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詩集:青空なき獄中の記

無辜と無垢

作者: 歌川 詩季

「顔」より「背中」が多いんじゃないかってくらい、よく使っちゃいます。

「背中」に語らせるかんじ?

 犯してもいない罪までを 負ってやれるほど

 この背中は 広いわけでもない

 羽もはえていなければ (うろこ)も並んじゃいないが

 ふわふわ 浮いているわけでもない

 (かかと)は泥の中に沈んでる


 おぼえのない罪までを 負ってやれるほど

 この背中に 隙間などありはしない

 書き殴られた(そし)りや 魚のかたちをした青(あざ)

 びっしり 埋め尽くされているのをごらん

 背骨は(きし)んで ひん曲がってる



 だが こいつを断ってやることなどできようか


 罪は天下の(まわ)り物

 おれからおしつけられたぶんまで

 びっしり 埋め尽くされた背中で

 (きし)んで ひん曲がった背骨で

 負わされたやつらがいるはずだ


 (そし)りを書き殴られることもなく

 魚のかたちをした青(あざ)もつくらず

 わりときれいなまま

 広く 隙間を残した背中に

 羽をはやしたり (うろこ)を並べて

 (かかと)を ふわふわ

 浮かせたやつらだっているはずだ



 誰かへ おしつけたのなら

 誰かから おしつけられるし


 誰かから おしつけられたのなら

 誰かは おしつけて ばいばいと手を振る


 手を振ってきた回数と

 手を振られてきた回数とを

 引き算してみたり


 おしつけた重さが ぜんぶでどれだけで

 おしつけられた重さが ぜんぶでどれだけか

 天秤(てんびん)に吊るしてみたり


 割にあわなくても つりあいがとれなくても

 理不尽だと不満を漏らしても


 罪は天下の(まわ)り物

 そいつを拒むやつらへ おしつけてきたおれに

 こいつを断ってやることなどできようか


 無辜(むこ)ではあっても

 無垢(むく)ではありえないおれに

 こいつを断ってやることなどできようか


 羽もはえていなければ (うろこ)も並んじゃいないが

 広いわけでもないこの背中に

 書き殴られた(そし)りや 魚のかたちをした青(あざ)

 隙間などありはしないこの背中に

 犯してもいない罪までを負わせようとするならば

 罪は天下の(まわ)り物

 足首までを泥の中に沈めよう

 

 さらに このうえ

 おぼえのない罪までを負わせようとするならば

 絡む因果はまわし者

 膝頭(ひじがしら)までも泥の中に沈めよう


 さらに このうえ

「金は天下の回り物」のパロディです。


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立花 優先生
― 新着の感想 ―
[良い点] 今日もいいですね。私の作品に、先生から教えてもらった、リンク張ってみましたが、ポイント、未だに0です。まあ、諦めずに頑張ります。 [気になる点] 無 [一言] 無
[良い点] 壮絶な内容なのに、粋な言葉とテンポがなんだか心地よいです。
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