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神前家の後継者【休止中】  作者: 縁側の主
序章 ~お主は後継者に選ばれた!!~
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1話 同居人の来る前に

初めまして。縁側の主と申します。

牛歩に更新しておりますが頑張りますので応援していただけると幸いです。

 ゆっくりと目を開いた彼女からは、神秘的な何かが発せられていた。

それを感じた僕は生唾を飲む。



「お主は、後継者に選ばれた…」

『嫌です!!』


「……」

『………』


 僕の拒否によって生まれた沈黙は、2人の時間が止まったのかと、

 錯覚するほどの静寂に包まれた。



 何で、僕はこんな所でこんな話をする事になったんだろう。



 そう。あれは数日前のあの(・・)出来事から始まったんだ・・・・




 ・・・数日前



「・・・優斗。・・・・どこ~?」


 何処となく僕を呼ぶ声が、家中に響き渡る。



「おいーぃ! 優斗、どこだー!」


 声の主は、余程イライラしていたのか、声を荒げながらこちらに近づいてくる。



『・・・や、屋根裏だよっ!!』


 無視しても何れバレる事は必至なため仕方なく返事は返したものの。

 正直、全く、全然、これっぽっちも、微塵も、瞬間的にも"ギャアギャア"と、叫びながら僕を探している声の主にはここに来てほしくない。

 無駄だとは理解しつつも、『忙しいのでここに来ないでください。』と言う意味を込めた嫌そうな声を出して答える。


 僕が声の主にここに来ない様に警戒しているのには訳がある。

 本日、我が家に来るお客さんのために部屋の掃除している真っ只中であったからで、

 後はベットメイクすれば終わりと言う絶妙なタイミングだったからこそ余計な邪魔をされたくない。

 それに、皆さんのご想像通り警戒すると言う事はそれなりに問題を起こす()と、言う事は報告しておこう。


 因みにお客さんが来るまでには相当時間がある。

 確か今日の夕方頃に来るって話を父さんが言っていた気がするので、いくら荒らされても直す余裕は、あるには・・・あるのだけれど・・・


 でもまぁ、みんなも分かるでしょ? こういう面倒な事って出来るだけさっさと終わらせたいって言う気持ち。




 -ドス、ドス、ドス


 あっ、あっ、あ・・・。問題児がここ(屋根裏)を目指して階段を上ってきている。



「屋根裏の掃除?・・・どうすんのそんな所、掃除して?」


 階段の直ぐ下まで問題児の声が近づいてくるぅ~。



『父さんの知り合いがうちに滞在するみたいだから部屋の掃除してるんだよ。

 あっ、掃除中だから絶対入らないでね!!』


 ベットメイキングしながら注意する。

 まぁ、この子(問題児)に何を言ってもあんまり意味は無いと思うけど・・・


 と、思いきや階段傍でじっと大人しく待っている。



『もうちょっと待っててくれる?』


「うん。」 


 おぉ、随分大人になったものだねぇ。

 お兄さんは嬉しいよ。 


 これと言って問題も無く、部屋の掃除が終わる。

 綺麗にした部屋を見渡すと頑張っただけの輝きがあって実に素晴らしい。


 と、思っていた時期が私にもありました。



「知り合い!!どんな人?」


 階段付近で大人しかったと思っていた問題児は、いつの間に移動したのか?(コレガワカラナイ。)

 問題児は、つい今しがた僕が丹精込めて綺麗にしたばかりのベットの上で寛いでいらっしゃる・・・。


 わざわざ、平泳ぎしながら・・・。



『ち、ちょっと待ってくれる?君はい、いったい何処にいるのかなぁ?』


「・・・。」


(返事すらしないのか・・・、昔から自分に興味の無い事はスルーのくせに・・・)


 このベットの上で目を"キラキラ"させ自身の欲求だけを満たそうとする(くっそ)生意気な女の子は、

 長谷川はせがわ 優華ゆうかと言って、隣の家に住んでいるいわゆる”幼馴染A”と呼ばれるポジションの子だ。

 年は僕の1学年年下であるが、優華はそう思っている節は無く同級生と態度は変わらない。(まぁ、良いんだけどね。)


 いつもツンケンした態度さえ取っていなければ見た目はかわいい(・・・・)らしく、僕の友達からも人気が高い。


 しかし、性格がねぇ~。

 みんなの前では猫を被っているが、

 身内だけになると途端に横柄な態度で接してくるし、

 ・・・何でか知らないけどやたらと僕に絡んでくる。



『・・・詳しくはまだ聞いてないよ。』


「ふーん。何も知らないんだ。相変わらずその辺は適当だね。」


 -ムカッ。


 別にそんな言い方しなくても良くない?

