序 ~見えざる世界/ 15~
資料館の巻物に描かれていたもの。
それは、時の幕府が行った疫病の感染実験の
生々しい記録であった。
呪いの根源は、
証拠隠滅の為に行われた焼討ちで命を失った
〝数百人の村人達の怨念〟である事。
そして原初の復讐者は
無実の罪を着せられ斬首刑となった
6人の医師団であった事を火野は知る。
この果てなき呪いはどこへ向かうのか?
そして火野はどうなってしまうのか?
8月 7日 23時。
――もう寝よう――と思ってから、一体どれだけ時間が過ぎたかは分からなかった。
火野は島根に向かう三等寝台車の暗く狭い空間で、棒のようにぴんと固まった状態のまま、小さく軋む低い天井についていた一点の黒いシミをじっと見つめていた。
「〝祓衆のご意見番〟らしいけど、年齢的には俺より少し上位の人だよな……」
黒い点を見つめながら、火野は今自分が訪れようとしている舟越ケイコの事をあれこれ連想していた。
丸尾からの電話直後、火野の参加のもとに開かれた社の上層部による緊急会議で、佐伯の残した『六ツ鳥居関連事件』に関しては〝今後一切の関連調査を行う事は禁止〟という社の方針が固まった。その上で、この忌まわしき呪縛を解く為に、会社の全面的なバックアップのもと〝望みの綱を手繰る役割を火野に託す〟というのが社が出した結論であった。
――〝日に最低2回の連絡〟あと〝少しでも身の危険を感じたらそれ以上踏み込まない〟事!厳守ですからね。火野君!……――
デスクとの最後のやりとりを思い出し、火野はふっと小さな笑みを浮かべる。
「こうなる予想もしていたけど、いざなってみると妙な感覚だな。……周りで人が死にすぎてどっかがおかしくなってしまったんだろうか?……」
火野は、死刑宣告に近しいその刻印が自らの首に刻まれた事をまるで他人事のような不思議な感覚で捉えていた。それはあたかも初めから決まっていたストーリーを演じる役者の心持ちにも似た奇妙な感覚であった。――とにかくやれる事をやろう――それは、諦めの感覚とはあきらかに異なる〝静かな覚悟〟とも取れる感覚であった
「痛っ」
首筋に〝走る様な痛み〟を感じ火野は思わず小さな声を上げた。思い起こせば福岡入り直後に探索した古部邸で、既に呪いの兆候は出ていたんだなと数日前の出来事を今更ながらに回想する。火野は眠れぬ体をゆっくり起こすと、寝台から離れ、通路に並ぶ車窓から外の景色を眺めてみる。列車はどこかの町の近くを通過中らしく、田畑の合間にちらほらと民家の明りが灯って見える。
「!」
不意に周囲に妙な気配を感じ、窓ガラスに映る自分に焦点を合わせた火野の眼が自分の背後に立ち尽くす居るはずのない二人の姿を確認する。一人は全く見たこともない中年の女性、もう一人は以前夢の中に出てきた血だらけの男であった。
ぎょっとして背後を振り返るが、当然の如くそこには何も無い。
「今の女は?……それにあの男……なぜ何度も俺の前に?」
驚きはあったものの、その二つの霊の出現に不思議と怖さは感じられなかった。
恐ろしい物を見る事自体に耐性が付き始めた自分に小さな溜息が漏れる。
――カン、カン……カン……カン、カン……――
ふと数メートル先で、何かが何かにぶつかる微かな衝撃音がしている事に気づく。
音のする方向を注意してみると、一匹の蛾が薄暗い車内の常夜灯に向かい無意味な突進を何度も繰り返している。その光景に、いつ果てることなく繰り返されるシシュポスの岩置きを連想した火野は、見えない誰かに向かいそっと呟いた。
「まるで俺たちみたいですね……」
列車は暗いトンネルの中に入って行った。
車窓に映るものは真っ黒な闇と虚ろな自分の姿だけであった。
*********
8月 8日 10時20分 島根東野病院受付。
舟越ケイコが入院するこの東野病院は島根の日本海側、神西湖の近くにある国営病院で、設立60年という歴史ある大規模な精神病院であった。先日の午後、集敬社から面会の要請を行った所――佐伯さんの後輩の方ですね。ケイコさんから話は聞いております――と、誰がいつケイコに連絡したのか定かで無かったが、既に面会の予約は取れていた。
