ドラグーン・スクランブル・スクランブル
ハナゾノの空はこのように守られている。
「これは訓練である。これは訓練である。現在、北東から当基地に未確認騎が急速接近中」
「スクランブル。スクランブル」
”電波探知”の加護を授かったライトニングドラゴンに乗った竜騎士が、三騎編隊を保ったまま滑走路から、急速に飛び立って行く。
ウインドドラゴンの上位種であるライトニングドラゴンは、少し小柄だが飛ぶスピードは速い。
続いて、インターセプターとして、赤竜に乗った竜騎士が三騎続いた。
白い雲の間の空を、三騎の青いドラゴンは編隊を組んで飛んだ。
未確認騎を電波探知の加護で探知した相棒の竜が、ハンドサインで方角と数を教えてくれる。
「ブルーワンより各騎へ、右下二時の方向。数、飛竜3、飛行艦1。そちらへ向かう」
”念話”の魔術で他の僚機に伝える。
ゴーグルの”望遠”術式を起動する。
「エスコートに、黒竜1、赤竜2。リリーマルレーン級高速爆撃艦を確認」
テンドロディウム級を発展させた、リリーマルレーン級は、オスプレイを大きくして真ん中に流線型の気嚢(飛行船の風船部分)をつけた形である。
下部デッキには大量の樽爆弾を詰め込んでいる。翼の左右にはティルトローター方式のプロペラ。後部に二機、装備する魔術式ジェットで、高速巡行が可能だ。
「どうします隊長」
「リリーマルレーンの高速巡行は飛竜では追い付けん。インターセプターが追いつくまで時間稼ぎをする」
飛竜の高度を取りながら言った。
雲の合間を飛ぶ、敵騎と艦に斜め上から飛び込んでいく。
「ブルーワン、エンゲージ」
「ブルーツー、エンゲージ」
「ブルースリー、エンゲージ」
編隊を組んだまま飛び込み、ライトニングブレスを浴びせるが、すかさずカバーに入った敵騎の”防御障壁”に無効化される。
「ブレイク。ブレイク」
ブルースリーの近くで、黒竜のダークブレスが破裂、爆発した。
ブルースリーの防御障壁が消滅した。
「ブルースリー、ペイルアウト。あと頼んます。隊長」
インターセプター である赤竜が到着。
ファイヤーブレスを飛行艦に浴びせようとするのを、敵騎が邪魔をする。
三対三のドッグファイトになった。
そのすきに飛行艦が急降下し、翼の先にあるプロペラを後ろに倒し、高速巡行モードになった。
魔術式ジェットの左右のエアインテークが開き、加速しようとした。
「取ったっ」
その瞬間、ブルーワンにフォローされた、ブルーツーが”落雷” の術式を当てた。(防御障壁の無い飛行艦には十分な火力)
飛行艦はペイルアウト。
訓練は、インターセプト側の勝利となった。
黒竜が、クラスターブレス(小さな爆発を複数発生させる)で目くらましさせていると、飛行艦は突破でき、強襲側の勝利。