第16話 地下牢の密会、そして“王殺し”の密謀
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王都城の地下深く。
湿り気と鉄の匂いが満ちる牢の通路。
アレンは無言で連れられ、分厚い鉄格子の前に立たされた。
「ここか……随分と歓迎されたものだな」
騎士は返事をせず、乱暴にアレンを押し込み、扉を閉じる。
ギィン……と重い音が響き、鍵が回された。
牢は薄暗く、明かりは壁の松明のみ。
その奥から――誰かの声がした。
「遅かったな、アレン・フォン・クロフォード」
アレンは目を細めた。
「……お前が、ここに?」
松明の光に姿を現したのは、
薄い灰色のローブに身を包んだ男。
その瞳は鋭く、どこか懐かしい知性を宿している。
「久しぶりだ、アレン」
「お前……カイン?」
そう。
かつてアレンが領地改革の前に相談し、
数少ない“信頼できる学者”として支えていた男――
今は王都の政治から姿を消したはずの、賢者カインだった。
アレンは低声で問う。
「どうしてここに?」
カインは静かに答えた。
「“お前を救うため”…と言いたいところだが、違う。
俺は逆だ。
――お前を巻き込みに来た」
「巻き込む?」
「そうだ」
カインは警戒もなくアレンへ歩み寄り、
懐から一枚の巻物を取り出した。
巻物には、王城の内部図が描かれている。
だが注目すべきは中央の大広間。
そこに赤い印が付けられ、こう記されていた。
『王、三日後死亡』
アレンの目が鋭く光る。
「……王殺し、か」
カインは頷いた。
「宰相派でも王太子派でもない。
第三勢力――“革命派”が動いた。
三日後の公開裁判を混乱の場にし、王を殺すつもりだ」
アレンは息を吐いた。
「なるほど。
この国は腐っているとは思っていたが……
ここまでとは」
「お前も、ただの無能領主では済まんぞ」
カインは低い声で続けた。
「革命派は“利用価値がある”者には近づく。
お前は宰相派を揺さぶり、王太子派を動かし……
彼らにとって、十分な駒だ」
アレンは笑う。
「つまり……
宰相派、王太子派、革命派。
全部が俺を利用しようとしているわけか」
「そうだ」
カインは真剣な表情で言った。
「お前が三日後の裁判で動けば――
国の勢力図が一気に変わる。
革命派はそれに乗じて“王殺し”を実行する」
アレンは巻物を見つめ、静かに言った。
「ではカイン……
お前はどの陣営の味方だ?」
するとカインの口元が僅かに歪む。
「――もちろん、“アレンの味方”だ」
アレンは微かに目を見開き、そして笑った。
「昔から変わらんな、お前は」
カインは肩をすくめた。
「だが時間がない。
革命派はすでに城内に潜入している。
三日後、王は必ず殺される。
阻止しようが放置しようが、国は混乱する」
アレンはゆっくりと立ち上がる。
拘束具が揺れ、金属音が鳴った。
「……決めた」
カインがアレンを見つめる。
「俺はこの裁判で、宰相派を破り、王太子派を揺さぶり……
革命派の企みすら利用する」
「利用する……だと?」
アレンは静かに言った。
「革命派の“王殺し”を使って――
王都そのものを変える」
カインは目を見開き、息を呑む。
「……狂ったことを言う」
「狂った国だからな」
アレンは淡々と答えた。
「俺は生き延びるために“無能”を演じている。
だが、王都の三日間だけは――本気で動く」
その時、通路の奥で足音が響いた。
牢番がランタンを揺らしながら近づいてくる。
「おい! 静かにしろ!
これから尋問官が来る!」
カインは後ろに下がり、アレンへ囁く。
「始まるぞ――アレン。
“地獄の三日間”だ」
アレンは微笑した。
「望むところだ」
そして、通路の奥から現れた尋問官の姿を見て――
アレンの笑みがぴたりと止まった。
「……お前が、来るのか」
尋問官はフードを外し、冷たい声を落とす。
「久しぶりね、アレン」
現れたのは――
かつてアレンを裏切り、宰相派へ渡った女騎士、ソフィアだった。
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