episode6 深夜の来訪者
俺とジェシカはこの調子で村の補修を進めていった。
改めて復興させてみると、本当にいい村だった事が
伺える。
村の主要機能はギュッと中心に凝縮され、
外周には畑と果樹園が広がっている。
草原地帯には家畜が飼われた場所もあった。
また近くの山にはマグナイト鉱の鉱山があり、
採掘場もあった。
「これで終わりだな。」
仕上げに村の外周と街道にレフィの加護を施す。
レフィは善を司る女神であり、その加護とは邪悪な
ものの排除を意味する。これで、魔物の類は
入ってこれない。
「本当になんてお礼を言ったらいいか…。」
「いいんだよ。これは俺のためでもあるんだ。」
住むところが荒れ果てては気分が悪いからな。
「これだけ綺麗になったんだし、村のみんなに戻ってきてくれるよう頼んでみるよ。」
ジェシカはそう息巻く。
「戻ってきてくれそうかな?」
「正直、アルが手出しできない保証がないと厳しいかもね。やるだけやってみるよ」
ジェシカの目には決意の色が映っていた。
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ジェシカの呼び出しに応じ、村にはポツポツと人が戻り始めた。また、街道が復旧した噂を聞きつけた旅人や行商人が
村を訪れるようになった。
ジェシカは俺が払った家の代金500万リルを元手に再び
雑貨屋を再開している。俺も何度か行ったが行くたびに
取り扱い商品が増え、店の内装もどんどん綺麗になっていた。
「やっぱりこうじゃなきゃな。」
復興しつつある村を高台から眺めながら俺はそう呟いた。
そして、自分の地盤の村として守っていくことを固く誓った。
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深夜、俺はふと目を覚ました。
時間は午前0時。外は灯りひとつなく、虫の声だけが
響いている。
「何か気配がするな…」
もしかして、アルの手下の夜襲かもしれない。腰の
杖を抜くと構えながら外に出る。そして、暗視の魔法を
使う。
「何だ…?」
家の前のあぜ道に少女が倒れているのが見えた。
美しい金色の髪、透き通るような白い肌。そしてなんと
言っても特徴は尖った耳だった。
「エルフ……だな。」
俺はとりあえず少女を抱え上げ、家の空きベッドに
寝かしつけた。