姉貴
四宮先輩の、姉貴の事が好きなのか疑惑
とツンデレ疑惑という結構あれな問題を
知った今週も週末を迎えていた。
「おーい、青木!お疲れ!」
「おう、お疲れ佐藤。さっきのナイスシュートだったな」
「だろ?次の大会もレギュラーとりたいからな。一生懸命練習してんだ」
今、俺は部活の練習をしている。
休日の練習は好きだ。平日よりもガッツリ練習出来るし、なにより
「キャー!四宮君!」
「やば、今の顔超格好良い!」
「私、先輩に差し入れ作ったけど食べてくれるかな?」
「今度の大会頑張って下さい!」
と四宮先輩を見に沢山の女子が集まるからだ。
本人は嫌がっているけど、俺たちには目の保養になるし差し入れの余りも貰えるから結構あのギャラリーは好きだ。
……まあ、本当に四宮先輩目当てだから俺たちなんか眼中に無いけど
「しっかし本当に熱心だよな、四宮ファン。この前花瓶の水を先輩に掛けてシメられた奴いるんだと」
「そいつ、トラウマで三日学校に来なかったらしいぜ」
って言う佐藤
……バニラシェイク掛けて、古い野菜食わせたのってバレたらやっぱアウトだな
「おい、あそこに居んの青木の姉ちゃんじゃね?」
ほれ、って指を指した先には確かに姉貴が居た。
ギャラリーをくぐり抜けてフェンスの所まで近寄ってるけど、そんなファンを押し退けても良いのか?
「あ、ギャラリーの女子に絡まれてんぞ」
遠目であんまりはっきり分からないが、
三年であろう女子に絡まれてる。
しばらくその様子を見ていると、姉貴が三年に突き飛ばされて尻餅をついた。
「おい、ヤバくね?」
焦る佐藤。
前の姉貴なら突き飛ばされる事も無かったし逆に暴言を吐いて泣かせてた姉貴が、今のか弱い女子みたいな性格で三年に勝てる訳がない。
「佐藤、ちょっとこれ持ってて」
持っていたドリンクのボトルとタオルを佐藤に押し付け、姉貴たちの方に走る。
姉貴は、大丈夫なんだろうか?
どこも怪我してないんだろうか?
あれ、可笑しいな?
いつも俺に命令ばっかりの姉貴を何でこんな心配してんだろ?
「姉貴!大丈夫か!」
ようやくそこに着いて姉貴に駆け寄る。
「悠希…うん、大丈夫だよ」
俺にもたれながら姉貴が立ち上がって三年を見る。
その目は少し涙ぐんでいたし、石が刺さったのか手の平から血が出ている。
俺は先輩に言った。
「あの、俺の姉貴に何でこんな事したんですか?」
姉貴が血を出して驚いていた先輩も気を取り直して俺たちを睨んで来た。
「はあ?こいつが勝手に割って入って来て勝手に転けて怪我したんじゃない」
「私のどこが悪いのよ?」
と開き直る先輩。何だよふざけんな…
「アンタが突き飛ばしたんだろ!俺は見てたぞ!」
「何言ってんの?馬鹿じゃない?」
先輩がクスっと笑って辺りのギャラリーを見回した。
「この中でぇ、私がそこの女を突き飛ばしたの見た人ぉ?」
やたら間延びした声で聞く先輩。
だけど、目がギャラリー全員を睨んでる。
誰も何も言わない。その事に先輩はフンっと笑って俺を見た。
「ほらね?私は突き飛ばしてないの。
それなのに疑われるとか悲しい。
謝ってよ」
理不尽だ。
あんな事されたら、黙るしか無いじゃないか。
「ほら、早く謝ってよ」
クスクス笑う先輩に、
「悠希、もう良いよ。元は私が悪かったから。」
と俺の肩に手を置き後ろから囁く姉貴。
てか、姉貴!胸が胸が当たってるよ!
そんなシリアスを一気にシリアルに変えた俺に救世主が現れた。
「何の話してんの?俺も混ぜろよ」
「し、四宮君!」
四宮先輩の登場でギャラリーが一気に騒がしくなる。
「あの、あのね四宮君!
この子が転けたのは私のせいだって言うの!」
そう言って俺たちを指を指す先輩
「青木じゃねえか。ってその手大丈夫ぶか!」
姉貴の手を見て驚く四宮先輩。
四宮先輩の表情こそあまり変わってないけど目が怒っていた。
「悠希。保健室に連れて行ってやれ。俺も後で行く」
早く行け、と言われて俺だけは四宮先輩とギャラリーを残して保健室に向かった。
……四宮先輩、女子にマジギレとかしないよな
この話は一応次で終わる予定です。
…イチャイチャ出来るよう努力します。