青木家の夕食+四宮新
青木家の晩飯は賑わっていた。
「悠希、米おかわり!大盛りで」
「分かりました。待ってて下さい」
小走りで炊飯器の所まで行き先輩の茶碗に米をよそう。
「先輩、こんな感じで良いですか?」
昔の少年マンガの米みたいになったけど、
この量を先輩さっきも食ったし大丈夫だろ、
と一人で納得する俺
「しかし、悠希って本当に料理出来たんだな。この肉じゃがとか超美味い」
肉じゃがを絶賛する先輩。
女子が手料理を好きなアイツに振る舞う
っていう少女マンガ的なシチュエーション。今なら女の子の気持ちもわかる気がする
そうだな、好きな人に半端な物食って欲しくないわな!
「いえいえ、むしろこんな料理しか出なくてすみません。先輩が来るって分かってればもっとマシな物作ったんですけど」
でも、姉貴とは違って古い野菜使ってないだけまだマシか
ん?てか今まで自然に流してたけど…
「何で四宮先輩居るんですか?」
今まで違和感がなかったけど、
この時間は俺と姉貴の二人だけ
多めに作った肉じゃがを半分以上食った先輩をみてようやくこの違和感に気付いた。
「悠希今それ言う?気づくの遅すぎだよ。今日、四宮君が助けてくれたお礼だよ」
姉貴は笑ってるけど、利き手を怪我してフォークを使うけど地味に手が震えて芋を何回も落として「う」とか言ってる姉貴には笑われたくないな
「しかし今日はすまなかった。
お前らに迷惑かけちまって…
二度と来んなって言っといたから」
軽くだけど頭を下げる先輩
「先輩、何してるんですか!
頭を上げて下さい!」
「そうだよ、四宮君頭を上げて?」
俺と姉貴で頭を上げて、と何回も言ってようやく先輩は頭を上げた。
「別に気にしてないよ。それに二度と来るなって可哀想だよ。
その子たちは本当に四宮君の事が好きなんだから」
「青木…」
にっこりと笑う姉貴
何か良い感じなってるっぽいけど、その子たち[は]って言っちゃってるから姉貴が好きな(多分でも絶対そうだと思うけど)先輩的にはキツい一言だろうな
先輩、ドンマイです。
の意味も込めて先輩の顔をチラ見すると、
「好き…青木から好きって…今の俺なら何でも出来る気がする」
……この人何言ってんの!
確かに言ってたけどさ!
先輩の事が好きなのって姉貴じゃないじゃん!
あのギャラリーの皆さんじゃないすか!
爆弾発言をした姉貴も姉貴で
様子の可笑しい四宮先輩をみても
「四宮君、顔赤いな?
どうしたんだろ?ま、いっかアイス食べよ」
先輩よりアイスかよ!
せめて、顔赤いよ?どうしたの?くらいは言ってやれよ!
そんな俺の脳内ツッコミなんか二人とも気付かず、結局先輩はずっと夢見心地なまま帰って行った。
…スキップ歩調で
身長180越えの金髪の大男がスキップ歩調って大丈夫なのか?
ちなみに、翌日の練習で先輩は絶好調。グラウンドの側には前よりも多いギャラリーが出来ていた事は言うまでもないと思う。
「今度の大会、姉貴呼んだ方が良いかな…」
「悠希、何か言ったか?」
「いいえ、四宮先輩何も言ってないです」
最初は四宮君は俺様系でいこうと思ってたのに、だんだんアホの子に…
でも、作者的には四宮君にはちょっとアホだけど一途な恋する少年でいてほしいと思います。