見た目と中身
ブックマークが増えてる!?ジャンル別日間ランキングにも!?
この作品を読んで下さりありがとうございます!!
午前の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り昼休みへと突入する。クラスのみんなは颯爽と教室から出ていった。
今日が部活動見学の最終日となっているため一人でも多くの新入生に来てもらうため昼休みもわざわざ一年生の教室にまで出向き勧誘をしているのだ。
例のごとく俺には関係が無いのでひとり教室に取り残された。そんなことを気にも留めずに弁当をバックから取り出す。
あちらこちらから聞こえてくる声と窓から見える住宅街の風景を堪能しながら一人ご飯を食べる。
誰かと一緒に食べるご飯もいいけどたまには一人で食べるのも悪くないな。
...なに、学校ではいつも一人だろって?う、うるせーな!俺にだって一緒にご飯食べる友達ぐらいいるし!彼女持ちだけど。休日だって一緒にゲームしてくれるし!彼女持ちだけど。映画だって一緒に見に行ったこともあるし!彼女持ちだけど。
...そうですよ!一人だけですよ!しかも全部そいつが彼女と予定してたけどキャンセルになったからって俺が代役として呼ばれただけですよ!なに、何か悪いんですか!ええ!?
はぁ、美人でスタイルも良くて世話焼きな年上な女の人と一緒にご飯食べてみたいな~などと考えていると教室の後ろの扉が勢いよく開けられた。
「私を呼ぶ心の声が聞こえてきたのはここか!!」
などと叫びながらの豪快な登場である。左腕には生徒会と書かれている腕章をしている。
ちなみに俺はこの人のことを知っている。知っているからこそ厄介なのだ。
「お呼びじゃないです。はい、さようなら」
扉を閉めた。だがすぐにまた開かれた。
「何をするんだ!」
「こっちのセリフですよ!?」
この人は東雲雫、俺の一つ上の学年で生徒会長を務めている。ちなみに去年も二年生ながらに生徒会長を務めていた。入学式で壇上に上がっていたのはこの人だ。
この人とはとある出来事で一緒になったのだがふたを開けるとびっくり、典型的な残念美少女、いや残念美女だ。人は見た目ではないということだな。
「君も変わってしまったな」
「はい?」
この人は誰と勘違いしているのだろうか。
「初めて会った時は君が私を無理やり引き寄せて抱いたじゃないか。あの時の強引さはどこへ行ったのかい?」
「誤解しか招かない言い方はやめて下さい!?」
「私はあれ以来SMプレイが好きになってしまったのだよ」
「誰も聞いてませんよね!?」
「ちなみに私がSで和也君がMだからな」
「絶対に逆ですよね!?」
さっきから何を言ってるんだこの人は。...いや、俺もなにを言っているのかがわからない。
「ん?君は逆がいいのか?仕方ないな~。私はどちらでもいけるからな!君に譲ろう」
「別に要らないですよ!!お巡りさーんここです、ここに痴女がいます!」
「やめてくれ!痴女だなんて、興奮してしまう...」
高揚とした顔をしており頬も若干赤色に染まっている。まじでやべー。この人に関わったら俺が俺じゃなくなる気がしてならない。
俺は身の危険を感じ距離をとる。
「まったく冗談だよ。こんなのに騙されるなんて将来が心配だよ」
急に普通の顔に戻りさっきまでが嘘みたいな雰囲気だ。
いや、冗談に聞こえないから困ってるんだよ!?
「はぁ、東雲先輩は何をしに来たんですか?」
「いつも言ってるだろ。私のことは雫で呼んでいいと」
「し・の・の・め先輩はどうしてここにいるんですか?」
「もう強情だな。まぁそこもいいんだがな」
名前の件に関してはもうあきらめているのかすんなり引き下がった。
「君に用があったからだよ」
「俺にですか?」
この人関連で最近何かあったかな?
「北里先生が呼んでるぞ。何か悪いことでもしたのかい?」
「あの人に呼び出しくらうようなことはしてないと思いますけど」
北里先生とは生徒会の担当教師でもあり帰宅部の顧問でもある女性教諭だ。二十台も後半に差し掛かり婚期が気になりだしたらしい。
こんなこと本人に向かって言ったら何されるかわかったもんじゃないので決して口には出せない。
「まぁとにかく行きましょ」
「そうだな」
まだ弁当を食べてる途中だったがこの人が呼びに来るぐらいだから急ぎなんだろうと思い食べかけのまま教室を後にした。