餞別
ひと月程たっただろうか。
解体や罠の仕掛け方も慣れてきた。
「船舶免許はまだ早いのか?ナジ」
「若いの。船動かしたいのか?良いぞ」
このジイさん曰く昔は見よう見真似でいつの間にか覚えて、船は親父から引き継いだらしい。
これって無免許運転にならんのか?
まぁ覚えて損は無さそうだ。
「違うぞ若いの!不器用だなぁ〜」
「すまない‥」
トラックもだが俺は機械類の操縦を覚えるのに時間がかかるみたいだ。ゆっくりやっていこう。
数日おきにレベッカ宅へ戻ったり、土産に雷魚の干し肉を貰ったりしながら生活していた。
「最近はイッパシの漁師みたいだなぁ若いの!」
「ナジのおかげだ。船にはちと時間かけたがな」
「良いって事よ。そろそろ金も溜まったし船をたたむか‥」
「ナジ、1つ頼みがある」
「言ってみな若いの」
「パントガンを譲ってくれ。金は払う」
「おうよ。今更人には使わんしな。餞別だ」
「恩に着る。世話になった。ありがとう」
トラックの助手席に長い銃身を立て掛けて自宅に戻る。なかなか楽しい仕事だった。
給料は小遣い程度だが満足だ。
「お兄さん凄いねその猟銃!」
「だろ!なかなかいい物を貰った」
「ジャン‥そういうところは子供みたいね」
食卓に不似合いなパントガンが鎮座していた。
その時レベッカ宅を遠くから伺う怪しい集団がいた。
彼らは何を企んでいるのか?
またもや不穏な空気。




