容疑者
会談後は食事となる。
とはいえ俺たちは持ってきた携行食を短時間で済ませる。豪華な食事は政治家だけだ。
無事に済むと彼らは客室に戻る。
雑務なども僅かにあるらしいが、時間はたっぷりだ。
今回は議員の側近なども必要最低限しか乗っていない。逆に言えば政治家に信用されている者しか船にいない事になる。
担当する議員の近くの部屋に俺たちは泊まっている。
会談は明日も行うので彼等が寝ている間も交代で警備する。
この隙に捜索したいが、怪しまれたらアウトだ。
一応他の3人にも話しておいた。
いつも一緒にいる為密輸する暇も必要も無いと判断した。それに1人では解決出来ない。
「リーダーとして済まない。兵役では運良くそんな経験をしなかった。礼を言うジャン」
バートは人格者だな。
「いいんだ。それよりどうする?」
「2人1組で怪しい場所まで廻ろう。途中で他のSPやクルーにも会うはずだから先ずは特徴や状況を頭に入れとこう」
「こりゃおちおち寝てられないね!」
「全くだぜ、豪華客船だってのによ!」
ザックとマチルダはややイライラだ。
はじめに俺とバートで倉庫を廻る。
「ん?朝より匂いが薄いぞ。勘付かれたか?」
「不味いな。理由が無ければ積荷を開封出来ない!」
「その通り!!」
いつの間にか後ろから俺たちは殴られた。
格闘戦になる。
相手は全員黒ずくめで目出し帽を被っている。
武器は鉄パイプだ。
倉庫は薄暗い為視界が悪い。
人数は4人だ!
1人を何とか制圧仕掛けたが、向こうの方が強かった。
不意を襲われた事もあり俺たちは羽交締めにされる。
首筋に麻薬の様な物を注射されて意識を失う。
気付けば広間で政治家連中や他のSP部隊に囲まれていた。武器は取り上げられて、縄で縛られている。
「残念だよバート君、ジャン君。国の英雄から裏切られるとはね」
最悪だ!罠に嵌められた!
ザックとマチルダが抗議する。
「君たちも関係者かな?嫌だよ私は」
さっきから話している議員は外務大臣のエリアスだ。
鷲鼻と鋭い目つきが特徴の50代男性だ。
その横にはトーマスがいる。
本当の敵は誰だ?
今はこの状況を打破する事を考えよう!




