遭遇
「どうぞこちらのお席へ」
やっと俺たちの順番がきてお店の中へと案内された。
店員に案内された席につきメニューを見る。
「なんかうちとは系統が違いすぎないか?」
「まぁここは最近できた若者向けのお店だしね」
「なら偵察なんてくる必要はなかったんじゃ...」
「しょうがないでしょ、店長に頼まれたんだから」
「まぁな」
メニューを眺めていても何を頼もうか全く決められない。
そんな中いきなり七瀬が店員を呼ぶ。
「すいませーん」
「おい、俺まだ決まってないんだけど」
「心配ないよ」
そんなわけあるまい。
あっという間に店員さんがテーブルに来る。
「はい、ご注文をお伺いします」
「これください」
そういって七瀬がさしたのはテーブルの上に置いてある期間限定のメニューだった。
なになに、『カップル限定!あなたたちのように甘々でイチャイチャなパンケーキ』...はい?
俺はポカーンとした顔をしているだろう。そんなこと気にせずといった感じで注文を進める七瀬。
「いや、なにこれ」
俺のつぶやきに店員さんが反応してくれる。
「当店の人気メニューですよ~」
「これが!?だって名前からしてネタ商品じゃ...」
「でもみなさんこれを頼むんですよ?ほらあそこのお客様も頼んでいますし」
そういって店員さんが指し示すほうを見てみると確かにこのメニューを注文しているみたいだ。
しかも高校生という感じではなくそれなりの大人な人たちのように感じる...ってあれ?
なんか見覚えのある女の人のような気が...と思っていると目が合う。
「「あ」」
声が重なった。いつものスーツではないし髪も束ねており雰囲気は立派なできる女性といった感じだが間違いない。北里先生だ。
向こうも俺に気が付いたのか急にキョドリ始めて相手の男性に心配されている。
「どうしたの和也」
「え、何でもないよ」
北里先生もついにデートまで行けるようになったのか。成長してるな、うんうん。
などと思っていると店員がおかしなことを言ってきた。
「ではイチャイチャして下さい」
「はい?」
突然どうした?
「イチャイチャして下さい」
「いや、聞こえてますけどね!いきなりそんなこと言われても...」
「自分たちがカップルである事を証明して下さらないと注文できないんですよ。ほらここに書いてありますよ」
たしかにそう書かれていた。
いや、そもそもとして前提が違うんですよね。
「僕たちカップルじゃないんで注文できな...」
間違いを訂正しようとしたら店員さんが俺たちにだけ聞こえる声で話してきた。
「ここだけの話、あそこの人たちイチャつき方なんですけど」
そう言って先生たちのテーブルを示していた。
あと関係ないけど店員さんの言い方よ。
「女性の方が熱烈にやりすぎて男性の方が少し引いてたんですよ。内緒なんですけどね」
と店員さんが教えてくれた。今も楽しく『カップル限定!あなたたちのように甘々でイチャイチャなパンケーキ』を食べている先生を生暖かい目で見るしかなくなった。
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次回!
先生がデートしている理由が明らかに!!期待しててね!