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付き合っている幼馴染の彼女が他の男とキスをしているのを目撃した。俺はそんな幼馴染を棄ててから...だったのだが  作者:
第一章

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4、ほーかごでーと?

3月は花見の時期だな。

そう思いながら俺は体育、例の数学小テスト。

家庭科をクリアしてから...一気に放課後を迎えた。

俺は隆道に「すまんな。放課後に遊べなくて」と言う。

隆道は「いや。構わない。俺はどうでも良いだろ。いつでも遊べるしな。...詩織さんに構ってやれ」と言いながら笑みを浮かべる。


「ありがとうな」

「ああ。んじゃ明日な」


それから隆道と校門前で別れてから歩き出す。

そして俺は待ち合わせ場所の公園に来る。

詩織はそこで日陰に居た。

俺は風に靡く髪の毛を抑える詩織に声をかけた。


「詩織」

「あ、お兄さん」


そして詩織は笑みを浮かべながら立ち上がって此方にゆっくりやって来た。

俺はそんな詩織に「待ったか?」と聞く。

詩織は包帯を巻き直しながら「いえ。全然待ってませんよ」と柔和な顔をした。


「...そうか?...でも既に居たって事は」

「待ったにせよ私、お兄さんを待つのは苦痛じゃないです」


それから詩織は俺を柔和に見上げる。

俺はその顔に笑みを浮かべながら「じゃあ行くか。体力は大丈夫か?」と聞く。

すると詩織は「はい。大丈夫です。この為に温存しました」とニコニコする。


「...なら行くか」


俺は歩き出そうとした。

その時だった。

詩織が俺の手をまた握ってきた。

それから「行きましょう」と言った。

俺は「お、おい」と慌てる。


「ふふ。幸せです」

「幸せってあのな...」

「...お兄さんだけですよ。こんな事をしているのは。だって普通の人にしたら、やれ皮膚の感染が、ばい菌が、とか言われますから」

「!」


その言葉に俺は眉を寄せる。

それから「そうだな。そうは言いたくないけど確かにその通りかもしれない」と答えた。

詩織は「あくまでうつらないんですけどね」と苦笑する。

顔はあくまで笑っているが...。


「...本当に詩織は強いな」

「私、強くなったのはお兄さんの影響です。これは自信を持って言えます」

「え?」

「私、お兄さんが強く居たから。だから私は強くなりました」


俺は驚きながら詩織を見る。

詩織は俺に対してニコッと微笑み歩き出した。

そして手を恋人繋ぎをする。

な、なんだこれは。



地下街はそんな都会みたく広い訳じゃない。

だが詩織はここが一番過ごしやすいと言っている。

俺は「確かにな」と賛同しながら詩織を見る。

詩織は俺に寄り添いながら歩く。

その中で彼女の顔を見てから引いて歩く人が大勢に居た。

だろうな、とは思うが。

こうも思いっきりうつるんじゃないかとドン引きされると苛つく。


「お兄さん?」


詩織が俺を見る。

そんな詩織に俺は「いや。なんでもない」と答えた。

苛つくとか言えたもんじゃない。

絶対にそんな事は詩織の前では言わない。


「お兄さん。もしかして私の顔のシミの為に怒ってます?」

「...悔しくないか?顔のその黒いシミを文句言われてさ。感染もしないのに」

「大丈夫です」

「?」

「私、お兄さんが居ますから。大切な理解者が居ますから」


その言葉に俺は詩織を見る。

詩織は俺に微笑みながら寄り添う。

心底楽しそうに。

俺はそんな姿を見てから笑みを浮かべた。

まあ本人が楽しいなら。

そんな事を思いながら俺は歩いていると「あれ?」と声がしてきた。

それは仮島シノン(かりしましのん)だった。

俺の元同級生である。



「久しぶりだね。空田君」

「ああ。久しぶりだな。仮島さん」


仮島さんの懐かしいその姿を見ながら笑みを浮かべる。

実は仮島さんはクラス委員だった。

中学時代の元クラス委員。

俺はそんな仮島さんを見ながら居ると警戒する様に詩織が仮島さんを見ているのに気が付いた。

俺はその事に詩織に説明しようとした時。


「こんにちは」


と仮島さんが笑みを浮かべて詩織を見た。

詩織は「...こんにちは」と俺の背後に隠れながら言う。

そんな詩織を見て「とても可愛い子だね。お名前は?」と俺を見る仮島さん。

俺は「彼女は佐藤詩織さんだ。というか仮島さんは...彼女を見て...何も思わないのか?」と控えめに尋ねる。


「え?...あ、顔の大きなシミの事?」

「...ああ」

「いやいやめちゃくちゃ失礼だよ?空田君。彼女だってなりたくてこうなっている訳じゃないから」

「!!!」


仮島さんの言葉に驚く俺達。

それから詩織は前に出た。

仮島さんが笑みを浮かべる。

そして仮島さんはかけていた眼鏡を外す。

笑みを浮かべた。


「...私にもかなりの乱視はあるから。...そのシミを悪く言う人には文句言って良いからね?」

「...」

「私...きっと貴方は苦労しているって思ってる」

「それはどうしてですか?」

「答えは...私の弟にも皮膚の障がいがあるから」

「!」


俺は「初耳だぞ」と聞く。

すると仮島さんは「そりゃそうでしょ。弟の居る家族と再婚したんだよ私の父親が」と苦笑した。

それから「...弟の場合は皮膚を1時間以上日光に曝せないの。火傷と同じ事になるから」と言う。

仮島さんは詩織の手を見る。

そして笑みを浮かべた。


「綺麗な可憐な細い指だね。ピアノ弾くの上手そうだね」

「...そんな事、初めて言われました」

「治るとか治らないとかそんな事は言えない。でも...私、貴方みたいな綺麗なシンフォニー。個性的な人は...幸せになりやすいって思うよ」

「...」


仮島さんは「私さ。貴方好きだな」と笑みを浮かべた。

そして仮島さんは「ハグしても良い?」とニコッとした。

その言葉に「でも私は...うつるとかばい菌とか言われまして」と控えめになる詩織。

仮島さんは「私、気にしないよ」と詩織にハグをする。

詩織の背中を撫でた。


「頑張ってね」

「...!」


それから仮島さんは立ち上がって俺を見る。

そして「あ。もしかして空田君は詩織ちゃんの彼氏なの?」と冗談めかして言う。

俺は「んな訳あるか。...詩織は確かに素直かつ可愛いけど」と赤くなる。

仮島さんはくすくす笑った。

腕時計を見る仮島さん。


「じゃあまたね。私、用事があるんだ」

「...あの」

「?」

「...ありがとうございます」

「気にしないで」


恥ずかしそうに言う詩織に返事をする仮島さん。

そして仮島さんは「あ。連絡先を交換しようよ」と言ってあっという間に俺達と連絡先を交換してから手を大きく振って去って行った。

なんというか。

変わらないな仮島さんも。

昔から優しかったけど。

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