佐伯の手帳に散見された書き込みから、ケイコに何らかの特殊能力がある事を知ってはいたものの、まるで引かれたレールの上を進んでいるかのような奇妙な状況に、怪訝な面持ちのまま火野は医院の門をくぐった。
面会は正午からであったが、先日の午後から何も口にしていない事を思い出す。火野は、食事を取りながら時間をつぶそうと考え、医院内の食堂へと足を向けた。食堂内は二~三十畳ほどの広さで、患者と面会者らしき集団が点在し、楽しげに話を弾ませている。ここ東野病院では軽度の精神疾患者は食堂での面会が可能であった。空間は一見すると町のお役所の食堂の様相に近しく、少し不思議な気分になる。
火野は注文したうどんをセルフコーナーで受け取ると、部屋の壁際についた棚に置かれた白黒テレビに目をやりながらそれをすする。
「あなた。佐伯さんの後輩の記者さんね」
火野が最後の麺を飲み込んだタイミングで、一人の細身の女が突然声をかけてきた。
女は患者衣は着ておらず、清楚なシャツに長めのスカートという出で立ちで、とても入院患者には見えない雰囲気をまとっていた。
「え?……はい。佐伯の後輩の火野ですが……ひょっとして舟越……」
「ケイコです。舟越ケイコ。……ここ座ってもよろしい?」
その気さくそうな女はそう言いながら火野が答える前にひょいと席に座ってしまった。
「あなたの話は佐伯さんから――」
女はそこまで言うと言葉を中断し、火野の首元を指差す。
「その首……贄の印!…………あなた、一体何をしたの?」
「にえの……いん?………このアザの事ですか?」
「邪悪な呪いの印………あなた……あなたまさか手まり堂に入った?」
「入りました。……上と、あと下の……地下の方に」
「地下ですって!……いつ?……それっていつの事?」
高まるケイコの声に、近くの数人がこちらを振り返る。
ケイコは乗り出した上体をもとの姿勢に戻して口を噤んだ。
「3日前ですが」
「3日?……3日でここまでハッキリと……」
「このアザ……そんなにまずい状態なんでしょうか?」
「はっきり言って一刻を争う状態ね。……地下に入ったってことは『絶界の札』も?」
「はい。ここに」
火野がカバンから札を出そうとするとケイコが慌ててそれを止める。
「こんな所でそんな物を出しちゃダメ!あるのならそれでいいの。……それより、その首の状態……こんな所でのんびり話をしている時間はないわ」
ケイコはそう言うとすっと椅子から立ち上がる。
「ついていらして」
火野の返事も待たずにケイコは早足で食堂を後にする。何もかもお見通しであるかのような一連の態度に驚嘆しつつ、火野は手早く荷物をかき集めると、あたふたとケイコの後を小走りで追いかけた。
ケイコは食堂の裏手にある物置きのような小さな建物に火野を案内すると、おもむろに建物の左側に回り込み、その奥へと入って行った。2~3メートル進むと、建物の壁面に添うように置かれた泥だらけの長テーブルが目に入る。ケイコはひょいと身を屈めると、テーブルの下から薄汚い布に包まれた1メートル程の長さの細長い物体を取り出して地面に横たえた。
「六ツ鳥居事件の時に儀式に使われた物よ。警察に保管されていたのを丸尾さんが届けてくれたの」
そう言いながらケイコは物体にまかれた布を手際よくめくっていく。
中から出てきたのは、長い一本の食パンのような直方体の形をした古い桐の木箱だった。ケイコは慎重に箱の蓋を開ける。
「これは………」
現れたのは、美しくはあるものの、何とも表現しがたい禍々しさを放つ〝六個の手毬〟であった。
「手まりが六つ……これって……」
火野の頭に佐伯が残した六ツ鳥居事件メモの内容がよぎる。
「事件で発見された古部一家の遺体が抱えていた手毬よ………これとあなたが持ってきた絶界の札があればきっと再現できるはず……」
