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きっと一生縁がないもの  作者: 冗長フルスロットル
第二章 恋人たちの10月
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ひとしきり泣いて感情を外へ出し、落ち着いた後で、スヴェンは眠ったままのイヴェットの手にくちびるを押し当ててから居間に戻った。


先ほどまで自分が座っていたのと同じ場所に再び腰を下ろし、ワインを飲みながら、スヴェンは自分とイヴェットのことを考えた。


イヴェットはスヴェンがまた同じ過ちを繰り返すのではないかと恐れている。


スヴェンはそんなことはもう絶対にしないと思っている。


自分の決意を彼女に信じてもらうには、自分はどうすればいいのだろうか。


スヴェンはそのことについて考えた。


自分を信じてほしい。彼女にそう告げることは簡単だ。


だが、言葉だけでイヴェットの信用を勝ち得ることは不可能だ。


自分を信じてほしい、なんて、いかにも他人を信じさせようと躍起になっている詐欺師の台詞のようだ。言われた側は、うさんくさいと思ったり不信感を抱いたりすることはあっても、言った側の言葉どおりに信じようだなんて思わないだろう。


もしスヴェンが自分の熱意のままにこういった言葉を繰り返したら、イヴェットは余計にいぶかしむだろう。スヴェンがもし彼女だったら、かえって相手を疑うに違いない。


ということは、やはり自分のこれからの行いで証明していくしかないのだ。時間はかかるだろうが、それは仕方ない。スヴェンはそういった結論に至った。


自分が犯した罪の重さを決して忘れないこと。もう一度機会を与えてくれた彼女への感謝を欠かさないこと。そして、何を差し置いてもイヴェットを大切にすること。これらの誓いをスヴェンは自分に課し、隣の部屋で眠っている彼の婚約者が目覚めるのを待った。


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