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第七話 《全知》の魔法
なおも大マジに宰相閣下は続けます。
「ここに呼び出した時点で分かっているとは思うが――エルヴァ政務官。君にこの計画の指揮を執ってもらいたい」
負けじと大マジにエルヴァ君も答えます。
「あ、ありがたいお話ですが……何と言いますか、その、私では力不足ではないかと。はい。ですから……じ、辞退します」
……かなり腰が引けていますが、これでも彼の全力の回答なのです。
「無理か。ふむ。それは残念だ」
「ええ、本当に」
思いの外あっさりと宰相閣下が引き下がってくれて、ホッとするエルヴァ君。
ですが、安心するにはまだ早いみたいですよ?
「……時に、エルヴァ政務官は吾輩の魔法を知っておるか?」
「存じ上げております。《全知》の魔法ですよね」
「いかにも」
《全知》の魔法とはその名の通り、ありとあらゆる知識にアクセスできる力です。その莫大な情報量をもって、この老人は宰相にまで上り詰めたのでした。
「吾輩は知ろうと思えば何でも知ることができる。……例えば君の弱みとかな」
「え?」
はてさて。雲行きが怪しくなって参りました。