目の前の毬が放つ異様な空気にたじろぎつつも、火野は懸命に頭を整理しようとする。
「再現って……一体何を再現させるんです?」
「おもどりの儀式よ」
「おもどり……?」
ケイコは何かを話そうとするがそれを止め、すっと立ち上がって火野に号令をかけた。
「詳しいことは移動中に説明するわ。すぐ出かけましょう」
「出かけるって、どこへ?」
「……手まり堂よ」
16時00分。
江南駅から博多行きの列車に乗りかれこれ4~5時間は経過しただろうか。
二人がこれから行う儀式の内容と、火野が置かれている状況の危うさをひとしきり説明したケイコは、不慣れな長い移動で疲れたのか数時間前から寝てしまっていた。
ケイコの話によると、そもそも六ツ鳥居で組まれていた悪霊封印の術式は「森に点在する6つの鳥居」に、毎年6人の生贄の命を捧げる事で成立するものであり、一年経過して緩んだ封印を毎年決まった刻時に〝締め直す〟というものであった。
本来の術式では、手まり堂の傍らに『霊達を冥界に封印する門』として白鳥居を建立し〝そこに霊達を誘い込んで焼き払う〟という手順が踏まれていたそうだが、今回、その白鳥居の代わりに『井戸』を門として利用するというのがケイコの策であった。
ただケイコ曰く、この「おもどりの儀式」自体が、実は呪いの根本解決にはほど遠い封印式であり、生贄達の生への執着心を利用して構築する対処療法的なこのやり口は、祓衆の間でも〝邪道〟として伝えられる儀式だとの事だった。
そして、どういう経緯でそうなったのかは定かでないが、古部家族が手にしていた手まりには、江戸時代に非業の死を遂げた尊徳ら医師団の〝強烈な怨念〟が宿っており、この怨念の浄化と封印を一度に行う、というのがケイコの狙いだった。
火野は手帳に書き込んだメモを再確認し、自分のやるべき事を心の中で読み返す。
――――――――――――――
1.井戸を解放する
2.井戸に絶界の札を貼る
3.六つのまりを井戸に投げ入れる
4.呪文を唱え霊を呼び寄せる
――――――――――――――
ページの下部にはケイコが書いた呪文の言葉が記されている。
――――――――――――――
ウレガイトニイニカ
――――――――――――――
――大変危険な呪文だから儀式まで読んではならない――と、ケイコに念を押されたその呪文は、火野が初めに遭遇した佐伯夫婦の事故の際、娘の由香里が連呼していた言葉にどことなく似ていた。
当時、目の前で起きた惨劇が鮮明に蘇りそうになり火野は慌てて手帳を閉じる。
「この若い女と自分との2人だけで本当にこの強力な呪いを封じられるんだろうか?」
強烈な不安が襲いかかる。
だが、ここまで来たらもう突き進むより他に道は無いのだ。
目の前でピクリとも動かず死んだように眠るケイコと、その横に立て掛けられた桐の箱の二つを交互に見ながら火野はふと佐伯の事を考える。
「見守っていてくださいね……先輩」
車窓に目をやる火野の視界には、もう外の景色は全く入っていなかった。ここ一週間で起きた様々な出来事が、さきほどから頭の中をぐるぐると駆け巡っている。濃密な記憶は瞼の上へと移動し、緩やかに重さを増し、ついにはピタリと閉ざされる。
列車と線路が奏でる静かな子守唄に包まれ、火野の頭の中に透明な水の様な世界がゆっくりと広がって行った。
*********
18時50分。
六ツ鳥居の森に到着したのは薄暗く影が真横に伸びる夕刻だった。大蛇の様な長い雲が奇妙な速度でうねりながら上空を移動し、空の色もいつしか「魚の血合い」のようなドス黒い『赤』に変わっていた。
先を進むケイコの歩みがどことなくどんどん鈍化しているような気がし、火野は彼女に声をかける。
「ケイコさん……体……大丈夫ですか?」
ケイコは方向を変えず返答する。
「大丈夫よ。それよりその手毬……慎重に扱ってね。……それに私の事より、感じない?」
苦しそうな息遣いでケイコが不思議な質問を投げる。
