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付き合っている幼馴染の彼女が他の男とキスをしているのを目撃した。俺はそんな幼馴染を棄ててから...だったのだが  作者:
第一章

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11、満里奈との電話

☆空田有紀サイド☆


俺は詩織を婆ちゃん家に連れて行った。

婆ちゃんは筋肉が段々と落ちる病を抱えている。

俺は婆ちゃんを詩織に会わせたかった。

丁度良い機会だったかもしれない。


「詩織はどうするんだ?これから」

「私はお姉ちゃんと対話します」


その事を言いながら自らのスマホを手に持った詩織。

俺は「?」を浮かべながらその姿を見る。

すると詩織は電話を始めた。

そして通話に出た人物は。


「何?詩織」


それは満里奈だった。

俺は「!」となりながら詩織を見る。

満里奈は「...何?詩織」と再び聞いた。

すると詩織は息を吸い込んだ。

それから詩織はゆっくり話をした。


「お姉ちゃん。話がある」

「話?話って?」

「...お姉ちゃんの浮気に関して」


満里奈は驚愕する様に黙る。

すると詩織はそれを予測していたかの様に「お姉ちゃん。逃げないで。現実を見なさい」と言う。

立場が逆転している。

俺は苦笑しながら詩織を見た。

すると満里奈は「...別に逃げてない」と言う。


「逃げてるよ。貴方は」

「...逆に逃げているとしたらなんなの?」

「現実を見据えて動きなさい」


詩織の言葉に満里奈は「...」と無言になる。

それから詩織は「お姉ちゃん。貴方は自慢のお姉ちゃんだった。そんな目に遭っているなんて思わなかった。お姉ちゃんは忘れたかもしれないけど私が皮膚病になっていじめをする人から学校で守ってくれたのはお姉ちゃんだった」と言う。


「私を化け物と罵った相手に怒ったのはお姉ちゃんだった」

「...今と昔じゃ何もかもが違う」

「お姉ちゃん。今のお姉ちゃんは情けない。昔のお姉ちゃんに戻ってほしい」

「...」


返答が無くなる。

それから詩織は息を吸い込んだ。

そして吐き出してから「お姉ちゃんが更生する事を祈ってる。私はお姉ちゃんはきっと...快楽に溺れてしまったけど戻って来るって」と話す。

満里奈からの返答は無い。

だが数秒後に鼻をすする音がした。


「私はもう戻れない」


そう返事があった。

俺は眉を寄せてからその言葉に溜息を吐く。

(やはり駄目かもな)

そう考えたのだが詩織はスマホを握りしめた。


「ヤケクソになって逃げる気?」


満里奈にそう言う詩織。

その言葉に満里奈は「え」と固まる感じを見せる。

それから詩織は「逃げるな!」と大声で話した。

俺はまさかの行動に「!」となる。

そして詩織は「逃げたらお姉ちゃんじゃない」と話す。


「...詩織...」

「逃げるな!過去と向き合え!これは大切!」

「...」

「私は貴方が戻るのを待ってる」


その言葉を言ってから数秒間、間が空いた。

それから「...詩織。私は...」と涙声がする。

俺は眉を顰めながら詩織を見る。

詩織は「...」と無言になり「お姉ちゃんなら戻れるよ」と柔和な顔をした。

満里奈は喋らない。

だが泣いている様だった。

俺は詩織に「満里奈と話せるか」と聞く。

すると詩織は「はい」と返事をした。


「満里奈」

「!?...有紀も居たの?」

「話を全て聞いた」

「!」

「...俺は正直、お前が異常に見える」

「...」

「だがな。満里奈。俺は...お前に期待している部分もある」

「!」


満里奈は「私なんかに何を期待するの?」と苦笑い?をしながら言う。

俺は満里奈の言葉に「...俺は...お前にはまだ未知なる何かがあるって思う。...詩織を助けたんだからな」と話した。

すると満里奈は震える声で「どうして」と呟く。

俺達は顔を見合わせてから「お前の事を...仮にも信頼出来ると思いたいからな」と答えた。

満里奈は「...」となってから無言になり。


「私は...戻らないかもしれないよ」

「その時は考えよう。また」

「...分かった。戻れる様に頑張る」


それから満里奈は震える声で「ありがとう」と話した。

俺は「お前が頑張らないと話にならないからな」と満里奈に忠告した。

すると満里奈は「期待に応えたいから」と話した。


「私は...うん」

「お姉ちゃん...」

「まだ幸先は分からないけど。死なない様に頑張る」


満里奈はそう言ってから「電話...切るね。用事があるから」と話した。

詩織は「また」と電話を切る。

俺は電話を直ぐに切った詩織に尋ねる。

「それで良いのか?」と。

すると詩織は「さっきとパターンが違うんです」と言った。

パターン?


「パターン?」

「はい。お姉ちゃんの声のパターンが違いました」


俺は驚きながら詩織を見る。

詩織は笑みを浮かべてから「姉妹ですから」と柔和になる。

初期の頃に比べればかなり成長したと思う。

そう考えながら俺は柔和に詩織を見る。


「詩織」

「はい」

「...お前、成長したな」

「私ですか?...私は」


すると詩織はスマホを仕舞い俺に歩み寄って来た。

それから背伸びをする。

俺の両頬を掴んだ。

そして満面の笑顔を浮かべてから軽くキスをした。

俺はいきなりの事に驚愕して詩織を見た。


「お礼です」

「お礼ってあのな...」

「...愛してますよ。有紀さん」

「...」


唇があまりに熱く甘い感じがする。

あまりにも...熱い。

どうしたら良いのだろうか。

俺は...どうしたら。

そんな事を思いながら俺は詩織を見た。

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