相談
「朝食が出来たわよ」
「あぁ」
「おはよう姉さん。先生」
「ジャンで良い。もうお前は卒業したんだ」
「慣れないね」
俺は今レベッカの家に時々泊まっている。
数ヶ月はたっただろうか。
初めは多感な時期の弟に配慮して断っていた。
はたから見れば姉を寝とった射撃監督だ。
意外にもダンは喜んでいた。もしかしたら父や兄の存在を求めていたのかもしれない。
いずれ家族になるかもしれない。
だがいつ何があるか分からない。
まだ宿は引き払っていない。
「姉さん行ってきます」
「気をつけてね」
「頑張れよ‥」
ダンは射撃場を卒業してから鉱山採掘の護衛として働いていた。デザートストーンは水や森が少ない分、鉱石や油といった資源に恵まれている。
禿げ山の斜面や崩れた岩、窪地•地下などに豊富な資源が眠っている。国土が広いため枯渇の心配は少ない。
以前は傭兵や流れ者が現場監督と口約束して護衛していたらしいが、互いにトラブルが多発した為法律が定められた。
射撃場卒業生は銃の扱いに定評があり家柄も良い家庭が多い。その為デザストン近郊の採掘業者は射撃場に対して毎年求人を出している。
卒業サイクルが早い為年2回だ。
需要と供給だ。
しかし危険を排除する必要が有る事、倍率がそれなりに有る事、長く続けないと給料が上がらない事が条件だ。
幸いダンはそれなりに続けられているみたいだ。
俺とレベッカも出勤する時間だ。
今日もいつも通り講義と実技を済ませる。
最近は生徒の扱いも慣れたもんだ。笑う機会も少しだけ増えた。
そんな中ある生徒から相談を持ち掛けられた。
名前はハンス。男子生徒。17歳とわりかし上の年齢だ。
彼の実家は農業だ。乾燥に強い麦などを育てている。
ここにいるのは害獣駆除の為に射撃が必要だからだ。
きちんと学べば良いと両親から言われて来たみたいだ。
「ジャン先生。俺の実家の畑に昆虫がいます。助けてください!」
最初冗談かと思ったがどうやら真剣らしい。
「どんな見た目だ。何か分かるかもしれない」
「形は普通のバッタです。とにかくデカいんです。1匹2メートルくらいあります。」
「ん?沢山いるのか‥」
「‥はい」
「両親はどうしてる?虫除けとか農業組合とか」
「そんなのとっくに試しましたよ。虫除けは効かず、組合はそんな虫この国に居ないと取り合ってくれません」
「役所に相談して実物を確認してからでも遅くないんじゃないか?」
「麦を食べるスピードが早過ぎます。あと3日くらいで1つの畑が死にます」
「俺の知り合いに保安官がいる。武器は保安官と俺個人が調達する。お前も手伝ってくれ」
「ありがとうございます。両親に伝えます」
「準備と連絡に丸1日かかる。2日後君の農場に向かう」
「お待ちしております」
かわいい生徒の依頼だ。金なんか取れないな。
害虫って嫌ですよね?