「感じない?って……何をですか」
「後ろ……絶対振り向いちゃだめよ」
「?……え?……どういう事です?」
「あなたのすぐ後ろ……付いてきてるの。さっきからおっかないのが2体……」
「!」
火野はゾッとして一瞬動きを止める。
耳を澄ますと、確かに後方で微かに何かの息遣いが聞こえている。
「大丈夫。石段まで行ってしまえばそこから先は肉体が無い者は入れないはずだから……只、それまでは刺激しないように………気付かないふりでね」
空気は気味悪いほど濃くなり、森を進む二人の皮膚にまとわりついてくる。辺りには今にも一雨来そうな気配が漂い出していた。
龍頭神社の裏の階段を登り、二人は手まり堂に辿り着く。日は沈みかけ、周囲の景色の半分は夜の様相へと姿を変えつつあった。ケイコが言ったように火野の背後に感じた気配は完全に消え去っていた。
ホッと胸をなでおろす火野に休む間も与えず、ケイコはお堂の左側に生えた梛の古木の脇に立つと、こんもりと積まれた木の葉の山を指差し火野に指示を出す。
「ここよ。ここに井戸があるの。……まずはこの井戸の蓋を開けてちょうだい」
火野は抱えていた桐の箱を脇に置くと、目の前の小山に被せられた木々を次々と払い退けていく。
「ほんとだ……」
目の前に、木蓋で封をされた古い作りの石井戸が現れる。火野は蓋の上にのった重しを押し退け井戸の木蓋を開けた。
ピカッと上空で雷が光り、数秒後ガガーーンという落雷音が辺りにこだまする。
その轟音を皮切りに小さな水滴が地面にパラパラと落ち始める。
「これがその昔、祓衆が造った憎き井戸、浄めの井戸よ。……さぁ、ぐずぐずしてないで、持ってきた札をその井戸の縁に貼ってちょうだい!」
火野はカバンから札を取り出すとそれを水滴で湿らせ井戸の縁に貼り付けた。
「後はこれ!……このまりを井戸の中に入れて!」
ケイコから受け取った木箱の蓋を荒々しくはぎ取ると、火野は中に入っていた『まり』を次々と井戸の中に放り入れて行く。
――ぽちゃーーーん、ぽちゃーーーん……――
井戸の深い底から、まりが水面に飛び込んでいく音が聞こえる。不思議な事に、まりを一つ入れる度に、体に奥の方にのしかかっていた重みが軽減されていくのを火野は実感していた。
――呪いが解ける!……いけるぞ!……――
火野が最後のまりを投げ入れようとした時、誰かの呼ぶ声が聞こえた。
「やめろっ! やめるんだ火野っ!」
声の方に目をやると、そこにはやつれてはいるが見覚えのある顔がこっちに向かって叫ぶ姿があった。
「丸尾……さん?」
声の主は確かに丸尾であった。丸尾の横には一人の小柄な女性が、必死の形相で同じようにこちらを凝視している。
「火野! そんなモン持ってお前…… 一体何してんだっ!」
「何って、この『手まり』の力で呪いを解くんですよ!……もう時間がないんです!」
「だってお前ソレ……」
「お前が持ってるソレ『まり』じゃないぞ!」
「え?」
火野がその手に握っていたのは『まり』ではなく誰かの『頭蓋骨』であった。
丸尾は絞り出す様に続けた。
「ケイコさんも病院を抜けて来てくれたんだぞ!火野、早まるのはよせっ!」
「ケイ……コ……???」
一瞬頭が真っ白になる。火野はゆっくりと真横の女に目をやった。
「じゃぁ、お前……………… お前一体だれ?…………」
静かな微笑を崩さず、お面の様に常に愛想の良いその顔は、考えてみれば今日会ったその瞬間から全く変化が無かった。常に固定されたその顔の瞳孔は、よく見れば完全に開ききっており、その視線は火野を追っている訳ではなく、ただ「火野の方向」を向いているだけの『二つの穴』であった。
それは人間の顏とは言えない、「顏」の形をした全く別の恐ろしい何かだった……
火野の方向をじいっと見つめ、完全に動きを止めていた女が、突然、機械の摩擦音のような甲高い声で笑い出す。女は壊れたレコードのように同じフレーズで延々と笑い続ける。
