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神前家の後継者【休止中】  作者: 縁側の主
序章 ~お主は後継者に選ばれた!!~
8/178

8話 あっ・・・。そう言えば、今日は

続き投稿致します。

 ・・・???の世界



『・・・・ここどこ?』


 僕は、目を覚ますと廃墟と化した古い洋館の客間のベットの上に寝かされていた。


 一瞬ここがどこか分からず辺りを見回してみるが、まず人がいる気配は全く無い。


 時折、敗れたカーテンが"ユラユラ"揺れる事に"ビクツ"となった位で、

 何か変なゾンビみたいなものが居る様な感じでは無かった。


 僕が何故こんなにも落ち着いているのかと言うと、

 タマから貰ったオーパーツが光輝いており、常に一緒にいる様な安堵感があるため

 まったくもって不安は無かった。


 感覚的に高級なお化け屋敷にいるのかな?

 なーんて思ったりしているが、ホラー色が強いため・・・・



『そ、そろそろ、お暇(おいとま)しよう・・・・。(震え声)』


 怖さが勝ってしまい、出さなくても良い言葉を発する。


 わかります?敵が出ない恐怖ってやつ。

 パニック系のホラーアトラクションの様にビックリさせる事が目的な感じがして、

 警戒だけは怠らない様にしている。


 そのため、薄暗い館の中を手を前にかざして左右を確認しながら中腰で進む。

 目は慣れているのか暗さは感じないが、何となく何かに見られているような感じがして、

 肌が"ピリピリ"する。


 ビックリさせられる恐怖から神経が過敏になっているのかもしれないけど・・・。


 部屋についている出口は一つで扉は付いていない。


 恐る恐る扉から顔を出して、左右を確認すると、

 通路は某アクションゲームよろしく行ける方向以外は、障害物で蓋をする一方通行になっていた。


 特に脅かす気配も無くビビリながら通路を進んでいくと、目の前に明るい光の漏れる部屋を見つける。

 その部屋を見つけた直後から、


 -ブブブブブブブブ・・・・


 腕に一瞬にして鳥肌が立ってくる。



 うっ、なんだろう。あの部屋に近づきたくない・・・


 人間の直観。と、でも言うべきなのだろうか?

 体に物凄いプレッシャーを感じる。

 残念なのは、その部屋以外は進む道が無いという事。



『まぁ・・・。そ、そうだよね。』


 何時から握っていたのか無自覚だが、服のポケットに仕舞ってあったオーパーツを

 必死に握っている自分に気づく。


 ポケットから出して握っているオーパーツを見ると、タマに「ワシが見ているのだから安心せい。」

 と、励まされている様で何だか安心する。寧ろあの指をこちらに突き出して捲し立てる姿を想像すると

 何でか笑顔になって来るから不思議なものである。


 意を決して光の洩れている部屋に入る事にする。

 扉を開けた瞬間、外に押し出されそうになる位の強い力を感じる。


 しかし、強風に飛ばされるのを耐えるように何とか部屋の中に入ると、

 すぐにその謎の力は消え去ってしまった。



『あれ?あれれ???』


 唐突な落差に混乱してしまう。

 辺りを見渡すと映画館の一室のような部屋だった。



 -カラカラカラカラ・・・

 -ジージージー・・・・


 いきなり現れたのは、大きなスクリーン。

 セルで回している映写機の様なレトロ音が妙に心地いい。

 そして、そのスクリーンに映し出された映像は、武士の記憶・・・なのだろうか?

