報酬
宿では銃や荷物の手入れなどをしていた。やる事はまだある。服の洗濯や靴磨きだ。
軍隊時代の癖なのか潔癖なのか分からないが、キチンとしていないと落ち着かない。故郷ではない分召集されることはないだろうが…。
上着はやや赤みがかったミリタリージャケットだ。
野宿で埃まみれだったが頑丈で洗えばまだまだ着れる。
去年デザートストーンの中部地方で購入した物だ。
ズボンと靴は軍隊時代の官給品を未だに着ている。
物持ちが良い方かもしれない。既に数年経っている。
誰かが部屋をノックしてきた。
「失礼します。ジャン・レイ様」
「あぁ…ケーリの娘か」
「マリーと申します。父から報酬を渡すようにと」
「分かった…トラックの鍵と権利書か」
「それからその…ありがとうございました」
「まぁこっちも戦利品を頂けたしな。気の利いた事は言えないが頑張れよ」
「はい」
「奴らからぶん取った一部だ。オヤジさんと2人で分けな」
「いけません!お返し出来る物がありません」
「マリー。君のオヤジさんは廃業してまで君を助けたいと言った。トラックを貰った礼だよ。気にすんな」
「本当にありがとうございました。失礼します」
彼女は金一封を持って帰って行った。
改めて戦利品や権利書を確認する。戦利品は金だけじゃなかった。マグナムの弾や整備道具など必要な物がタダで手に入った。
靴磨きをしているとまた来客があった。
保安官だ。
「どうしたコスプレ女?」
「いい加減にして!レベッカよ」
「まさか逮捕か。反撃するぞ」
「話を聞きなさい!貴方を保安官事務所で表彰したいの。来てくれるかしら?」
「無理だ。ケーリに頼め」
「そう言うと思ったわ。宿の前を見てみなさい」
カーテンを開けて外を覗くと、人だかりの他に楽隊やら保安官らしき数名が派手な横断幕を持って待ち構えていた。
「テメェ馬鹿か?ちょっとは治安維持しろよ!」
「始末書を適当に書けと誰が言ったのかしら?カプール一味以外はほとんど犯罪者はいないのよ」
「あんたらで始末出来ない理由が分からない」
「…みんなマシンガン怖い…」
「いくじなしが!」
そんなこんなでパレードの主役になってしまった。
デザートストーン辺境ではジャケットのプロガンマンの話で暫く持ちきりだった。
保安官事務所が無能過ぎてアカンですな。
実際警察がギャングにビビるみたいな話はあるらしいです。