穴の中
そこは、狭く、暗く、湿っていて、頭上から、光が射し込んでいた。そう、ここは深い穴の底なのだ。
広さは、人1人が入れるくらいで、深さは外が霞んで見えな程深い。
いつからここにいるのだろう。ここに来る前の最も新しい記憶は、自宅で夕食を済ませ、片付けを始めたところであった。
とりあえず、ここはどこなのかを考えよう。しかしなんの手がかりもなく、いや、手がかりがあったとしても素人がわかるはずもなく断念した。
次に誰がこんなことをしたのかを考えよう。この前行った態度の悪い居酒屋の店員だろうか。それとも、浮気を根に持っている元嫁だろうか、それとも、それとも、、、心当たりが多すぎる。
そこで気づいた。きっと犯人はもっと巧妙やるはずだ。そして私に予想もさせないような輩だろう。そういえば、私は夕食の前に友人にあって話をしていた。そうだ犯人は、きっと彼だ!彼は、私のなにかが気に入らなかったのだろう。そうだきっとそうに違いない!きっと今頃しめしめと思っているだろう!
彼は私と出会った時からずっと私を貶めようと考えていたのだ。私と話している時も、何も知らない馬鹿な奴などと内心思っていたのだろう。
そう考えると、悲しくなるのと同時に怒りもふつふつと湧いてきた。彼は、私の1番の友人であったからその反動も大きい。私は彼を憎んだ。そして復讐の計画まで立てていると、そこで目を覚ました。
今までのことは夢であったのだ。私は安堵と同時に悲しみと罪悪感に苛まれた。私は親愛なる友人を、心の底から疑い憎んで殺意を向けた。私はそんな事実に耐えられなかった。自責の念が波のように次々と、押し寄せてきた。人は情報を遮断されるとこんなにも自分の都合のいいように考えてしまうのかと、人の弱さを痛感した、しかし、友人を憎んだ事実に変わりはない。
その後私は死んだ。川に身を投げたのだ。私がこんなことを考えたことは、友人は知らない、しかし私は耐えられないし分からない。どんな顔をして友人に会えばいいか、何より罪悪感に勝てなかった。 私は、天国でいや地獄で待って居ります。




