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7話

 



「帰還手続き、終わりました。それでは続いて、ダンジョン肉の売却手続きに入らせてもらってよろしいですか?」


 新人受付嬢の春風十色はるかぜ・といろがまっすぐな目で見つめてくる。


 千光苦楽せんこう・くらくはわずかにたじろいだ。その視線が、育ちの良さそうな清楚な顔立ちに惚れたからではない。


 まるで心からの親切心から言っている――そんな無垢な表情だったからだ。


「いや、それは今日は止めておく」


「えっ、どうしてですか? 多少お時間は頂きますけど、この施設で売却すれば、重いものをわざわざ他のお店に持って行かなくても済みますよ?」


 十色の視線が、苦楽の足元にあるクーラーボックスへ向けられる。

 中には、今朝の探索で得たダンジョン肉がぎっしりと詰まっている。


 一つ300g程度の肉とはいえ、数がまとまればそれなりの重量になる。だが、それは探索者にとっての“成果”そのもの――誇るべき重みだ。


「まあ……それは確かにそうなんだがな……」


「他の探索者の人に勧めても、皆さん断られるんですよね。どうしてでしょうか?」


「とにかく、今日は売らない。じゃあな」


 まるで逃げるように背を向ける苦楽に、十色は目を丸くした。


 最初に彼を見たときは、鋼のような巨体と鋭い目つきにおびえたものだったが、今ではもう慣れていた。


 声は大きいが、話してみれば意外と穏やかで普通の人だということが分かったからだ。


「お疲れ様です、苦楽さん」


 控えめな声が後ろから届く。振り返る目の端っこでは苦楽が嫌そうな顔をしたのが見えていた。





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