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付き合っている幼馴染の彼女が他の男とキスをしているのを目撃した。俺はそんな幼馴染を棄ててから...だったのだが  作者:
第一章

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2、ハグ

詩織にゆっくり数学を教えていく。

すると詩織はニコッとしながら俺の教えに沿って数学を解いていた。

俺は詩織の反応も見ながら数学をゆっくり教える。

そうしていると詩織が「ちょっと疲れたので休んで良いですか」と切り出した。

俺は「あ、ああ。すまない。教え込みすぎたな」と慌てる。

彼女は首を振った。


「違います。勉強に取り組み過ぎて頭が痛いだけですよ」

「だったら良いが...すまないな」

「いえいえ。ありがとうございます」


ゆっくり詩織は椅子に深く腰掛ける。

俺はその姿に「詩織。もし良かったらで構わないんだが何か食べるか?」と聞いてみる。

詩織には皮膚に関するアレルギーが少しあるからあまり食材のオススメは出来ないんだが。


「はい。...お兄さんのなら何でも」

「分かった。チョコクッキーを焼きたい」

「?...それは素材を一から作るんですか?」

「違うよ。流石にそれは厳しいから冷凍のクッキーを焼くよ」

「美味しそうですね」

「ああ。実はネットで注文したんだ」

「分かりました。じゃあお願い出来ますか?」

「任せろ。とは言っても袋から出して焼くだけだけどな」


苦笑する俺。

詩織は柔和な笑みを浮かべる。

それから俺を見てくる。

そんな詩織から視線を外し冷凍庫からチョコクッキーを取り出してオーブントースターに入れた。



クッキーが焼き上がり詩織の前に出す。

詩織は「美味しそう」と言いながらクッキーに手を伸ばしてからそのまま一口控えめに齧り食べる。

それから詩織は「美味しいです」と柔和になる。

俺はそんな詩織に「実は使っている生地は小麦粉じゃないんだ」と言う。

詩織は「え?」と驚いた。


「半分以上の素材はオーガニックもち米だ」

「え!そうなんですか?」

「所謂せんべいの進化系だよな」

「そうなんですね。だからその。口当たりが良いんですね」

「そうかもな。...これはたまたま買ったんだが...確か植物アレルギーに近いものもあったな?」

「そうですね...あくまで反応は絶対ではないですが」


そう言いながら俯く詩織。

「なるだけ小麦粉の方は摂取しない方が良いと思います」と俺を見てくる。

その姿に「...そうか」と俺は返事をした。

それから詩織は「ご配慮ありがとうございます」とニコッと笑みを浮かべた。

あくまでたまたまだったが。


「こういう機会があって良かったよ。じゃないと食べなかったかもしれない」

「...はい」


詩織は柔和な顔をする。

そんな詩織に俺は「...大変と言ったら駄目かもしれないが。本当にキツイな。生きるのは」と言う。

すると詩織は「でも私、今が一番幸せです。皆さんが居るから。家族も...一部は居るから」と複雑な感じを見せつつ笑みを浮かべる。


「...詩織...」

「私、お兄さんも居て幸せですよ」

「...」


俺は静かに詩織を見る。

詩織は穏やかに「お兄さん」と言う。

俺は「?」を浮かべてから詩織を見る。


「学校はどうですか?」

「学校か。今は実は小テストがあってな」

「小テストですか。テストは嫌ですね」

「だけど詩織と勉強してからやる気にはなったよ」

「ですか?」

「ああ。つまらない事ばかりだけど花が咲いた感じだ」


それから俺は詩織に笑む。

詩織は頷きながら笑みを浮かべた。

そして俺達は勉強を再開した。

またゆっくり取り組む。



詩織に勉強を教えてから俺は詩織を玄関先に見送る。

玄関先で詩織は俺を見上げた。

それから「ありがとうございました」と詩織は言う。

俺はその姿に「いや。構わない。また頼ってくれよ」と話してから詩織を見る。


「...それでお兄さん」

「ああ。どうした?」

「...こんな事を頼んで良いのか分かりませんが。数学のテストが不安で」

「?」

「ハグしてもらえませんか」


俺は驚きながら詩織を見る。

詩織は俺を見ていた。

俺は「...分かった」と詩織を優しく抱きしめた。

女の子の華奢な身体の感触。

それから体温の感触があった。

俺はハグして詩織から離れてから詩織を再度見る。


「やっぱりお姉ちゃんに抱き締められるのと違いますね」

「?」

「...不安が消えました」


そんな言葉を言いながら詩織は俺に視線を合わせる。

それからゆっくり穏やかな感じの笑みを浮かべた。

俺はその姿に柔和な顔をした。

しかし。


「何故いきなりハグなんだ?」

「...え?いや。それは...なんとなく?です。私の姉という彼女が居る...お兄さんに頼むのはシャクでしたが」

「...成程な」


詩織は「すいません。実は私、安心するんです」と言う。

それから「お兄さんの顔を見る度もそうですが...お兄さんの優しいその性格に癒されます」と柔和に俺を見上げる。

俺はそんな言葉に「...そうなんだな」と返事をしてから詩織を見てから笑みを浮かべた。

そして俺は強く言う。


「頑張ろうな。お互いにテスト」

「はい。私、もう大丈夫です。お兄さんにしっかり教わりましたから」

「...無理はするなよ」

「ありがとうございます」


それから詩織は「では」と言ってから玄関のドアを開けた。

そして帰宅して行く。

俺は笑みを浮かべてから見送ってからドアが閉まってから顔を顰めた。

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