メイド、助けられる
「光属性、ライトシールド!」
反射的に紡がれた言霊が、白銀の障壁となって目の前に展開した。
激突した矢は無機質な火花を散らし、力なく地面へと弾き飛ばされる。
視線の先には、弓を構えた一人の男が立っていた。
燃えるような赤髪を短く刈り込んだ、二十代前半とおぼしき青年。少年らしさを脱ぎ捨てたばかりのような、精悍ながらもどこか幼さの残る顔立ち。
「俺の矢は百発百中なんだが……」
男は呆然と、あるいは自分自身に言い聞かせるように何かを囁いていたが、その声は風に掻き消されて私の耳には届かない。
私はふわりと地上に舞い降り、大地をしっかりと踏みしめた。
いつでも魔法を放てるよう意識を研ぎ澄ませる。
「お前は何者だ。ここになんの用だ」
冷徹な問いを投げかける。しかし、男は動じる風もなく、不敵な笑みを浮かべて問いを返してきた。
「お前こそ、何者だ」
「……私が先に質問しているのですが」
かつての「無表情女」と呼ばれた頃の冷たさが、今の ルナリスの瞳には宿っていた。警告の意味を込め、一筋の熱を練り上げる。
「火属性、ファイアボール!」
放たれた紅蓮の弾丸が空気を焼き、男へと肉薄する。
だが、直撃するかに思われたその瞬間、どこからか現れた桃色の髪の少女が、男の前に躍り出た。
「はっ!」
少女が手にした巨大な盾が、私の火球を真っ向から受け止める。轟音と共に火炎が四散し、白煙が周囲を包み込んだ。
「助かった、リリー」
「当然よ☆」
軽快な口調。赤髪の男が立ち上がり、桃色の髪の少女が盾を構え直す。
二人は一歩も引かぬ意思を瞳に宿し、私を射抜くような視線で睨みつけながら、声を揃えてこう言い放った。
「俺はロイド。」
「私はリリー。」
「俺達はA級パーティーだ」
「それより一体何しているんだ。 報酬が大きい依頼などがないとむやみには入らない、魔の森だぞ。」
魔の森とは? それより、自己紹介をしないと。
「改めまして、こんにちは。 私は ルナリス・リメスです。 ただの人であります。」
異世界に来てゲットしたメイド服のスカートの裾を持ち上げてお辞儀をした。
「ただの人なら魔の森に入らないぞ」
ロイドの言葉で ルナリスはものすごく焦った。
「か、か、かか、か、狩りをしてたんです。 き、き、きょ、きょ、今日の夜ご飯に。 アハハ ハハハ ハハハ…」
前世で培った、引きつった愛想笑いでこう言った。
「こんな惨状で夜ご飯の狩り? 冗談がすぎるぜ」
ゴブリンの残像を見て、ロイドは私を睨みながらこう言う。
「とりあえず、一緒に森から抜けましょう。 このままいると、ドラゴンとか来ちゃうわ」
(本当?ドラゴンが来たら神の加護(?)がついている私でも、流石に死ぬ! 生きててよかったー!)
「お願いします・・・・・・」
私は2人に深々とお辞儀をした。
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