 今は、武士の訓練に勤しむ姿が映しだされている。



 どこかで見たことある顔だな・・・。


 名前が直ぐ出てこないが、見たことがある侍の映像。

 暫く見ていると全部同じ侍の映像ではあるのだが、映像は訓練する若い時代から新選組に入隊する時・・・

 隊長に抜擢された時、暗殺、反乱分子の排除、罵倒される姿・・・


 最後に写ったのは、多くの敵に囲まれて逃亡中に偶然見つけた祠で敵に襲われ絶命していく所、

 光る玉の力で死を免れ改名し余生を過ごしていくそんな姿が流れていた。



 -ハッ


 "ボー"っとしていたのか、気がつくと後ろから殺気にも似た冷たい何かを発している存在に気づく。



「・・ズイ・・ブ・・・ン。ハ・・・ヤイィィィ・・・・・ジジジイジイジ・・・ヤ・ナイ・・・カ・・・

 オレノ・・・チカ・・ラコ・・ンナ・・・コゾ・・ウニ・・・ヤ・・・ブラレ・・・タ・・ノカ・・・・。」


 壊れたロボットのような話し方をするそれ(・・)は、明らかに僕に向けての敵意だった。

 両手を挙げてゆっくりと振り返ると、車いすに乗ったまま頭を垂れ、壊れたロボットのように動かない老人が居た。

 瞳孔が開き始め唾をだらしなく垂らしている・・・。


 何処となく人を不愉快にする気配を撒き散らしていた。


 何とも言えない空気に何とか耐えていると、老人と目が合う。

 目を見た印象はなんと綺麗な目をしているのだろうか、だった。

 まるで、生まれたての赤ちゃんの様な澄んだ目をした男だったが、


 すぐに僕は背筋は凍りついた。


 そして、


「オオオオレレレレノノノノノ・・・セセセセカカカイイイイカカラララ・・・・

 キキキキキキキエエエエエエエエエエエエロロロロロロロロロロロロ!!!!!!!!!!」



 -ブワァ・・・・・


 ロボットの様に動かないお爺ちゃんから発せられた声。

 叫んだ瞬間に世界が波紋を広げ、僕以外の全てが波打つように揺れる。



 次に気づいた時には、現実世界に戻ってきていた。



 ・・・・現実世界、病室にて



『ファッ!?』


 意識が回復すると、思ってもない声が出ていた。



「優斗!? だ、大丈夫?ボーっとしてたと思ったら突然大声出して・・・」


「草薙さん、大丈夫?まだ、疲れてるのかしら?」



 -ピトッ。


『うわぁ!?』


「何よ。失礼ね!!」


 いきなりの大声にびっくりした2人が心配そうに聞いてくる。が、

 僕も看護師・アンドレさんのオデコ合わせにビックリし、後ずさる。


 何とか、現実世界に戻れたようだ・・・・・

 嫌な事で現実世界を実感してしまったが・・・。



『い、いや。大丈夫。ちょっと考え事してただけ・・・。』


「そう?なら良いけど・・・」


 昨日からちょいちょい妖しげな行動が目立ってしまう優斗に対してどうしても心配で

 警戒してしまう看護師・アンドレさん。


 両腕を腰に当てて腰を屈めて来る姿が何ともキモイです・・・。


 優斗がアンドレのせいで青白い顔をしていると、



「プププ・・・。」


『「???」』


「あはははははっ!!」


 裕樹が突然笑いだす。



「あらあら。裕君、何がおかしいの?」


「いや。ごめんごめん。アンドレさんの対応に戸惑う優斗が面白くって。」


 涙を拭う裕樹。


 こっちは恐ろしく必死なのですが・・・って、名前アンドレかよ!?



