権力
「あら、恥ずかしくて出勤出来ないかと思ったわ」
何をほざくかこのアマ。既婚者じゃなく独身を狙いやがれ!
「私には妻と娘がおります。ご存知でしょう?」
「ええ勿論。どんなに良い男でも、女が居ようと誘惑には勝てないはずだわ」
「そいつはどうでしょうかね?」
「言っておくけどあなたは私の管理下にあるのよ?苦しむより楽になったら?」
どこまでも自己評価の高い女だ。
美人なのは認めるがそういう問題じゃない。
「あなたの護衛は約束します。ですがそれ以上は出来ません!」
「今は良いわ。今日も宜しく」
とんだ女に気に入られてしまった。
考えて見れば初期のレベッカも少し似ていたなぁ。
すこぶる治安の良い街で意味があるか分からない護衛を続ける事数週間。
とうとうジョディが暴挙に出た。
なんと自ら加工した俺との如何わしい写真を自宅に送りやがった!
合成と分からないような無駄に高い技術だ。
無論そんな事はしていない。
「貴方!説明して!」
「本当に違う。大臣は権力を馬鹿みたいに行使してるだけだ!」
「ケンカや〜だ〜!!」
家庭崩壊に近づけやがった。許さんぞ!
「ジャン。力になるぜ!」
「ありがとう。今回はザックの力を借りる」
なんとザックも一緒に執務室に行くという。
流れにまかせろとだけ言われた。
若い力を見せてくれ!!
「ジャンです。入ります」
「嬉しいわ〜あなたからきてくれ、る、な?」
「お久しぶりです!同僚のザックです」
「え、ええどうもいらっしゃい‥」
「‥」
「‥」
沈黙を破ったのはザックだ。
「やっぱり大臣は綺麗ですよねー!」
「あらまぁ、嬉しいわ。でもごめんなさい!私もう少し歳上が好きなの!」
ジョディがチラチラ俺を見てくる。
やめろよ、変態。
「実は妙な写真が出回ってまして‥」
「何かしら?」
ジョディがニヤニヤしている。
「それがそのー、コレなんですけど」
マジでザックは持って来やがった!
どうすんだよ!!
「あら〜恥ずかしいわ〜。向こうから誘って来たのに認めてくれないんですもの!」
よくもまぁ黒歴史を堂々と‥。
恋は盲目ってか、馬鹿野郎!
「それがですねーこの写真は偽物なんですよ!」
「は?」
ピキッと女がキレた気がした。
「実は影の重なりや光の反射が明らかに合成された物だと判明しているんです!こちらをご覧下さい」
事細かにどこがおかしいか参考資料を持って説明する。それでも彼女は折れない。
「私とジャンが結ばれているのは事実よ!そんな事言ったてどうにもならないの!もしかして嫉妬かしら?」
「いえ、タイプじゃないので」
「へ〜」
かなりヤバいぞ!どうすんだザック!?
「では決定的な証拠を見せましょうか」
「早くしなさいよ青二才!」
「コレです」
2枚の写真を取り出した。訓練中に記録係が撮影した物だ。俺が横向きで映っている。
それぞれ顔が近い物と手足が写っているものだ。
「よく見て下さい!コレをこうすれば全く同じ写真になるんですよー」
「そ、そう。でも事実は変わらないわ‥」
「ここまで出してまだシラ切りますかオバさん?」
「な!?あなた生命無いわよ!」
「どうぞご勝手に。ちなみに複製は既にカイルさんに渡しましたし、秘密警察にも通報しています!」
カイルとは議員仲間でジョディと関係があるとウワサされている人物だ。
秘密警察は意外とこういった謀などに敏感だ。
何故ならありもしない事実で殺人や紛争に発展した事例があるからだ。
「もう政府に命握られているもんですから好きにしてください」
ザックが肩をつついてきた。
「今後色目を使わないと約束して下さい。そうすれば全て水に流します」
「帰って‥もう良いわ‥」
部屋を後にした。
「しかし俺たちは大丈夫か?最悪クビだろ?」
「ジャン!ああいう脅しが大好きな女は実力行使と捨身の攻撃に弱いのさ!なるようなるから」
とんでもなく大胆でパワーのあるやり方だな。
もう少し若ければ俺もああいう対処が出来たかもな。
後日、ジョディ大臣は専属を解除して何事も無かったかのような振る舞いをみせた。
例の秘密警察やらのくだりはハッタリみたいだが、物凄い効果があった。
大した役者だよザックは。
「この間はありがとう。いつか借りは返す」
「要らないよ。ジャンからは学ぶ事が多いからな」
若いのにしっかりしているのはこういう所か。
ちょっと無茶苦茶な展開ですみません。
最近はジャンの人間臭さなども描きたかったから弱みを増やした感じです。
いずれ派手なドンパチもやります!




