表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
付き合っている幼馴染の彼女が他の男とキスをしているのを目撃した。俺はそんな幼馴染を棄ててから...だったのだが  作者:
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/14

10、詩織の決意

☆佐藤詩織サイド☆


姉が元の彼氏を裏切りセフレを作っていた。

いや。

性格には裏切った訳じゃないけど佐藤満里奈曰く。

コレクションと言っていた。

意味が分からない。

それは浮気じゃないのか。


「...」


私はゲームセンターに来たが心底気分が上がらない。

申し訳ないとは思ったが有紀さんにその事を話す。

すると有紀さんは「帰ろうか」と言ってくれた。

私は頷いてからマンションに帰る事にする。

その途中で有紀さんが「詩織」と言う。

私は「?」を浮かべてから有紀さんを見る。


「...寄りたい所があるんだが寄っても良いか」

「え?」


それから私達は住宅に来た。

一軒家の古びた家の様に見える。

私は「?」と思いながらインターフォンを押す有紀さんを見る。

有紀さんは「...実はこの家に病気の俺の婆ちゃんが居てな」と話す。

その言葉に「!」となった。


「...おばあさま?」

「ああ。筋肉が...だんだん動かなくなる病を患っていてな」

「!!!...そ、それは」

「詩織に紹介してやりたいんだ」


その言葉に私は息をのみ込み玄関が開くのを待つ。

すると玄関から「お。有紀じゃないか」と声がした。

年を取った男性。

例のおばあさんの旦那さんと言ったところか。


「...そちらは?」

「ああ。友人の女の子。佐藤詩織さん」

「...そうか。君が佐藤さんなんだね」

「初めまして」


男性は家の中に「ワシの名前は空田豊吉そらたとよきちだ。っと。ささ。入って入って」と招く。

私は有紀さんと一緒に中に入る。

すると酸素ボンベが置かれていた。

医療用の機械なども。


「おーい。はつね!有紀が彼女を連れて来たぞ!」

「お爺ちゃん!彼女じゃない!」

「違うんか?」

「違うよ!」


そんな会話を聞きながら私はくすくす笑う。

それから廊下を見るとはつねさんという女性がやって来た。

車いすで酸素を鼻から注入している。

私はその姿を見ていると「まあ。連れて来てくれたの?彼女さんを」とおばあさまが言う。

私は赤面しながら俯いた。


「違うよ。婆ちゃん」

「あらまぁ。違うの?」

「ああ」

「そうなのね。...でも有紀をいつまでも見てくれそうな感じの女の子ね」

「...」


私は包帯を隠す。

おばあさまは「私は全身の筋肉が落ちていく病気なの。...それで...3年前まではそれなりに歩けていたんだけどね」と苦笑する。

その言葉に「...そうなんですね」と深刻な顔をする。


「貴方、お名前は?」

「佐藤詩織です」

「あら。まさに栞...ね。良い名前ね」

「...そんなにお褒め頂けるとは」

「私は...名前が好きなの」


その言葉に「...え?」となる私。

それからおばあさまを見ているとおばあさまは窓から外を見た。

そして「詩織さん」と私を見てくる。

私は「はい」と返事をした。

するとおばあさまはニコッとする。


「...私は有紀の将来が心配でね。お嫁さんになってくれないかしら」

「婆ちゃん...あのな」

「良いじゃない。...この子はとても魅力があるわ」

「是非ともなります」


まさかの返事に3人は驚愕する。

私は有紀さんを見る。

それから「私、有紀さんが心から好きなんです」と柔和になる。

その言葉におじいさまとおばあさまは「...そうなんだな」と微笑んだ。


「...詩織...」

「...」


私は「その」と言いながら「私は有紀さんの良さを分かっています」と言う。

おじいさまとおばあさまは「...良い子ね。本当に」と話した。

少しこそばゆい。


「詩織さん」

「はい?」

「...貴方を見ていると私の若い頃を思い出すわ」

「え?」

「お爺さんと出会ったのは...あの学生の頃。桜の木の下だった」

「...」

「私は...お爺さんと一緒に死にたいから頑張るわ」

「...!」

「貴方も後悔しない様な人生を歩みなさいね」


そんなおばあさまの言葉に俯いてから顔を上げた。

「...その。悩みがあるんです」と告白する。

するとおばあさまは「あら。どういうお悩み?」と言う。

私は「家族とのこの先の関わりついてなんですけど」と言う。


「...ご家族の?」

「はい。私、大嫌いな姉が居ます」

「...」

「その姉ともう一度話をしたい。...その...アドバイスが欲しいです」

「そうなのね。奇遇ね。私にも年が離れた姉が居たのよ。実は」


その言葉に「!」となる私。

それから「それは...」となった。

するとおばあさまは「でも焼夷弾が実家を焼いてね。...その時に亡くなったのよ」と懐かしく思い出すような顔をする。

そして真剣な顔をする。


「...だから話はしっかりして頂戴。...私の家族の様にいつあっという間に死ぬかも分からないわ」

「...!!!」


私はその言葉に「...はい」となってから俯く。

そうか。

あんな姉でも。

どんだけ屑でも。

家族ではあるんだ。

私を裏切っても...だ。


「有紀さん」

「...?...どうした?」

「良かったです」

「...何がだ?」

「今日、この場所に来て良かったです」

「...!」


有紀さんは私をそう見ながら「...」と唇を噛む。

私はそれを見てから2人を見る。

それから「きっかけが掴めました」と頭を下げる。

そして「...私は暗い感情に負けません」と柔和になる。

その言葉におばあさまとおじいさまは顔を見合わせてから「頑張りなさい」と言ってくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