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博打英雄  作者: 海川鮮魚
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第四話 依頼と出会い

「なんだ...あの魔物...いつからそこに...」

恐怖で足が竦み息も絶え絶えになる。身体は今すぐ逃げろという信号を出しているのに足が全く動かない。頭と身体全てがちぐはぐになっている感覚がする。


「に、逃げ...」


そう言いながら一瞬、瞬きをした。そのほんの僅かなコンマ数秒ほどの時間で魔物が視界から消えていた。

かわりに自分のすぐ後ろからついさっきまで感じていた威圧感の何倍もの威圧感を肌全体で感じた。

振り返るとそこには数十メートルは先にいたはずの魔物が目の前にいた。


(死っ...)


そう思った瞬間、魔物は雄叫びをあげながら体が徐々に霧のように霧散していった。

そして魔物が消えて数秒ほど立ち身体の力が抜け尻餅をついた。


「はぁっ...はっ...何だったんだ、今の」


ようやくまともに呼吸ができた。時間にして10秒にも満たなかったはずなのに何時間も経過しているような感じさえした。


結局また恐怖でまともに声を出すことも動くことも出来なかった。過去の後悔と現在何もできなかった、虚しさと悔しさ、そして自分への怒りが湧いてくる。


「何も、変わってねぇじゃん!」


そう呟き地面へ仰向けに寝転んだ。


「なぁ海、俺この世界でさ誰よりもカッコいい英雄になれんのかな...」


(そういや、この世界で死んだら今度はどうなるんだろう...)


(いや、余計なことを考えるのはやめよう)


何分か地面に寝転がってから起き上がり気を取り直して自分のスキルについて実験を続けることにした。


ーーーそれから数時間後ーーー

日が傾き始めた頃街へ戻ることにした

結局その日は「東」の効果の検証に時間を費やしたが350回ほどやっても当たりを引く事は出来なかった。


「やっぱり運要素が強すぎて実戦は向かなそうだよな、この能力...」


(スキルのことに関しては分からないことが多すぎるけど魔力は大体1時間で1割くらい回復するってのが分かっただけマシだな)


街へ着くと昨日見れなかった分、街を散策することにした。

街を歩いていると銭湯のような建物を見つけ、昨日から一度も風呂に入ってないことを思い出し、悩む暇もなく入ることにした。


(結局、昼間に見たあの魔物は何だったんだろ...ダチュラさんに渡された本にもそれらしい記述はなかったしな。後で本屋かなんかが有れば詳しく調べてみるか...)


シャワーを浴びた後、疲れを取るように湯船に浸かりながらこれまでのこととこれからのことを考える。


(本来の目的...ダチュラさんが言っていた六つの石の場所も調べなきゃな。そういやこの世界、元いた世界の言語が当たり前のように通じるし、文字にも変化がない。何で向こうの世界の文化みたいなのが共通してあるんだ...)


(通じないよりかは遥かにいいけど何か引っかかる感じがするんだよな...まぁこっちは追い追い調べるか...)


しばらくして銭湯から出た後、本屋を探し立ち寄ってみて魔物の図鑑を一冊購入した後宿屋に戻り1階に併設されてる食堂で飯を食い部屋に戻って図鑑を読んでみることにした。


(風呂もだったけどこの世界に来てから飯も食べてなかったな...忙しすぎて後回しにしてたからな)


そう思いながらしばらく図鑑を読んでみたが昼間に遭遇した魔物の情報は何一つ載っていなかった。


(それと金も稼がなきゃな)


ダチュラから貰った金は小銅貨から大銀貨が10枚・金貨3枚・大金貨1枚とかなりの金額を貰ってはいるがそれでもずっとそれだけでやっていけるわけでは無いので金策に走ることにした。


翌日、今後の資金を得るためにダチュラからもらった本に書かれていたこの世界特有の施設『冒険者ギルド』という場所を訪れた。

冒険者ギルドは魔物や魔族の被害を受けている人や地域が冒険者ギルドに依頼を出し、その依頼を見た人たちが依頼をこなし冒険者ギルドを通して報酬を得るということを主にしている施設らしい。


依頼を受けるにはギルドで冒険者として登録をしなければいけないらしく受付の人に頼んで登録の手続きをすることにした。


「では、こちらの用紙にご年齢とお名前をご記入ください」


「ご記入いただけましたらこちらの水晶に軽く触っていただけたら完了です」


受付の人の指示に従い名前と年齢を記入した用紙を渡した後水晶に触れると受付の人は一度ギルドの奥に行き間も無くして戻ってきた。


「お待たせいたしました。こちらが登録した証のギルドカードです。こちらは身分証としてもお使いいただけますが紛失した場合は再発行に料金が発生しますのでお気をつけください。」


受付の人にお礼を言いカードを受け取ると続けてギルドのことに関して話してくれた。


「ギルドの依頼と登録した方にはそれぞれランクがございまして下から『E・D・C・B・A・S』の6段階があります。原則として単独では自分と同ランクまでの依頼しか受けることができません。自分より上のランクの依頼を受ける場合は最低でも2人以上でギルドの判断次第になりますのでご注意ください」


「依頼をこなしていくとランクが上がっていきそれぞれのランクに到達することで別途報酬などを貰えB以上は国からのご依頼なども請け負う場合がございます。」


「ここまでで何か質問はございますか?」


「自分より上のランクの依頼を受けたい場合は自分で同行してくれる人を見つけて来なきゃいけないんですか?」


「いえ、同じ依頼を受けたいという方をギルドの方で探して依頼を受注するということが可能です。ただその場合こちらで選んだ方達との間に何かトラブルがあってもギルドとしては責任は負えませんのでご注意ください」


「分かりました。ありがとうございます!」


受付の人の説明が終わるとお礼を言いさっそく低ランクの依頼が書かれている掲示板を見た。

その中でDランクの『セロラの採取』という森で果実を採取する依頼がありそれを受けたいと受付に言った。


「そちらの椅子にかけてお待ちください」


受付がそういうと近くにあった椅子に座って待つことにした。俺はまだEランクなので同行できる人を探してくれているのだろう。

1,2分ほど待っているとと急に声をかけられた。


「あの、すみません」


すぐに声の主の方を見ると


「!?」


目の前にいた人に対してただただ驚愕した。

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