密輸
今回の任務はニューストン全域を流れる大きな川、ブラウンリバーの旅だ。
正確には豪華客船に政治家たちが集う為、船旅の護衛だ。人数が多いので、他のSP部隊も一緒に乗っている。
川の名前の由来は色だ。荒野がほとんどのデザートストーンは土石流が混ざると水の色が茶色っぽくなる。
そのためブラウンリバーと呼ばれている。
客船の中は政治家と護衛以外ほぼいない。
クルーも審査に通った者だけだ。
オマケにVIPルームがあるので秘密会談やハメを外すのによく使われる。
会談が始まると俺たちは廊下や階段付近で暇となる。
給仕の検査等はあるがな。
「少し向こうの連中と話してみる‥」
「珍しいね〜ジャン」
「自分でもそう思う」
少し3人に任せて、別部隊のSPと雑談する。
「俺たちは議事堂側にいるSPだ。俺はジャンだ。リーダーのバートはもう知ってる筈だな?」
「あぁ。もしや情けのジャンか?俺はこっちのリーダーのトーマスだ。宜しく!」
「あ、あぁ‥それよりまた変な渾名が聞こえたが」
「地獄のジャンから変わったんだぜ?意外とお前さんを見ている奴は多いのさ」
「‥そうかい。にしても妙だとは思わないか?」
「流石だな。お前も気が付いていたか?それと殺気は隠せてないな、ジャンよ」
「ワザとだ。敵をそれとなく探っている」
俺が珍しく自分から雑談にかかるのは訳がある。
護衛について暫くして違和感を感じた。
匂いだ。それも2種類。
SPが事前把握も含めて船内を廻った時だ。
機関室から銃器の油の匂いがプンプンした。
クルーに聞いたところ、似たような油を使用していると言っていたが怪しい。
もう1つは麻薬だ。
倉庫、客室の一部から特有の匂いを感じた。
僅かだが確かにある。
しかも新しい。
何故俺が知っているか。
戦場では彼方此方に麻薬は存在する。
鎮静剤などの治療目的以外に、法の及ばない戦場でやりたい放題する輩が沢山いる。
だが一番の理由は被害にあったからだ。
最初の召集で戦闘終了後に古参兵から無理やり吸わされた。始めは気分が楽だったが、思考力や物書きが覚束なくなり始めた。
また吸い過ぎで死亡したり、戦後に社会復帰出来なくなった奴も知ってる。
俺が酒を飲まないのと同じく、麻薬も同じ物扱いしている。
「実はな、ここだけの話。昔務所にいたんだ。まぁ今じゃ絶対出来ない立場にあるがな」
「そんなポイポイ話しても知らんぞ?」
「俺は隠し事はすぐバレるもんだと思ってる。何故なら他人のを見抜けるからだ」
「なるほど。俺は戻る‥」
トーマスは白か黒か‥。
他にも怪しい連中が沢山いる。
目的は護衛だが、見過ごせばかなり後悔する。
下手すればクビだ。
まずは関係者を探さなくてはな。
いつもと少し違う雰囲気にしました。




