ニューストン
「到着しました。暫くお待ち下さい」
ラントの呼びかけに俺たちは頷く。
ここは安全地帯だがはっきり言って何も無い土地だ。
ラントがカンプピストルを取り出した。
腕時計を確認して上空に放つ。
「だーだ、まーま、おっきいとり〜」
ケイトの指さす方に目を向ける。
大きな飛行機がこちらに向かってくる。
滑走路や目印の様なものは無いが、トラックの少し手前でピタリと停まる。パイロットは優秀だな。
「凄いわね!貴方。私見たことすら無かったわ」
「まーま、とりさんのる〜」
「俺も乗るのは初めてだ」
飛行機はあまり普及していない。
技術的には割と進歩しているが整備•量産体制がそこまで進んでいない事と、空港が一部の地域にしかないためだ。
戦場では偵察機が飛んでいるのを一度見ただけだ。
時代は進んだな。
「私も同乗します。良い空の旅を」
早速中に入る。本来は政府高官や重要物の輸送に使うみたいだ。内装は広く、座り心地も悪くない。
驚いた事にトイレや簡易的な調理場、娯楽施設がある事だ。
かなり待遇は期待出来そうだ。
機長とCAの挨拶が終わり、機内食が運ばれて来た。
出来立てなのかホカホカだ。
「美味しいわね貴方。ケイト美味しい?」
「まーまのほうがおいちい」
レベッカはとんでもなく嬉しそうだ。
「だーだ。だいじょーぶ?」
恥ずかしながら飛行機酔いみたいだ。
「ケイト。大丈夫だよ」
少し水を飲んで眠りにつく。
「貴方起きて、後少しで着くみたいよ」
普段トラックの護衛に慣れているせいか体感時間が短い。空を飛ぶとはこういう事か。
「奥様、申し訳ございません。途中の給油と整備を済ませた後に再び離陸します」
「勘違いしてたわ」
まぁレベッカは物珍しさに興奮しているのだろう。
にしても飛行機で給油が必要な距離って長くないか?
考えてみれば政府の電報は早く届く。
電波は簡易的な中継地点を作れば一瞬だからだ。
それでも多少時間はかかるがな。
離陸時にまた気持ち悪くなったがだんだん慣れてきた。
「間も無くニューストン上空です」
遂に来たか!
窓の外を眺める。本当に同じ国かと思うほど違和感を覚える。
地表はいつもの荒野に似た土色が広がるが、所々緑がある。
空から見ても分かるくらい高い建物が並び、造りもしっかりしている。
見えずらいが河川の様なものがあり、大きな鉄橋が見える。
空港に近づくに連れて高度が下がる。
街並みもはっきり見えてくる。
「ようこそニューストンへ」
ラントは先に降りて現地と引き継ぎしている。
「ここから先はガイドが案内します。生活に慣れましたら再び私が連絡します」
3人揃って空港を後にする。
移動はトラックかと思ったが、見たこともない車両だった。
首都では軍用トラックばかりでなく自家用車などが普及しており、近年では車種も増えている。
「私も気持ちはわかりますよ。なにしろ故郷は道路なんて未舗装で、移動は馬しか無かったですから」
ドライバーが気を遣ってくれる。
街は道路が整備されて走りやすい。ガタガタとした振動は感じられない。
行き交う車の数も数百台はあるんじゃないか?
今後は渋滞なども起こるだろう。
信号機も普及している。
ビルは至る所にあり、更に向こう側には工場らしき煙突からモクモクと煙が出ている。
俺が今まで扱ってきた銃器もこの辺りで作られたのだろうか?
政府が用意した住宅に着いた。
かなり立派な家だ。
隣近所の家もなかなかの造りだ。
これからはここが我が家だな。




