episode3 拠点整備と村の謎
ジェシカが管理してたとはいえ、
ところどころ家にはガタが来ていた。
「アレを使うか…」
こういう人手がいる時にピッタリな魔法がある。
「傀儡展開!」
その呪文と呼応するように目の前の空間が歪み、
数体の人の形をした人形が顕現した。
見た目は無機質だがこいつらは良く働いてくれる。
「掃除と家の修理を頼む」
俺がそう言うと、人形はわらわらと一斉に動き出した。
「ちょっくら買い物でも行くかね。」
小腹も空いてきたところだし、この辺の市場調査をすることにした。
外は清々しく晴れて、空気が澄んでいた。王都では工場からの煤煙で
過去最悪とも言えるほど空気が悪かったから、格別である。
「ここに来て良かったんだよな。」
自分に言い聞かせるようにつぶやきながら、のんびりと歩いた。
ここには命令する奴もいないし、足を引っ張る奴もいない。全てが自由に
なったようなそんな気がした。
小道を村の中心と思われる方向へ歩いて行くと、市場らしきものがあった。
ただ、露店と店の跡はあるが営業中の店はなく、もぬけのからである。
「どうなってるんだ…?」
俺が途方に暮れていると、向こうからジェシカが
歩いてきた。
「みんなここから出て行っちゃったのよ。まだやってるのはうちだけだよ」
「何があった?」
「とりあえずうちの店においでよ。話はそこでしよう」
そう言うとジェシカは歩き出した。
俺はとりあえず彼女について行くことにした。