも多い。
夜、鷹明を部屋に呼んだ。
「鷹明。お前がしっかりするなら後継者に指名してもいいと思っている。」
「と、父さん!?」
「お前はまだ子どもだ。だから頑張れば変われる。幸い素晴らしい出会いもあった。守る物が出来たら歯を食いしばって耐えれるからな。期待している。」
「…」
「後継者は血縁から出せば良い。まあ、鷲哉か隼斗の子を養子にしても良いしな。どうにでもなる話しだ。だから、鷹明。やれるだけ、やってみないか?」
「…俺なんかが…」
「鷹明。梓さんの隣に堂々と立てる男になるなら、それくらい出来ないでどうする?」
「!」
「社交界で同性の伴侶を持つなら当主くらいなれないで守れると思うな。彼は確かに強い人だろうが権力はない。そこを守るのはお前しか出来ない。分かるだろ?」
「…」
一番体格が良いくせに甘えん坊で弱虫だった三男坊は傷つけられ塞ぎこんで
「何から、始めればいい?」
恋をして、実らせて
良い目をするようになって帰ってきた。
これならきっと新しい家族を守れる人になれるだろう。
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