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第二十三話 神業

 数日後、私はエヴァン様と共にトラルキル家が収める領地へ、歩いてやってきたのですが、想定外の問題に直面しておりました。


「あの見張りは、一体何なのでしょう……?」


 もう少しで領地に入れると思っていたのに、見たことが無い兵士が見張っていて、通ることを妨げられてしまったのです。


 事情を説明しようとしましたが、全く話を聞いてもらえる気配もなかったので、渋々引き返してきました。


「トラルキル家は、ああいった類の見張りを置いていたのか?」


「いえ、聞いたことがありませんわ」


「そうか。益々きな臭くなってきたな……他の場所から入れるか試してみよう」


 エヴァン様の提案通り、別のルートで入れるか試してみたのですが、どの経路も同じ様な見張りがいて、領内に入ることが出来ませんでした。


「本当に、奴らは何者だ? ああいった類の連中は、皆同じ装備を身につけていたり、どこの所属かわかる隊証をつけているものだが……」


「きっと、私達がここで考えていてもわからないと思いますわ。今はとにかく、中に入ることを考えませんと」


 自分で発言しておいてなんですが、それが簡単に出来たら苦労しません。

 最終手段として、強行突破という方法もありますが、エヴァン様に危険が及ぶ可能性は、極力避けたいですわ。


「……そうだ! あの道を使えば!」


「何か方法があるのか?」


「はい。私が案内いたしますので、ついてきてくださいませ」


 街道から逸れて、深い森の中をひたすら進んでいくと、そこには自然の中では明らかに不自然な、地下へと続く階段がありました。


「こんなところに階段? 木々が生い茂っていて、普通では見つかりそうもないような場所だが……」


「これは、トラルキル家のお方が緊急時に使う、避難通路ですの。まだ幼い頃に、とある冒険譚にあこがれた私達が、探検で通ったことを思い出したんですの」


 懐かしいですわ……長い通路を抜けたところで、追いかけてきたルネに捕まって、ローランお兄様のご両親に怒鳴られましたっけ……。


「なるほどな。それじゃあ、ここを通れば奴らに気づかれないで入れるというわけか」


「はい。行きましょう!」


 意気揚々と入ったは良いのですが、中は真っ暗でなにも見えません。こんな状態で進んだら、何かあった時に対処できません。


「これでは進めないな……」


「少し進んだところの壁に松明はかけられておりますが、全て火はついていませんね……そうだ、確か持ってきた荷物の中に、マッチがございませんでしたか?」


「その手があったか」


 エヴァン様は、なにかあった時のために持ってきた荷物の中から、マッチを取り出して松明に火を灯すと、それを手に持ってくださいました。


「これで進めるな。何が待っているかわからない……慎重に進もう」


「はい」


 私が松明を受け取った後、抜け道をゆっくりと進んでいきます。


 抜け道は私達の出す音以外は完全に無音で、やけにひんやりしているのが、不気味な雰囲気を演出しておりました。


「それにしても、意外だった」


「なにがですか?」


「君やローラン殿が、冒険に憧れていたことだ」


「エヴァン様は、そういう時期は無かったのですか?」


「俺は子供の頃から、既に剣術の修行や勉強に明け暮れていたからな。そのような物語を読む時間は、全て鍛錬に回した。何ともつまらない男だ」


 つまらないだなんて、そんなことは決してないと思いますわ。だって、それだけ一つのことに打ち込めるほど剣術がお好きということでしょう?


「……ん? これは……」


 しばらく通路を歩いていると、登り階段があったのですが、その先は瓦礫で埋まってしまい、先に進むことが出来ませんでした。


「こんなこと、普通は放置するとは思えない。やはりトラルキル家になにかあったのだろう」


「ですが、これでは確認のしようも……」


「問題無い。少し下がっていてくれ」


 一体何をされるのかと思ったのも束の間、エヴァン様は目にも止まらぬ早さで剣を何度も振りました。


 すると、目の前にあった瓦礫が粉々になり、小さな石や砂のような姿になってしまいました。


「え、えぇぇぇぇぇ!? が、瓦礫を剣で破壊しましたの!?」


「これくらい、造作もないことだ」


 え、これくらい剣術を学んだお方なら、普通なんですの? 私が剣術に疎いから知らなかっただけ?

 いやいや、絶対にこんなこと出来ませんって! いくらなんでも、凄すぎませんこと!?


「出口はもう目の前だ。さっさとこんな暗い場所なんて抜けてしまおう」


「…………」


「シエル?」


「あ、はい! 行きましょう!」


 あまりの凄さに呆けていたら、エヴァン様にいらない心配をかけてしまいました。


 そうですわよね、一秒でも早く何があったか確認をしにいかなければならないのですから、呆けている暇なんてありませんわ。


「瓦礫のせいで、階段の損傷が見られますわね……ゆっくり行きましょう」


「ああ」


 一歩一歩確実に階段を上り、ついに私達は外に出ることが出来ました。


 そこにあったのは、トラルキル家の屋敷……ではなく、もはやなにがあったかわからないくらい、完膚なきまで破壊された瓦礫の山でした――

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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