6/14
第六話 冗談ですよね?
エルヴァは戦慄していました。
気が狂っているとしか思えない王様に戦慄していました。
その王様を諌めようともしない宰相に戦慄していました。
そして何より――エリート街道を進んでいたはずの自分に前触れもなくテロリストへの道を突きつけてきた、政治というそのものに戦慄していました。オトナの世界って怖い。
ですが、怖がっていても始まりません。
僅かに残された希望への活路を信じて、エルヴァはぎこちない笑みを浮かべました。
「えっと……じょ、冗談ですよね?」
「冗談? 何の話だね」
大マジでした。残念。




