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選ばれた若者は罪人  作者: ツクシ
2/2

オレトオマエ

よく考えてみた、おかしい。

非常におかしい。


俺は撃たれた。首を…首だって十分重症だ。急所なんだから、下手すりゃころっと逝っちまう。

なのに生きてる。出血量もかなり多かったはずなのに…。

挙句たった一晩で目が覚めた。

これが一つ目。


二つ目は、何故名前を忘れたのか。それに頭を狙われたわけではないのに何故記憶がないのか。

頭だったらなんらかのショックで記憶がとぶことくらい寧ろ納得できる話だ。なのに誰が頼んだ訳でもねぇのにご丁寧に名前だけを忘れさせやがって…。

いろいろと不便だろーが!!!



……それと気になることだけど、_____恐らく、俺しか知らねえな。_____撃たれた傷を見てみたら…、何処ぞの二次元オタクが好きそうな変な紋章(?)みたいなのが付いてた。

それ以外、俺自身特に変わったところはなかった。




…前言撤回、もう一つあった。


心臓が、動いてねえんだよ…全くな。(体温はバッチリある)

今俺何で動いてんだろ?

すげえ…慣れちまうとこうも、肝が座るんだな。



まあそんなこんなで、傷もたいしたことないし…医者の許可が下りて無事退院出来た。

やっと帰れる…。




______________________


【五時間後】PM22:30〜自宅〜



夢ってこんなにリアルだったか?


気づけば俺は、あの撃たれた場所にたった一人で立っていた。



『声は…出るな。立ってる感覚もあるし…何なんだよ本当…。』


?「全く…信じらんねえ“セカイ”だ。」



……………………誰?


そこには、俺より若干身長の高い20歳ぐらいの男がいた。



リアルだ…夢にもとうとう3D技術が搭載されて…。


?「夢じゃねえ…ここは現実だ。」


『頭大丈夫か?』


?「至って正常だが?お前の方がバカだな。」


『んだと⁉︎何が言いてえんだよあんた!!』


?「ギャンギャン吠えるな。…お前、あだ名かなんかあるか?お前やあんたじゃやり難い。」



うぐっ…こいつのペースに呑まれてる。



『…【カナリア】…家で飼ってるから。』



ト「そうか、俺は【トラブル】だ。特に理由はないが…強いて言えば、必ず行く先で面倒に巻き込まれるから。今回は極めて厄介だが…。」



『苦労してるんだな…よろしく、トラブル。』



ト「…あぁ。」



『なぁ、さっき“信じらんねえセカイ”って言ってたけど…なんかあんのか?』



ト「……すぐにわかる。」



すぐにって…。



【ゴゴゴゴゴゴゴッ】


『ッ…地震か⁉︎なんで夢で地震なんか!』



ト「だから夢じゃねえって言ってるだろうが!現実で心臓止まってんなら、ここが今の現実なんだよ!」


『はぁっ⁉︎意味わかんねえし!』




?[仕方ないよネェ?ネェ?いきなりこんなことになってるんだカラ…カラ…。]



『今度はなんだよ⁉︎』


ト「今日はいねえと思ったら…化け物がッ。」



気が参りそうだ…。

いきなり男がいたと思ったら、今度は女の子?次は犬でも出るってか⁉︎

勘弁してくれよ…。



?[怒っちゃダメだヨ?ヨ?また賭けに負けたいなら…別にいいけどサァ…サァ。]


『あ?賭けってなんだよ…。』



?[そっかぁ…そっかぁ…君は今来たんだネッ!ネッ!なら簡単に説明するから、よぉく聞いてるんだヨォ〜…ヨォ〜…


この“セカイ”に来れるのは、【痛みを抱えた印】を持っている若者ダケ…ダケ…。君たちは身に覚えがあるんじゃないカナ?…カナ?]



『なんだよ…それ…。』



ト「…カナリア、お前ここに来る前。怪我しなかったか?死の一歩手前くらいの。」


『…すんげえ心当たりある。(汗)』


ト「俺は土手っ腹刺された。その後夢を見て…家族が一人死んだ。それでカッとなって目が覚めた。お前もだろ?」


『って事は…トラブルも死んだのか?』




?[カハハハッ(笑)…それそれ!痛かったよネェ〜ネェ〜、でも重要な人材を探してたからサァ…サァ…。大きな被害になる前に二人も見つけられてよかったヨォ〜ヨォ〜。


それで、君たちがそれを手に入れる代償として…君たちにとって尊いもの二つ、こっちで勝手に賭けさせてもらったってワケ…ワケ…。]



ふざけんな…

そんな事で、妹は…死んだのか…。



?[もう気付いてると思うけど…このセカイでの賭けは、向こうと完璧リンクしてるカラ…カラ…、変な気を起こすと、賭けたもの全部持っていくからそのつもりでね…。カハハハッ(笑)


さてさて、ルールを説明しマース!マース!

君たちが向こうでこのセカイの“夢”をみている時、こっちでは一週間の猶予が与えられマース!マース!その与えられた一週間のうちに…ウチのお願い叶えてくれたらクリア!クリア!ね?簡単デショ?…デショ?]



『お願い?』


俺は滲み出そうになる殺気を無理やり抑えた。



?[そーそー!でも一週間きってもお願い叶えられなかったら、賭けは君たちの負けって事で…君たちの賭けた“モノ”ウチが全部貰うノ…ノ…。カハハハッ(笑)おもしろ〜い!]



ト「…耐えろ。今は…こいつのペースに呑まれるな…。」




?[で、そのお願いなんだけど…



殺すの。」




それだけ、楽チンだね!ウチってば優しいナ〜ナ〜。




は?殺す?




?[わかんなかったら…トラブルくんに聞いてネェ…ネェ…。彼、今回で…二回目だから。じゃあ、頑張っテ!テ!カハハハッ(笑)]






『…マジ…かよ。…何が起こってんだ!!!』


ト「……ッ。」


『お前も…なに人を平気で殺してんだよ⁉︎お前も同じ人間だろ⁉︎なんでだよ⁉︎』



俺は勢い余ってトラブルの胸倉を引っ掴んだ。



ト「……家族が…賭けられてんだよ!!俺だってこんなどうしようもないこと、したかねえさ!だけどよ…知らねえうちに家族が人質みたいなもんになってて、失敗したらどんどん消えてく!!!

お前だったら、家族賭けられても迷わず殺さない道を選べるのか⁉︎家族死んでも、お前は今みたいにいられるのか⁉︎」


『ッ!!…俺は…ッ。』




無理だ。

逃げられない。

他人を殺す事も、このくだらない“賭け事”も…。


俺自身が死んでいく…。

ここからは、逃げられない。




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