第26話 王都動揺。『反逆者』は、なぜ支持されるのか
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王都は、ざわついていた。
剣戟の音ではない。
反乱の鬨の声でもない。
――噂だ。
◆◇◆◇◆
王城内、情報局。
「各地の領主が、動き始めています」
「兵の提供は小規模ですが……
“宰相の命に従わない”と明言する者が増えています」
報告官の声は、隠しきれぬ動揺を含んでいた。
宰相アーウィンは、静かに聞いている。
「……理解できません」
一人の貴族が吐き捨てる。
「アレン・グリードは、王命で反逆者。
それなのに、なぜ支持される?」
アーウィンは、低く答えた。
「恐怖で支配していないからだ」
貴族たちが、息を呑む。
「彼は、命令していない。
強制していない。
“選ばせた”」
宰相の指が、机を叩く。
「人は――
選ばされた正義より、
自分で選んだ覚悟に従う」
その言葉は、怒りよりも深い焦りを孕んでいた。
◆◇◆◇◆
一方、王城の奥。
王妃セレスティアは、窓辺に立ち、王都を見下ろしていた。
「……民の顔が、変わりましたね」
側近が答える。
「ええ。
恐れる者は減り、
語る者が増えています」
王妃は、静かに微笑んだ。
「アレン・グリード。
あなたは――
王よりも先に、“責任”を引き受けた」
それは、王の資質。
だが、王妃はそれを口にしなかった。
◆◇◆◇◆
王都の下町。
広場の片隅で、
古参の兵士が若者に語っていた。
「命令に従うだけなら、楽だ」
「だがな……
あの“無能領主”は、
失敗したら自分が責任を取ると言ったそうだ」
若者は、拳を握る。
「……俺たちは?」
兵士は、空を見上げた。
「今まで、
“誰のために剣を持っていたか”を
考える時かもしれんな」
◆◇◆◇◆
夜。
アレンの拠点。
集まる報告、支援、志願。
だが彼は、浮かれていなかった。
「支持は、力じゃない」
仲間たちに、静かに告げる。
「預けられた命だ」
沈黙。
「だから、絶対に無駄死にさせない」
その言葉に、誰かが小さく頷いた。
別の誰かが、歯を食いしばった。
◆◇◆◇◆
同じ夜。
宰相アーウィンは、一人で書斎に立っていた。
「……支持される反逆者、か」
彼は、冷たい声で呟く。
「ならば、
“支持される理由”を壊せばいい」
机の上に置かれた、次の命令書。
『グリード領、殲滅作戦』
王命を盾に、
民そのものを狙う、最悪の一手。
アーウィンの目は、氷のように冷えていた。
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