強敵
マレイの演説は首都の住宅街で行われた。
大勢の市民が緊張感のない顔で見物している。
治安が良すぎるせいで握手なども頻繁に行っている。
まぁ当選するには市民の心を掴むしかないから仕方ない。
俺たちはいつもより軽装備だ。
だが全員スーツの下にはピストルを隠している。
この日の為に服の下からの抜き撃ちを全員が特訓した。ましてや人混みだ。外したら全てが消える。
マチルダも普段いじらない38口径を気にしていた。
バートやザックは元から改良していたから問題は無い。
てっきりカスタムするかと思いきや、銃自体を変更したみたいだ。彼女らしい。
同じ38口径だが、抜き打ちに特化したM49というリボルバーだ。良い選択だ。
「みなさん、このマレイに清き一票を!!」
メインはなかなか張り切っているな。
大物程では無いがそこそこの人気だ。
群衆の中に明らかに目つきのおかしい男がいる。
まるで狼の様だ。
アイコンタクトで全員が警戒する。
近づいてきた。
咄嗟に抜こうとしてやめた。
「いつも‥応援してます」
「ありがとう!是非私から握手を!」
普通の応援者だった。
気を抜いては行けない‥!
その時帽子を被った普通の中年男性がポケットに手を入れた!!
なんと俺の目を見ながら動いている!!
即座にSP全員が抜く!
まるで世界がスローになったみたいだ。
下手に伏せろと言っても手遅れな場面だ。
早すぎる!!
俺の銃の照準が追いついていない!
ズパーン!!
ダーン!
2発響いた。犯人とSPの誰かだ。
俺も遅れながら発砲する。
バン!
犯人が倒れた。
スロー解除と共に群衆の叫び声と走る姿が目に入る。
すぐさま周囲の警戒と確認をする。
誰一人傷ついていない。
バートとザックは射線に人がいた為撃てなかった。
どうやらマチルダが事件を解決したらしい。
「マレイさん此方へ。ザックは警戒!2人は確保!」
バートは頼れる。的確な指示を出す。
俺とマチルダで拘束する。
犯人の両腕は血に染まって動けないが意識はある。
「手間かけさせるね!オッサン!」
マチルダは御立腹だ。
「ぐぎぎ‥」
哀れなガンマンだ。
「マチルダ!ありがとう」
素直に感謝だ。俺は命を救われた。
「借りは返したよ英雄!」
はじめて渾名で呼ばれた気がした。
思わず笑う。
「さて、ゆっくり話そうか?」
俺たちは犯人を連行した。
いつもの取調室。前にも使ったな‥。
「なぜ俺なんだ?」
「お前はワシの抜き撃ちに負けた!思い残す事は無い!早く殺せワシを!!」
「馬鹿じゃないかい?」
マチルダは落ち着いている。
「この男はドラゴンにも戦にも勝ち抜いた奴だ。ほとんど人の為にやってんだ。アンタの技は荒くれ者が使うような手段だ。情けないね!女に負けて」
「ぐぬぬ!クソアマが!」
俺は一発ぶん殴った。
「そんなに俺を殺して名を上げたいか?やれよ」
俺はおもむろに奴の獲物を机に投げた。
弾入りだ。
「フッ!」
素早く構えたが、俺は既に奴の額にガバメントを突きつけた。
ハンドエジェクターは天井に無理やり向けさせている。
「これでおあいこだな」
後日奴は処分された。
てっきりデザストンだけのローカルヒーローに思えましたが、ジャンはやはり目立つみたいです。