『が、外国の方なのですか?』


「あら?アタシ? ふふふ。興味ある?今度、ゆっくり教えてア・ゲ・ル。」


『いいいい、いえ。だだだだ、大丈夫です。』


 結城は、優斗の必死の抵抗をお腹を抱えて笑っていた。



 ・・・・・


 裕樹と会話をしながら退院の準備をする。



「優斗。色々ありがとう。貰った石は大切にするね。」


 渡したタマを僕に見せながら裕樹は寂しそうに笑う。



『こちらこそ。短い間だったけどありがとう。

 また、お見舞いに来る予定だけど、それまでに退院出来るようなら是非遊びに来てよ。』


「う、うん。ありがとう。」


 他愛のない会話で直ぐに十分位は経ってしまう。

 そして、とうさん達が迎えに来てくれて、



「忘れ物は無いか?」


 とうさんは何度も確認してくる・・・。



『うん。大丈夫だよ・・・。でも良いの?忙しかったんじゃないの。』


「そんな事、気にしなくていいんだよ。」


 なんと父さんが、迎えに来てくれたのだ。

 その他にゆいさんと奈菜の2人が付いていてくれている。

 2人とも気を使いすぎだと少し苦笑いしたがうれしかった。


 そして、裕樹と最後の別れ。



「優斗・・・元気でね・・。」


『うん、裕樹も・・。』


 無事退院する事になったので、裕樹に挨拶をしていた。

 お互いまた出会えることを約束して・・・。

 しかし、僕を見送ってくれた看護師さんの面々は何とも言えない表情をしていた・・・。



「かわいそうに・・・、裕樹君・・お友達が折角出来たのに・・・」


「しっー、こんなところで不謹慎よ・・・。

 でも、気持ちは判るわ・・・。あんなに仲が良かったものね・・・。」


 看護師さん達は何か話しをしていた様だが、優斗にも裕樹にも聞こえていなかった。


 優斗は、少し落ち着いたらまた顔でも出そうと思っていたのだが・・・・

 そのお話はまた別に話しましょう。




 ・・・・夕方、草薙家



「優くん、お帰り。」


 家に着くと、かあさんが待っていた。



「優斗。おかえりー。」


「よう。優斗お邪魔しているよ。」


 長谷川家の面々も遊びに来ていた。



『ただいま。』


 笑顔で返事する。やっぱり、家はいい。


 病院というものはやはり苦手だ。あの雰囲気や匂いなどどうしても慣れない。

 それどころか、今回は看護師・アンドレさんのお蔭で看護師さんに対しても

 相当なトラウマを植え付けられてしまった。 


 出来れば、今朝起こった不可思議な出来事をタマに相談したかったのだが、

 疲れたので自室に戻り少し休憩していたのである。


 布団に寝転がり看護師さんが拾ったという、不思議な石とタマから貰ったオーパーツを見比べていた。


 看護師さんから貰った珠は、薄暗いがよく見ると玉の中には宇宙が見えていた。

 タマから貰ったオーパーツには、どういう原理か本物の宇宙が映っている。



「ほう、なかなか珍しいものを手に入れたようじゃのう。ぬ・し・よ。」


 石を覗いていたが、反対側からこちらを見る【顔】に驚き慌てて飛びのいたせいでベットから落ちそうになる。



『な、なな、ななな、な・・・・。』


「な、なんじゃ。幽霊でも見たような目をして」


 僕の反対側に居るはずのない人が立っている。



『なななななななーーーーーーー!!』


「な?」


『な、なな、なんでこここにー』


「ふむ、言葉になっておらんが、わっちがここに居る事を懸念しておるのか。」


『う、うわ!!』



 ”ドッシーン!!!”


 結局、ベットから落ちてしまった。



「お、おい。主よ大丈夫か?」


 慌てたタマが僕の頭を自身の膝の上に乗せてくれる。


 あっ。案外柔らかい。


 なんて思っていたら、



 ”バンッ!!”



「優斗!大丈ぶっ・・!?」


 よく動かなくなる石造こと奈菜が現れて、石化した。





 ・・・・・・・・



 今、僕はリビングにて正座をさせられています。

 何故かって?ハハッ!野暮な事を聞かないでくださいよ。

 え? どうせ女の子でも部屋に連れ込んだのがばれたとかそんな事だろ?ですって?


