無辜と無垢
「顔」より「背中」が多いんじゃないかってくらい、よく使っちゃいます。
「背中」に語らせるかんじ?
犯してもいない罪までを 負ってやれるほど
この背中は 広いわけでもない
羽もはえていなければ 鱗も並んじゃいないが
ふわふわ 浮いているわけでもない
踵は泥の中に沈んでる
おぼえのない罪までを 負ってやれるほど
この背中に 隙間などありはしない
書き殴られた謗りや 魚のかたちをした青痣で
びっしり 埋め尽くされているのをごらん
背骨は軋んで ひん曲がってる
だが こいつを断ってやることなどできようか
罪は天下の廻り物
おれからおしつけられたぶんまで
びっしり 埋め尽くされた背中で
軋んで ひん曲がった背骨で
負わされたやつらがいるはずだ
謗りを書き殴られることもなく
魚のかたちをした青痣もつくらず
わりときれいなまま
広く 隙間を残した背中に
羽をはやしたり 鱗を並べて
踵を ふわふわ
浮かせたやつらだっているはずだ
誰かへ おしつけたのなら
誰かから おしつけられるし
誰かから おしつけられたのなら
誰かは おしつけて ばいばいと手を振る
手を振ってきた回数と
手を振られてきた回数とを
引き算してみたり
おしつけた重さが ぜんぶでどれだけで
おしつけられた重さが ぜんぶでどれだけか
天秤に吊るしてみたり
割にあわなくても つりあいがとれなくても
理不尽だと不満を漏らしても
罪は天下の廻り物
そいつを拒むやつらへ おしつけてきたおれに
こいつを断ってやることなどできようか
無辜ではあっても
無垢ではありえないおれに
こいつを断ってやることなどできようか
羽もはえていなければ 鱗も並んじゃいないが
広いわけでもないこの背中に
書き殴られた謗りや 魚のかたちをした青痣で
隙間などありはしないこの背中に
犯してもいない罪までを負わせようとするならば
罪は天下の廻り物
足首までを泥の中に沈めよう
さらに このうえ
おぼえのない罪までを負わせようとするならば
絡む因果はまわし者
膝頭までも泥の中に沈めよう
さらに このうえ
「金は天下の回り物」のパロディです。
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