 優香は、無能とばかりにサラリと毒を吐いてくる。



「まぁ、おじさんの知り合いかぁ~。

 きっとどこかの町のお偉いさんかもね。

 優斗。女の人だったらとか考えてるでしょ~。」


 僕を見るや否や"へへーん"と、ドヤ顔で全く議論の余地のない無駄な名推理を繰り広げてくれた。 



『そんな事、考えてま~せ~ん~。

 それより、お客さんのベットなんだからさ、

 あんまり皺にしないでくれる。』


 せっかくきれいに整えたベッドをこれ以上汚される前にこの危険生物を、

 何処か遠くに遠ざけようとして言った一言が、危険生物の好奇心に火を付けた様で、

 一瞬”ニヤッ”笑顔を浮かべた優華は「つまんなーい。」と言いながらベットでゴロゴロと暴れ出した。


 こ、こいつ。絶対わざとだろ!


 今、僕のおでこの周りには神の格好をした僕と悪魔の格好をした僕が集まっている。

 目の前でベットの上をゴロゴロ転がる小娘に対し裁判を行っている最中である。悪魔が「暴れても良いのよ。」と、そっと背中を押してくれる。

 天使が「ダメダメ口で説得するのよ」と、意見は対立していたが、



「人がセッティングした布団を汚すのって、楽し~。」


 優華が楽しそうに軽口を叩いた。


 オレ達3人は、口をポカンと開けたまま優華を見ていた。


 テッ|《3》(3人は顔を見合わせる。)、

 テッ|《2》(悪魔が親指を立てる。)、

 テッ|《1》(天使も親指を立てる)、

 テー|《0》・・・・・ブチッ!



 "ゴチーン"


 優華にゲンコツをお見舞いした。



 その後、優華が皺くちゃにしたベットを再度伸ばし(優華は床で悶絶している。)、

 掃除を終えた頃にはすっかり復活した優華と二人で階段を下りていた。



「ゆ、優斗。沸点低い~。」


『あ、危ないな。階段で蹴ってきたら、落ちちゃうでしょ?』


 涙目で正義の鉄槌(ゲンコツ)落下地点を撫でている優華が、先ほどからこちらを蹴りつけて来る。

 こちらもそんな事(掃除なんて)早く終わらせたかったんだよ。



「優華ちゃーん、優くーん、ご飯よー。」


 僕を優君と呼ぶ人はこの世でただ1人しかいない。もちろん、母さんだ。

 ちょっぴりというかかなーり”ぽや~”と、しているがなかなかの腹黒策略家だ。

 隙を見せるとすぐにでもネタにしてくる。とっても危険人物だ。



『わかった。道具を片付けたらすぐに行くよ。』


 近くにいた優華にも声を掛ける。



『優華は朝ごはんどうするの?』


「・・・今日は、これから部活でもう出なきゃなの。」


 本当に残念そうな返答が返ってきた。

 あれ?それなら邪魔しに来なければ食べれたんじゃないの?



「でも・・・・。」


『でも?』


 優華が妙な間を空けて僕を睨む仕草を入れて来る。

 妙な空気に僕も思わず”ごくり”と、つばを飲む。



「でも、今日はおねーちゃんが料理してるんだよ。」



 ”ガクッ”



 優華は今にも泣きそうな声を出していた。

 僕は、階段から落ちそうだった。


「でも」の意味が分からない。なにせ、どうでもいい話題だからだ。

 しかし、何故に泣きそうななんだか・・・あれか、姉の料理が食べれないからか?