火野は驚きの余り持っていた頭蓋を井戸の中に落としてしまう。
――ぽちゃーーーん――
「火野さん、まだ何とかなるわ!……その札!札を剥がしてっ!」
丸尾の横の本物のケイコらしき人物が火野に向って叫んだ。
――そうだ。こいつが指示した『札の呪文』を俺はまだ唱えていない……――
火野がそう思ったその時、火野の後方の藪の方から数人の人の声が聞こえてくる。
『 ウレガ イトニ イニカ…… 』
声の方に眼をやると、どこから現れたのか火野の眼前に数日前に神社で会った神山と、雷雨の中、火野を助けてくれた若い男が並んで立っていた。さらにその後ろには十数人の白装束の輩が何やら〝札〟を手に同じようにピクリとも動かず整列している。
『 ウレガ イトニ オクジアミ! 』
彼らは奇妙な声で呪文を合唱する。
『 ウレガ! イトニ! イニカ! 』
「はやく!その札を剥がしてこっちに!」
本物のケイコが必死の形相でさけぶ。
『 ウレガ! イトニ! オクジアミ! 』
火野が札に手を延ばすが、穴の目の女が凄まじい力でその手首を握りしめる。
『 ウレガ!! イトニ!! イニカ!! 』
「きさま!離せ!」
必死にそれを剥がそうとするが、女の手は万力のように火野の手首を絞めあげる。
『……こっちだよ』
誰かの呼び声が聞こえ、火野はその姿勢のまま後ろを振り返る。
次の瞬間、大きな黒い毬が赤い軌道を描いて宙を舞った。
*********
--- 鈴 虫 ---
「リーン、リーン、リーン、リーン、……」
薄赤く見えていた月が、いつの間にか一層赤くなった様な気がする。
俺はようやく自分が〝六ツ鳥居〟に来ていた事を思い出した。
「リーン、リーン、リーン、リーン、……」
鈴虫はいつの間にか俺の耳元近くに陣取り、そこに居座ってしまった。
――そういえば、俺の『手帳』はどこへいったろう?……あれは先輩からもらった大切な物だから無くす訳にはいかない」――
俺は慌てて自分の胸ポケットをまさぐってみる。
――あれ?……ポケットがない……――
大きな物でも入れられるよう、特別にあしらえたお気に入りのポケットに、どうやっても指先が触れない。というか、指先の感覚自体がまるでない。
「リーン、リーン、リーン、リーン、……」
鈴虫のけたたましい羽音が、耳元から首すじに移り、喉の下の方から口中へと広がっていく……
「リーン、リーン、リーン、リーン、……」
「リーン、リーン、リーン、リーン、……」
「リーン、リーン、リーン、リーン、……」
「リーン、リーン、リーン、リーン、……」
その音はやがて鼻腔を通り、左目のフチでいったん力を溜めると、
勢いよく赤い月に向かって飛んで行った。
「そうか…… 俺はあの時すでに…… 」
遠くでまた鈴虫が鳴きだした。
(完)
~あとがき~
途中、色々あり、
文章を1行も進められなくなった時期もありましたが、
どうにかこうにか第一章を締めくくる事ができました。
これも読んでくださる方が居たからこそできた事。
本当に心から感謝しております。
今回、初の小説チャレンジでしたが、
おかげさまで無宣伝にも関わらず
〝1800人近いユニークユーザーに読んで頂いた〟
という結果になりました。
折角なので、
文章の再調整+イラスト追加で書籍化……
なんて夢もあるのですが、
実の所、成功か失敗かもよくわからない状態で
一歩踏み出すべきか否か悩んでおります。。。
(もっと色々コメントが集まってからの判断かなぁ)
とにかく、まずは小さなゴールを切れてホッとしております。
皆様、本当にありがとうございました!
ラストスパートは流石にしんどかった……
(羽夢屋敷)
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是非是非、ご一読お願いいたします!!
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