 ははは、僕に彼女なんて居ませんからね。

 しかも病院帰りッスから疲れて僕は自分のベットでゆっくり休んでいただけなんですよ。




 休憩時間、1分位でしたけどね・・・。



 おっと、何だか裁判が始まるみたいなので、意識をそちらに集中させますね。

 じゃあ、皆さんお元気で・・・



「「優斗!(さん)聞いてるの?(ますか?)」」


 ゆいさんと奈菜のダブル詰問が飛んでくる。

 先ほどからタマの事をずっと聞かれているのだけど、

 まさか聖域からひょっこり現れた神様だという事も出来ず。

 病院で知り合った女の子だと、苦し紛れの言い訳で返すしか無いわけで・・・。


 "チラッ"と、タマを見て助けを求めている訳なのだけど・・・。



「は、は、は、よきかなよきかな~」


 全く関係ない素振りで、ずっと寛いでいるタマ・・・非常に微妙だ・・・。


 事の発端は、僕が大声で叫んでしまったためであり。

 その後、ベットから落ちた音で部屋に押しかけてきた奈菜にタマのことがばれてしまった。

 しかも、タマに倒れた所を介抱されていたので、抱きついている姿に見えていたらしい。


 正直僕は、心臓が止まるかと思った。

 タマの存在が・・ネコミミが・・・バレるううううう。 と、ね・・・


 しかし、しっかり対策されていました。

 人間と同じ耳に出来るらしい。まぁ、霊力はほぼ使えなくなるらしいだけど。


 ネコミミがバレると思って、寿命縮んだよ割と真面目に・・・。



 病院で会った子を連れ込んでいる。と、言った結果は、とうさんと奈菜は石化。

 かあさんとおじさん、おばさんはニヤニヤ笑い、優華は大爆笑、ゆいさんは涙目と、今日も僕は元気です。



「あらあら、優君たら~。男の子は成長が早いわね~。」


 熟れたため息交じりでかあさんが頷く。



「本当、優斗君。彼女が居たのなら教えてくれないと、家の奈な・・・・」


「な、なな、何言ってんのおかあさん!!」


 おばさんに何か言われそうだったが、寸前で復活した奈菜はおばさんの口を全力で防いでいた。



「ぎゃはははは、優斗だっさ~い。速攻ばれてるじゃん。」


「優斗!良くやった。感動した。ぶっ、はははは。」


「お父さん。それ、最高!!ぎゃはははは。」


「だろ。がははははは。」


 この腐れ親子は・・・



「・・・・・・ゆうとさん・・・。」


 ゆいさんは、その一言だけ言うと、走りながら部屋を出て行った・・・。

 階段を上がっていったので、自分の部屋には、戻ったみたい。


(・・・・・・・)


 タマを横目にみる。

 一瞬目が合うと"スッ"っと目を逸らされる。

 おい、口元がニヤついてるぞ・・・・。



 一通り僕への詰問が終わると皆の興味は自然とタマのほうへと移っていく。

 何故なら、僕の答えがつまらないからである。


 かあさんとおばさんが口切に質問し、おじさんは耳がダンボみたいになって聞いている。

 奈菜は相変わらず石化。優華は赤面しながら話を聞いてる。って、赤面するような内容を言ってるの?



 そういえば、とうさんが大人しい気がする。


 あ、いた。神妙な面持ちで何か呟いている。



「あ、ありえない。ありえない。ありえない・・・。」


 何だか大変そうなので、そっとしておく事にするか。



(ここに居ても居心地悪いし、ゆいさんの様子を見たら、一旦部屋に戻ろうか・・・)


 リビングを出ようとしたら、おじさんに話しかけられる。


「あぁ、優斗。この前頼まれていた教会の見学の件だけどな・・・」


『お。そうだった、忘れてた。』


「忘れてたって、おとといの話だろ・・・。まぁ、一応一ヶ月後にしておいたから。」


『一ヶ月って、結構先だね?』


「おい、おい。明日から学校だぞお前たち・・・。」


 カレンダーを見ると今日は、8月31日(日)と、記されていた。

 あー、すっかり忘れてた・・・・。宿題やったっけ?

お読みいただきましてありがとうございます。

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