 まぁ、慰めておくか・・・



『そ、そうか。よしよし、残念だね。って、奈菜って料理出来たっけ?』


「ううん。1人で全部作るのはのは、初めてらしいよ。はぁ~、お姉ちゃんの初めて食べたかった。」


『おぉう!?』


 何だか大事なことを言わなかったかな?

 今日が初めてとか、最早優華が食べて行かないのは違う理由なのでは無いかと疑ってしまう。



「おねぇちゃ~ん・・・・はぁ。」


 いや、気になるなら食べていくのが良いのではないかい?


 一瞬頭を過ったが、それよりも大事な部分を聞いておくことにする。




『で?奈菜って料理したことあるの?』


「うん。結構練習してたみたい。お母さんとかおばさんが教わってたし・・・。」


『そ、そう・・・。』



 知らなかった・・・


 最も、おばさんとかあさんが教えているのであれば、まぁ安心だろうと言うか普通だろう。

 全て今回が初めてではないという情報は、生き残るためには貴重な情報だ。精神的に安心感が出てきた。



「じゃあ、私行くね。」


『はいはい。行ってらっしゃい。』


 最後まで涙目の優華を玄関まで見送る。



 そこまでなら部活を休めば良いのに・・・


 若干呆れ顔で優華を送り出すと、キッチンに向かう。



「屋根裏は片付いた?って、あれ?優華ちゃんは?」


 かあさんが朝食をテーブルに並べながら話しかけてくる。



『あぁ、うん。今日は、部活でもう出かけちゃったよ。部屋も出来たからいつでも良いよ。』


「そうなの?ご苦労さま。そうそう、今日は奈菜ちゃんが朝食を作ってくれたのよ。」


 かあさんが手を合わせて嬉しそうに微笑んでいる。

 隣には、モジモジと俯く奈菜と呼ばれる女の子がいた。


 この子は、長谷川はせがわ 奈菜なな といい。

 先ほど、人の作業を 散々《・・》 邪魔していた女の子の姉である。

 因みに僕とは同じ年である。

 友達から聞いた感じだと母性的で献身に尽くしてくれそうな包み込んでくれそう美女との事らしいが、

 僕からすると何かと口うるさい2人目のかあさんかな?と、思っている。



『あぁ、そうなんだ・・・。』


 さっき優華に聞いていた内容と一致する。

 前もって聞いていたので、インパクトが薄いなので、乗り気でない感が普通に出てしまった・・・。

 かあさんも駄目よって顔をして僕を見ていた。あっ、もしかして結構内緒の話だった?


 奈菜をチラッと見てみたが、まだモジモジしてた・・・。



(気づいていないから、まぁいいか。)


 目の前のテーブルを見ると和食で固められた朝食らしい朝食がある。

 卵焼きに鮭、ねぎとわかめの味噌汁どれも僕の好きなメニューだった。



「奈菜ちゃん。いいお嫁さんになるよ~。」


 かあさんがニタニタした顔で奈菜をいじっている。



「ななななななn・・・・。」


 奈菜はなべを掴んだまま固まってしまった。(しかも、顔が真っ赤だ)



『かあさん。あんまりからかっちゃ奈菜がかわいそうだよ。』


 うまく宥めたと自信たっぷりだったが、奈菜とかあさんが”ふぅ~”っとため息をついた。


 かあさん。どうしたのさ?



「早く、食べて。」


 奈菜が何となく不機嫌に言ってきた。



「優君、早く食べてみなさい。」


 かあさんも何となく呆れ顔で言ってきた。

 何だか良く分からないが、不機嫌な顔で食べてと言わんばかりの二人の視線受けて



『いただきまーす。』



 "ムシャ、ムシャ モグモグ"


 食べてみると普通においしかった。



『おいしいよ。』


 率直な意見を述べると、奈菜がまた真っ赤な顔をしながら笑みを浮かべる。



(顔色がコロコロ変わるな・・・。)



「奈菜ちゃん、良かったね。」


 かあさんがうんうん頷いて言っている。

 何が良かったのか味見係には分からなかったがコメントが間違っていなかった事と普通に美味しくいただけたことは確かだった。



「じゃあ、私達も食べましょう。」


 目の前の二人も席について食べ出す。



『そう言えば、今日来るのはどんな人?』


 かあさんに聞いてみる。



「とうさんが昔お世話になった人のお孫さん・・・・・。」


 かあさんは何かを懐かしむように庭先を見ながら話してくれた。

 その顔は、懐かしそうだった・・・。


(・・・・。)



