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ライフリング  作者: 羽田憲二
第3章
38/140

漁師

雷魚漁師募集中。捕獲•解体までの作業。

必須条件:一般射手

継続可能者は船舶免許の無料取得あり。


銃の普及したデザートストーンでは射撃免許が3段階に分けられている。

一般射手は監督していた未成年射撃講習で取得できるごく普通の資格だ。使用出来る銃が増えるため持っている者が多い。

上級射手は射撃大会などで活躍する者が取る専門的な資格だ。就職の幅も一般より広がる。

俺の持つ特級射手はかなり珍しい。たまたま才能があったのと、試験自体が軍で行われていたために取れただけだ。これさえあれば射撃監督になれる。


ちなみに無免許でも銃は持てるが、射撃関連の仕事には就けない事と使用出来る銃に制限がある。


広告の募集を見て少しワクワクした。

この国は水源が少ない。しかし泥々した沼地は偶に見かける事がある。当然飲料には出来ない。

その為生態系がある程度維持されている。

その沼地に雷魚なる巨大魚がいるみたいだ。

この依頼は簡易依頼の様なものだが

どのくらいかかり、いつ帰るのかはその時々だ。

そもそも漁業があまり盛んではない。


雷魚は食料の他に製品や薬としても使える。

表面は革製品になり、ヒレは乾燥すれば強壮剤になる。


「応募してみる。少しの間抜けるかもな」


「良いと思うわ。いってらっしゃい」

「お兄さん頑張って」


朝食を終えてトラックを走らせる。

職案より電報を打って貰い現地に向かう。


「やぁ若いの!待ってたぜ」

「ジャン•レイ 特級射手だ。よろしく頼む」


船長のナジだ。髭を蓄えた高齢漁師だ。

かなり威勢が良い。何でも今までは1人で船を動かしていたみたいだ。雷魚である程度金を稼いだら隠居するみたいだ。


「若いの。こいつがお前の銃だ。戦帰りならチョロいモンだろ?」


「パントガン!久々に見たな‥」

パントガン。通称象撃ちと呼ばれる巨大な水平二連銃だ。ライフルよりやや高い値段の銃だが持ってる者は少ない。強烈な反動と取り回しの悪さがある。

療養明けには厳しくないか?


「船長」「ナジだ」


「‥ナジ。俺は問題ないがコイツは一般射手にはキツイ代物だろ?」


「誰も来ないんだよ、察しろ若いの‥」


「そうかい」


簡単な説明を受けて2人で船に乗る。

年季の入った船が一隻沼地を進んでいく。

岸辺にはタモ網漁がチラホラ見えるが、船は俺たちだけだ。


「若いの。女房はいるのか?」


「まだだが、それに近い女と弟分が家で待ってる」


「ワシは女房もガキも皆んな先に居なくなっちまった。大事にしろよ‥」


生返事する。身に染みてる。

罠を仕掛けたポイントまで来たみたいだ。

「ワシがロープを引き揚げる。頭か尾鰭にぶち込んでやれ!ワシに撃つなよ?ガハハ」


パントガンを構える。地上では撃ったが、船は初めてだ。ナジが素早く引き寄せる。


デカい魚影が浮き上がって来る。

水面まで顔を覗かせる。

まるで恐竜の様な見た目だ!ギザギザの歯がよく分かる。バシャバシャと泥水を巻き上げる!


ボガーン!!

凄まじい反動と銃声に転けそうになる。

体制を立て直す。

「若いの!もう1発やれ!!」


船が上下に揺れる。雷魚は胴体と尻尾だけ暴れている。頭部はもう使えないみたいだ。


一瞬尾鰭が見えた!

ボガーン!!

二発目でようやく仕留めた。

巨大すぎるのでロープで船尾にくくりつけて岸まで進む。


「若いの。なかなかの腕前じゃな?」


「ありがとう」

それからナジの作業小屋で解体の手伝いをした。

これでもまだ小ぶりらしいのに驚く。

皮をはいで天日干しにする。高値になるみたいだ。

肉は半分を薄く切って一緒に干す。保存食だけでなく罠の餌に使える。

残りは豪快に切り刻んで1度軽く茹でる。泥抜きだ。

水を入れ直してぶつ切りの野菜と塩胡椒でぐつぐつ煮ていく。


「ほれ食え。美味いぞ」


「あぁ頂こう」


それから2人は黙々と食べ続けた。決して気まずいのではない。結構雷魚は美味いのだ。

ナジがこの仕事を続ける理由が何となくわかった。

釣りではなく狩りに近いですね。

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