王子は剣を捧げ、姫からの口付けをもらう
***サイド鷹明
夏休みまでは、雪白の隣にいられる。
夏休み中も、家族に会う為に二回は会える。
二学期は、このままじゃ話も出来なくなる。
「いやだ。そんなの、ぜってーヤダ。」
雪白の部屋から自室に帰って頭を抱える。
告白はけじめん為にも、雪白ん家に挨拶してからか?
いや、ダメだ。夏休み中にも会いたい!
ちゃんと告白して…でも、振られたらせっかく夏休みまで居られるチャンスが無くなるか?かも…。
罰ゲームで無理やり付き合わせたんだから今更だよな。
雪白もダチくらいには思ってくれてるだろうし。
「そろそろ梅雨や蚊で、此処も使えなくなりますねぇ。」
雪白と見上げ東屋の屋根にはでっかい穴。
「蚊は蚊取り線香焚けばいーけど。雨は、ビニールシートでも張るか?」
いや、だいぶ痛んでるし無理か?
「ここまで来るのも大変になりますし、場所替えですね。」
「じゃ、アジト立入禁止にする。」
「…私、あの部屋あまり好きじゃなくて…」
「じゃあ、空き部屋もう一個確保してくる!」
「…それ、いいんですか?」
「教師はなんも言わねーぞ?どーせ俺らの校舎は俺らしかいないし古いしな。」
「…まあ、ゆっくりしたいですし、掃除はしますから許して頂きましょう。」
「あ、机とか椅子、雪白どんなんが好き?
」
スマホで家具を検索する。
「シンプルなのが良いです。」
「んー、なら、この店のとか」
インテリア店のサイトを開くと、雪白が顔を寄せて来た。
うおー!か、髪が、頬に当たる!今日もサラサラだな!
「好きです。」
「っ!?は!?え?なんて?」
「?こういうのが良いです。好みです。」
雪白が指指すのはシンプルな白のテーブルセット。
「あ、ああ、うん、いんじゃね?他にはなんかいるか?」
「そうですねぇ、室内なら冷蔵庫やIHでケトルとか用意してお茶が淹れれると嬉しいですが。」
「あー!いいな!んじゃ、それも買いで。くつろぐ様に広めのソファもいいな」
「…なんだか、新居の買い物みたいですね。あ!愛の巣?」
「ッ!!ゲホッゲホッゲホッ!」
「大丈夫ですか?」
「ゲホッ…お、おう」
「私そんなに変な事言いました?」
「いや、だって愛の巣はないだろ!」
「古風過ぎましたか?」
「いや、だから、そっちじゃなくて!」
「?どっちですか?あ、でも愛の巣とか言ったらピンク頭ならイエスノークッションとか渡して来そうですね。チッ!」
「あー、うん、やりそうだわあいつ。っか、雪白本当カズ嫌いよな?」
「生理的に無理です。見てると目を潰したくなります。殺って来ても構いません?」
「ゆ、雪白?やって来てものヤが殺すに聞こえたんだが?」
「首を刎ねてもまだニヤニヤ笑いそうですよね、アレ。」
「雪白!いつもの雪白に戻っ、いや、元から冷淡だった!雪白、クールダウン!」
「…梓です。」
「へ?」
「雪白雪白って、私は貴方を名前で呼ぶのに私の事は名前で呼んで下さらないんですか?恋人なのに苗字呼びなの、変だとは思わないんですか?」
ぷくっと頬を膨らませて俺を上目遣いに睨む雪白。めちゃくちゃ可愛い。チューするぞ!
「なんか、スゲー照れるんだが」
「じゃあ慣れるまで呼んで下さい。ほら」
「…アズ、さ。」
「吃ってます。」
「ぁずさ」
「もう一声!」
「梓!」
「はいっ!」
本当に嬉しそうに、頬を赤めてニッコリと満開の笑顔を向けられた。
「っ!!」
気づいた時には、俺は梓を抱き締めていた。
「可愛いすぎんだろ、お前。」
「…どうも」
「っ!口に、出してたか?」
「はい」
「…あー、うん。あの、梓?」
「はい。」
「マジで好きです。付き合ってください。」
「…どこまでですか」
「出来れば将来の俺の墓場まで」
「…それは付き合いではなく、婚姻ですが」
「うん。そんぐらい好きだ」
***サイド雪白
二人だけの空間を持てる事に、少し舞い上がり名前を呼んでもらいたくてワガママを言ってみたら、可愛いと抱きしめられ、好きだと付き合ってくれと言われた。
「どこまでですか?」の返しに、まさかの墓場宣言。
初恋が実るどころか婚姻にまで昇華しようとしている事実に、私の思考は停止してしまいました。
「…っ、ごめ、ん、やっぱ、キモイよな」
呆けてしまってる間に彼の思考が変な方向に走り出した模様。
「何故、キモイ、と?」
「え?いや、だって、男同士、だし」
「…貴方は、私を求めてくださってるのではないのですか?」
「っ!?あ、ぁあ!ずっと側に居たいと思ってる。」
「嬉しいです。」
「へ?」
「貴方に、求めて頂けて、嬉しいです。私も、貴方と過ごす内に惹かれていましたから。」
「それじゃあ!」
「はい。不束者ですが、よろしくお願します。」
そう言い頭を下げたら
「ゆき、あ、梓、さん。それっ」
また真っ赤になってあたふたする鷹明さん。ふふ、可愛らしい。
「お墓まで、ご一緒させてくださるのでしょう?」
と首を傾げれば、更に真っ赤になる、とはいかず、キリッとした表情になられました。
あら、素敵。
「ああ。まずは20歳までに、梓の親御さんが少しでも利用価値があると考えてくれる男にならないとな。」
「利用価値だなんて」
「俺との繋がりにメリットがないと、許してもらえないだろう?それに、梓の隣に立ってておかしくない男になりたいしな。」
「私が惚れた男が大した事ない訳ないじゃないですか。大丈夫ですよ。」
「…。だから、なんで、梓はそんな男前なんだよ…クソゥ。」
鷹明さんは真っ赤になって頭を抱える。
貴方のそういう可愛いらしいところ、私は大好きなんですけどね。
「鷹明さん」
「うん?」
チュ…。
触れるだけのキスを落とす。
目を見開いて固まられる。
瞬きが凄い。キョロキョロしだした。唇に指が触れて真っ赤になる。
「なっ、なな!?」
「キモイですか?」
「!!き、キモくなんかない!」
慌てて否定してくれる彼が愛しくてもう一度唇を合わせる。
目を瞑り真っ赤な彼は
「可愛い」
「っ!」
「本当に貴方は可愛い。貴方を恋人に出来て幸せです。」
額や頬にもキスを落とす。
真っ赤な彼は本当に可愛いくて愛しい。
「っ~!梓は男前すぎだろぅ」




