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付き合っている幼馴染の彼女が他の男とキスをしているのを目撃した。俺はそんな幼馴染を棄ててから...だったのだが  作者:
第一章

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7/12

7、お礼ですから

詩織と一緒に寝る事になってしまった。

俺は仮にも否定したがその顔にあまり否定出来なかった。

根性無しだわな俺。

まあどちらにせよ寝る時は迫ってきている。

詩織が逃げてきた時には既に19時だった為、時刻は既に21時を回っていた。

家事の手伝いも落ち着いてきたので詩織に聞いた。


「詩織」

「はい」

「何かするか?遊ぶとか」

「...じゃあ」


それから詩織は俺に寄って来る。

そして詩織は「...思いきり甘えたいです」と言う。

俺は一瞬だけドキッとしたが。

(まあ無いな)と思い苦笑した。


「詩織はマジに甘えん坊だよな」

「はい。私、真面目な甘えん坊ですよ」

「...」


俺は詩織を見ながら苦笑する。

それから俺は詩織の手をそっと握る。

詩織はビクッとなりながらも嫌がらず握り返し俺を見た。

そしてまた寄り添う。


「なあ。詩織」

「はい。なんでしょうか」

「お前のやっている事は...その。あくまで俺的には...俺への愛情としか思えないんだが」

「!」

「違うのか?」

「...違いますよ。...私は友人として知り合いとして寄り添っているだけです」


どうしてもそうは思えない。

だが詩織がそう言うならきっとそうなのだろう。

そう考えながら苦笑いを浮かべた。

詩織は寄り添ったまま俺に「すいません。私、なんも手伝いが出来なくて」と言ってくる。

俺は「無理はさせたくない。それに詩織はお客様なんだからな」と笑みを浮かべた。


「お客様...」

「ああ。詩織はあくまでお客様だ」

「ですね」


詩織は笑みを浮かべる。

だがその笑みはもどかしさの様なものが見えた。

俺はそんな詩織の手を握りしめる。

詩織はビクッとしてから安心した様にニコッとした。


「詩織」

「?」

「もし良かったらゲームしないか」

「ゲームですか?」

「対戦型ゲームな」

「あ。良いですね」


それから俺は「じゃあやるか」と言ってから準備をする。

懐かしい古い機械のテニス型の対戦ゲーム。

俺の用意に詩織は「ありがとうございます」と柔和になる。

その言葉に「気にすんな」と言いながら詩織を見た。



そんな対戦型ゲームをしてから寝る事にする。

詩織は「楽しかったです」と俺に言う。

それから笑顔になる。

俺はその顔に「ああ」と返事をした。


「私、なんだか元気になりました」


詩織はそう話す。

俺はそんな詩織に「良かった」と返事をしながら笑みを浮かべてから見る。

結論から言って離れて寝る事になった。

「今は年頃の男女だからそうしなさい」と母親に言われたからである。

でしょうね。

まあ2人で寝せてもらえるだけ感謝だな。


「それじゃあ...詩織。ベッドで寝てくれ。シーツとかは交換済みだから」

「え?」

「え?」

「...そのままでも良かったですよ?」


不満そうな顔をする詩織。

俺はその顔に驚きながら詩織を見た。

そのままってそういう訳にはいかないだろ。

俺の体臭があるんだから。

そう思いながら詩織に「アホ言うな。臭いんだから」と言ってから向く。

詩織はジト目になりながら「臭くないもん」と言ってからそっぽを向いた。

いやいや。


「あのな」

「...残念です」

「残念!?」


唖然としながら詩織を見る。

すると詩織は「冗談です」と言った。

俺は「!?」と思いながら詩織を見る。

詩織はクスクスと笑いながら「でも」と切り出した。


「私、有紀さんの匂いは嫌いじゃないですから」

「...あのな。恥ずかしいから」

「えへへ」


それから詩織は床に敷かれた布団を見る。

そして「私、そちらで」と言う。

そういう訳にはいかない。


「詩織。そういう訳にはいかない」

「でも私だけベッドは...」

「良いから」


詩織は困惑しながらも「...はい」と返事をした。

それから俺は「分かってくれたら良い」と返事をした。

そして俺は「じゃあ寝るか」と言う。

詩織は「はい」と返事をした。



で。

何も起きる訳が無く今に至っている。

俺は夜中、詩織に背後から抱き締められていた。

何故こんな事に。

そう考えながら俺は心臓をバクバクさせながら「お、おい詩織...!」となる。


「有紀さん。寝れないです」

「だからと言って背後から抱き締めるなよ...」

「...今日は寝れません」


(寝れません)じゃない。

そう考えながら俺は赤面する。

すると詩織はギュッと俺に縋る様にする。

そしてすすり泣いた。

俺はその姿に「詩織...」となる。

詩織は「悲しいです」と呟きながら嗚咽を漏らす。

堪らず俺は詩織の方を向いた。


「有紀さん?」

「なあ。詩織」

「はい」

「...俺はお前の事、大切に思ってる」


そう話しながら俺は詩織を見る。

詩織は俺の顔を見てから「...」と泣いた。

そんな詩織の涙を指先で拭う。

それから笑みを浮かべた。


「大丈夫だからな」


詩織に俺は安心する様に言葉をかける。

すると詩織は俺をジッと見た。

それから「有紀さん」と言ってくる。

俺は「?」を浮かべてから詩織を見た。

詩織は俺に対して「お礼がしたいです」と話す。


「お礼?それは?」

「つまりは...」


そこまで言った時。

詩織は俺の顔を持った。

それから顔を近付けてから唇同士でキスをした。

俺はまさかの行為に「は」となる。

そして詩織は顔をゆっくり離す。


「ふふ」

「な、にを...?!」

「これはあくまでお礼ですから」

「ば、馬鹿な!これはお礼じゃないだろ!?範疇を超えて...」

「私からしたらお礼です」


それから詩織は赤くなりながら柔和になる。

柔和になった詩織は俺の胸に収まった。

これはもう範疇を超えている。

恋人の範疇なんだが。

ど、どうなっているんだ!?

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