「その人って、男性ですか?」


 何か気になったのか、かあさんに奈菜が聞く。


 すると、かあさんは笑いながら



「女の子。」と、だけ答えた。

 かあさんの返答を聞いた奈菜は、"ピタッ"っと、固まってしまった。



「奈菜ちゃん。大丈夫?」


「だ、大丈夫です・・・。」


「そんなに思いつめなくても大丈夫だって。」


「い・・や、思・・い・つめて・・ませ・ん。」


 奈菜は、誰が見ても明らかに動揺している。



「優君は、大丈夫だよ。・・・たぶん。」


 かあさん。なぜ、僕の名前が出てくるのか・・・



「な、なんで、優君がで、出て来るんですか。」


 そして、動揺する奈菜。



「そうね。何でだろうね。」


 かあさんが微笑んで朝ごはんに箸を付ける。

 僕が察するにあの顔は誰かをからかっているときに使う顔だと一瞬で見抜く。



 奈菜も大変ダナー。



 この後、どうしよう?ボトルシップでも作って、時間でもつぶそうかな~。

 ちょっと、散歩に出るでも良いな・・・あれ?



 2人が、いつの間にか僕を見ていた。しかも残念そうな顔をして・・・



「ゆ、優斗・・・はぁ。何だか場にそぐわない事を考えてない?」


「奈菜ちゃん。大変ね・・・。」


『???』



 ・・・WHY!?


 ※説明しよう。

 草薙優斗は、朴念仁が服を着て歩いているキングオブ朴念仁なのだ!

 ちょっとやそっとどころか直接のアプローチでも気がつけない残念属性持ちなのだ!



「あら。奈菜ちゃん、お魚もいい感じに焼けてるね。」


 かあさんは、余程おいしかったのか奈菜に話しかけた。

 しかし、奈菜は下を向いて”ワナワナ”と体を揺らしている。



(はぁ~。かあさんの話 全然、聞こえていないみたいだけど・・・。)


 かあさんをチラリと見てみると、のんきにご飯を食べていた。

 楽しい朝食が重々しい空気になってきたので、強引に話題を変えた。



『今日は、三人とも夕方どうするの?』


 "キッ"っと、睨みを聞かせてきた奈菜は(なぜ睨む?)、ため息をついてから。



「今日は、お父さんが帰ってくる予定なの。夕食は家族で外食だと思うわ。」


『え?本当、おじさんすごく久しぶりだね。』


 どうやら、長谷川家の大黒柱が久しぶりに戻ってくるらしい。

 おじさんは、この町の観光部門を担っている人で、観光業を経営しながら

 この町の観光局長も務めている。※この町では、役所の人でも副業出来るのだ!!


 で、おじさんは観光とは程遠い名も無い町をそのおじいさんととうさんと一緒に開拓し、

 有数の世界中から人が来る町に変えた凄腕の人である。

 一年の殆どを出張で外出しており、彼女たちにとって父の帰りは

 水入らずで過ごす貴重な時間という事でそこの部分は、誰にも文句の言えない最優先事項となっている。



「あらぁ。今日だったっけ?」


 かあさんが会話に食いつく。



「そうなんです。まぁ、いつもの如く夜にはお邪魔すると思います。」


「大丈夫よ。私たちいつもの所に行くだけだもの。」


 久しぶりだなって、はしゃぐかあさん。いつも両家の両親は夜には行きつけのお店に行くことが、第2の優先事項となっている。

 恐らくかあさんは夜の事を想像しているらしく"ニヤニヤ"と笑みを浮かべていた。

 なんだかんだで僕も楽しみだった。おじさんは、出張先の国の話やら、趣味の話やら。何かと面白い話題をお土産に持ってきてくれる。


 その後の朝食は殆どおじさんの話で終わった。

お読みいただきましてありがとうございます。

内容修正させていただきました。


ご感想・アドバイスなどお待ちしております。

何分素人ですので、寛大なお心でお読みいただけると助かります。

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