夜戦
昼間とは違い数十メートル先が分かりづらいのが夜戦の特徴だ。どんなに最新の装備を駆使しても限界がある。俺たちはそれを訓練で補ってきた。いよいよそれが発揮される。
ザックにアイコンタクトを送り、それを受けてカール総理に耳打ちをする。
「お集まりの皆さんに私からのプレゼントです!どうか受け取ってください!」
本来ならこんな予定は無い。そしてコレが合図だという事もほんの数名しか知らない。
ザックがカンプピストルを夜空に向かって放った。
ヒュー!‥パーン!!
綺麗な蒼白い光が空に輝いた。
「この後は官邸内でお楽しみといきましょう!」
カール総理が言ったと同時にバートが素早く議員たちを誘導した。
残る3人は怪しい影に素早く銃口を向ける!
ダン!ダン!
ズパパパパ!!
ダダダン!!ダダダダン!!
先手を撃つとはこの事である。上手く隠れたつもりの敵は瞬く間に制圧された。
これまで散々後手に回った。その仕返しだ!!
「今回はジャンが官邸に残れ!俺たち3人は討伐に向かう!!」
敵はこれだけとは限らない。珍しく後衛を俺は任された。
闇夜に完全装備のSPが消えていく。
誰かを誘導するのは久しぶりだ。気を抜けない。
「ただいま襲撃がありました。秘密警察には連絡済みです。安全が確保されるまで私が護衛します!」
一通りの説明を終えて避難室へ誘導する。
AKのおい紐を背中に回してガバメントピストルに切り替える。屋内ではこちらが使いやすい。
「常駐警備員は2名ずつ表と裏の入り口を塞げ!残りは俺と護衛だ!良いな⁈」
「了解!」
誘導は俺含めて2人しかいない。だが侵入口を塞いで議員を安全地帯に運べば8割合格だ。
残る2割は不測の事態‥
避難室まで後数メートルだ。
近くの通路からパーティー設営スタッフが2人飛び出してきた!
彼らが懐から銃を取り出すのを見逃さなかった!
バンバン!!バンバン!!
射線に誰もいない為躊躇わず発砲する。
奴らの引き金はワンテンポ遅れて反応した。
仰け反り倒れながら天井に銃弾を撃ち込む。
ドロロロ!!ガシャーン!
大きめの照明が落ちてくる。
襲撃よりそちらの方に皆ビックリしていた。
「お前は見張ってろ!皆さんはしゃがんでください!」
辺りを警戒しながら倒れた2人の武器を足で蹴飛ばす。まだ息がある者には容赦なく銃弾を撃ち込むが、その必要は無かった。
武器を確かめてみる。
スコーピオンサブマシンガン。
車両部隊や憲兵向けにブルーランドが開発した最新式だ。32口径と威力はまぁまぁだが、小型低反動で命中率が高く堅牢だ。連射で充分な殺傷力がある。
本来はサソリのような折り畳み銃床が付いているが、取り払われている。
「総理と女性議員優先です!」
安全確認後に避難室に押し込める。
途中ジョディ議員と目が合ったが無視する。
全員を避難させることに成功した。一息つく。
「実に見事だ!ありがとうジャン君!」
カール総理とアントン副総理が労ってくれる。
「ありがとうございます。まだ気は抜けません!」
「少し建物を捜索します。アントン副総理、銃は使えますか?」
「君も大胆だね!昔は戦争に行ってた。任せなさい!」
人数が少ない為議員連中の力も借りねばならない。
倒した敵から奪ったスコーピオンの薬室に銃弾を装填して手渡す。
「すぐ戻ります!」
常駐警備1人を残して部屋を後にした。
まずは索敵と入り口の状況確認だ。
まだ敵がいた場合、侵入口を作られてしまうからだ。
常駐警備はSPほど強くない。
部屋を出て数歩、避難室から悲鳴が聞こえた!!




